コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: オタクな生徒会長は絶好調!?『人気投票、オリキャラ募集中』 ( No.123 )
- 日時: 2011/07/29 17:54
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: 0.DI8Vns)
番外編9『今やっている乙女ゲームのフラグが全く立っていないby玲』
「さて、いよいよ来月には文化祭が始まるわけだけど……」
「今だ何をするか決まっていないのは、由々しき問題ではあるな」
会長さんと幸田先輩が唸っている。私と原田君は二人そろって溜息をついた。決まらないのは誰の所為だと思っているんだ。
———夏休み———
夏休みも私たちは、一週間に2度くらいのペースで集まった。議題は決まってこれ。
『文化祭の出し物について』
委員会、クラブ、部活動で様々な出し物をするらしい。それは私たち生徒会も例外ではない。しかし、私たち生徒会は生徒のために動く。予算やら運営委員会からの相談やらであちこちを走り回っていた私たちにとって、まだ何一つ決まっていない現状というのはとても辛い現実だった。
「さて、どうしようか。例年では劇をやるところなんだけど、それじゃあ演劇部と一緒になってしまう。おまけに、今年は学校長の気まぐれでクラス対抗の劇までしなくちゃいけないし」
「やるものないよねぇ〜」
姫神先輩が妙にやる気なさそうに言う。以外だ。この人はお祭りとか好きそうなイメージなのに。私がそれを言いたそうにしていたのが伝わったのか、姫神先輩は私の向かって苦笑いして見せた。
「うーん、祭り自体は嫌いじゃないんだよ?だけど……この学校の事だしね」
「あー、なるほど」
4月に入学してから4ヶ月。私はこの学校の空気というものを何となく感じつつあった。一言で言うなら、この学校はおかしい。何かに支配されているように生活している。いや、支配と言うよりは……監視されているような。私が学校に入り、最初の家は好奇の目や不審な目で見られていたが、真正面から何かを言ってくる人は居なかった。むしろ、言ったら報復されるとでも言わんばかりの目で、私をさりげなく避けていた。ここの生徒達は、何かに怯えるようにしているため、きっと文化祭もあまり盛り上がらないのだろう。私はそれ以上追求しないでいると、会長さんは言った。
「まぁ少なくとも去年はあまり盛り上がらなかったね。だからこそ、今年は成功させようよ」
その言葉に、生徒会メンバー全員が頷く。……あの原田君さえも頷いた。
「……けれど、具体的には何をする……」
桜田先輩のぼそっとした一言に、会長さんを始め、私たち全員が押し黙る。
……結局ね、成功させたいとは思っているけれど。案がなければ成功しないんだよね。だからこそ私たちは一所懸命考える。そして、私はライトノベルにありがちなことを提案してみた。
「……あの、喫茶店なんかはどうでしょう?」
「喫茶店?でも、そんなのは他のクラスでもやってるし……」
姫神先輩の言うとおりだった。喫茶店などと言ったありがちなものは、既に企画として数クラスが通っている。それなのに生徒会が喫茶店などやると、おそらく人気はこっちに持って行かれるだろう。なんて言ったって、この生徒会はルックスを見れば横に出る者はいない、イケメンがそろっているのだから。
私は他に何かないかと思案していると、珍しく原田君はフォローを入れてきた。
「それじゃあ、こんなのはどうです?『執事・メイド喫茶』」
「……へ?」
私を始め、生徒会メンバー全員が口を開ける。……まさか、原田君の口から執事・メイド喫茶なんて言葉が出てくるとは。思ってもいなかった発言に、会長さんさえもあんぐり口だ。しかし我に返ると、思案し始めた。
「うーん、なるほどね……。他のクラスは普通に喫茶店とかだったけれど、これなら良いんじゃないかな?」
むしろ人気を全部持って行きそうな気がしますけどね。
「よし、それじゃあこれで行こうか」
けれど、私はちょっと不安に思う。ルックスこそ良い物の、性格に難ありの生徒会のメンバー達だ。会長さんは良いとして……姫神先輩も良い。問題は幸田先輩、桜田先輩、原田君だ。幸田先輩はあの時代錯誤な喋り方で、お客さんを困惑させるに違いない。桜田先輩は、黙っていれば美形。けれどいつもはボーッとしていて、接客が出来なさそう。原田君は……。無愛想、あの人を見下すような目、口から出る言葉は人をいらつかせる。……こ、これで本当に大丈夫なのだろうか。
そんなこともあってか、夏休みの間中ずっと議論したわけだけど……まったく決まらなかった。でも、執事・メイド喫茶っって言うのは良い案だと思うよ?問題なのは性格なんだよね……。私はほら、ラノベとかゲームとかしてるからメイドとかなら大丈夫だから。問題ないんだけど……。
「もう、執事・メイド喫茶で良いんじゃないでしょうか。考えるの面倒だし」
「そうだね……。考えるの面倒だし」
「そうじゃな……。考えるの面倒だし」
やる気が全くない原田君の言葉に感化されて、結局「執事・メイド喫茶」に決定した。
……い、良いのだろうか、これで。