コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: オタクな生徒会長は絶好調? 『第5話更新』 ( No.13 )
- 日時: 2011/01/23 20:14
- 名前: 棋理 (ID: Fn07flnU)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
第6話『今回の執筆者は星宮龍です』
「あれ、姉さん1人?」
「ええ。そうだけど」
俺が生徒会室に行くと、姉さん1人だけしか居なかった。
いつもなら颯人君と勇翔君が馬鹿騒ぎやっている時間なのにな…。
「遅いね、みんな」
「ああ、今日は少し遅くなるって。暁は部活で、蒼井と月島は勉強会。大多喜は私のパシリとして購買に行ってる」
「最後のパシリって…」
ちょっと颯人君が可哀想な気がするけど、姉さんの為になってるから良いか。
俺はそう思い直すと、姉さんの近くの椅子に座った。
「今日もゲームしてるの?」
「ええ、昨日ボスキャラのところまで行ったんだけどねぇ。……もっと経験値をためなきゃ駄目ね」
「へぇ」
正直言うと俺はあまりゲームに詳しくない。まぁ姉さんに頼まれてたまに対戦とかするけど、それ以外ほとんどやらない。だから、姉さんが言っていることは少し意味不明だ。
たまに、本当に同じ国の人なんだろうか?と思ってしまうぐらいの単語を言うけど、俺には全くの理解不能だ。
「……龍。私の顔に何かついてるの?」
「へ!?べ、別に!」
いつの間にか姉さんの顔を凝視していたらしい。気づくと姉さんが不思議そうな顔でこっちを見ていた。
「……ふぅ」
「あれ、ゲームを終わり?」
「ええ。あまり気乗りしないからねぇ」
へぇ、意外。姉さんでも気乗りしないことがあるんだ…。
「ねぇ龍。今とても失礼なことを考えてなかった?」
「え?そんなことないよ」
「そう?……それじゃ、たまには姉弟仲良くお話でもする?」
「え?」
そう言うと、姉さんは俺の隣の椅子に座った。
……なんだろう。なんだか今日の姉さんは不思議だ。
姉さんは俺の顔を真っ正面から見ると、目をじっとのぞき込んできた。
——な、なんだろう…。
「龍、あんた今日後輩から告白されたでしょ」
「へ!?」
「ふっ。図星ね」
な、なななな何で分かるの!?テレパシー?!もしかして俺と姉さんがあまりにも意識しすぎて、いつの間にか不思議な能力が!?
どごっ!
「龍?あなたも大多喜のような変態にならなくて良いのよ?」
何でだろう。何で殴られたんだろう…。じゃなくて!
「どうして分かったの?俺が今日告白されたって。しかも後輩にって」
確かに今日の昼休み。体育館裏というラノベ的展開にはうってつけの場所に呼び出されて、いきなり告白された。顔は…何度か見かける程度の後輩で、あまり交流はない。正直どうして告白されたのか見当もつかない。自慢ではないが、俺は女子にはモテる方だ。でも、こういうときの返事に困る。何度か話したことのある女子だったら、性格とかまぁまぁ知っている。だから苦手な子だったらそれなりに自分の中で、納得のいく理由で返事が出来る。
でも、見ず知らずの生徒だったら。性格も知らないから、どう断ったらいいのか困ってしまう。うまく言葉に出来ないけど——性格も知らない子をすぐに断ると言うのは、俺の中の良心が痛むのだ。
「ふふっ。私はあなたの姉さんよ?何でも知ってるわよ。
一眼レフを片手にあなたの後ろをいつも見守っているの」
「それは世間一般的にストーカーって言うんじゃないのか?」
「冗談よ。……ちなみに、あなたが優しすぎて断れないことも」
「っ———」
そうか。姉さんは実は何も見ていないようで、すべてお見通しなんだ。姉さんに隠し事は出来ない。……それが、18年間弟をやってきて分かったことだ。
「じゃあ相談する。どうすれば傷つけない断り方を出来る?」
真剣な問題。俺1人では解決できない——。でも、姉さんは——。
「……っ。ふふ、あっはは!!」
「ね、姉さん?」
お腹を抱えて笑っている。
それは酷い!俺はこんなにも一生懸命なのに!
「ご、ごめん…。だ、だってあまりにも簡単なことを、そんな真剣なんだもん」
「か、簡単?」
姉さんはそう言うと、俺の手を優しく握った。
「龍。この世に傷つかない方法なんて1つもないの。誰しもが必ず傷つくの。それは運命なのかもしれないわね。人が生きていくのに避けては通れない道なの。
だから、その女子生徒には可哀想だけど——きちんと言ってきなさい」
何故か。何故か姉さんが寂しそうな顔をして言う。
姉さんも何度も傷ついてきたのかもしれない。…本当に、僕は姉さんにかなわない。
「分かった。姉さん、ありがとう」
「ええ。それじゃ、すぐに行ってきなさい!」
背中を押されると、俺はすぐに女子生徒の教室へと向かった。
——体育館裏——
「ごめん、やっぱり付き合うとか無理だ」
「……そうですよね」
俺が言うと、その女子生徒は一瞬悲しそうな顔を見せたものの、にっこりを笑顔を見せ居た。
「会長さんは、本当に優しい人ですよね」
「へ?ね、姉さん?」
「はい。……私が断られても傷つかないように、話しに来てくれたんです。
星宮先輩が私にどう言えば傷つかないか、ずっと悩んでたって。だから、振られても先輩のために悲しまないでくれって」
「…………」
本当に、姉さんにはかなわないと思った。
丘の上高校生徒会。悩みのある人は、会長に言えばだいたい解決するだろう。