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- Re: オタクな生徒会長は絶好調!?『番外編9更新』 ( No.131 )
- 日時: 2011/07/31 18:37
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: 0.DI8Vns)
第36話『体育祭の前から文化祭の準備って……』
夏休み明け。今日から2学期が始まった。夏休みの間は本当にリフレッシュできた。会長さんからの無茶ぶりから解放された夏休み。……ああ、天国とはあれのことだな。今年の夏は結構暑かったが、プールに行ったり図書館で勉強したり。青春したなぁと感じた。まぁここでは語る必要はないために、省かせてもらう。また機会があったら報告しよう。
さて、今は2学期初めての生徒会だ。いつもの生徒会室で、いつものように駄弁るのだろうと思っていたら、案外そうではなかった。会長が妙に張り切って言ってきた。
「文化祭の準備、するわよ!!」
妙なテンションもおまけ付きで。たちまち生徒会のメンバー(龍先輩を除く)からブーイングが入る。
「おいおい、まだ早すぎないか?文化祭の前に体育祭があるんだぜ?」
「そうよね。暁からして言えば、文化祭より体育祭の方が目立てるわよね」
「いや、誰もそんなこと言ってないし」
「大丈夫よ暁。ちゃんと文化祭では力仕事を任せてあげるから!!」
「人の話を聞けこらぁぁあああ!!!!」
勇翔が2学期初日でキレた。うーん……初日からこれじゃあ、2学期会長の無茶ぶりやら我が儘に勝てるのか?俺はいらん心配していると、会長の意見に肯定的な龍先輩が爽やかに言った。
「でも、どうせまだ何をするかどうか決まっていないんだから、良いんじゃないかな?」
「……と、言いますと?」
「姉さんの意見には賛成だけど、準備段階まで行っていないっていうこと。準備するも何も、俺たち何をやるか決まってないから無理だし」
それは、ごもっとも。夏休みはほとんど集まらなかった俺たちにとって、まだ文化祭の演しものは決まっていない。他のクラスはほとんど決まっているらしく、既に何クラスかが企画書を生徒会に提出をしてきた。つまり、本当ならばその企画書を目に通しておかなければならないのだ。
「会長、会長」
「何よ大多喜」
「えと……会長の机に企画書が置いてありますよね?」
「置いてあるけど?」
「それ、目を通しておかなくちゃいけないんですけど……」
「ちょ、あんた何言ってるの?こんなの、目に通るわけないじゃない」
そう言うと会長はわざとらしく企画書を目の所に持って行く。どうやら、「実際に目に通らない」ということをお証明しているみたいだ。……それはもう、どうしようもなくわざとらしく。結論から言うと、会長は人の面倒なんか見てられるか!だ。
「会長、なんて言うか……ガキっすね」
「なんと言われようとかまわないわ!今は文化祭の準備なの」
会長は持っていた企画書を再度机の上に置くと、黒板に今日の議題『文化祭の準備について』と書いた。……おかしい。いつもの会長なら「えー?文化祭の準備?面倒だから、龍、願い」とも言いかねない。というか、言う。文化祭のテーマを決めるときだってやる気がなかったのだから、今回はもっとやる気がないと思っていたけれど……。
「ああ、なるほど。そういうことですか」
「へ?」
今まで俺たちのやりとりをただ聞いていただけだった終都が、一度廊下に出る。そして、おそらく連絡掲示板から持ってきたと思われる紙を見せる。
そこに書いてったのは———。
『文化祭演しもの選手権!
各クラス、部活動、クラブ等が演しものをして、一番人気だったクラスには豪華賞品が送られます!
そして、見事栄冠を手にした所には新聞部が突撃取材!一面にあなたの記事が載ります。』
「…………こ、これは」
「つまり、会長は豪華賞品に目がくらんだと言うことですね」
俺は会長の浅はかさに溜息が出る。でもここでまた疑問が出てくる。豪華賞品を狙っているなら、どうしてクラスの企画書を見ないのだろう。クラスの企画書を見れば、どんなことをやればいいのか、これ以上の演しものを考えれば楽に手に入れられるのに。その疑問を会長本人にぶつけてみる。
「ふっふっふ。大多喜、あなたはいつのまにそんなに薄っぺらくなったの?」
「まぁ会長の薄っぺらい計画性に比べれば信用できますけど」
「な、何ですって!?……ご、ごほん。聞いて驚くなかれ、なのよ!」
「会長のいつもの気まぐれや我が儘に比べれば驚くものなんてこの世にありませんよ」
「ぐっ……。だ、だって他のクラスが何をするのを全て把握している生徒会よ?そんなんで優勝とかしたら、ずるしたとか言われかねないじゃない……」
意外と会長は考えているらしかった。会長は企画書を勇翔に渡すと、こう言った。
「私は見ないわ。見ないでこれらよりもすばらしい演しものを考えてみせる!!」
「か、会長さん……」
終都の横でうっかり涙ぐんでいる瑞樹。……瑞樹には悪いんだけれど、正直言って俺、勇翔、終都は疑いの眼差しを快調に向ける。たしかに、この言葉や行動はとてもすばらしい。会長という権利を無駄にちらつかせず、実力で勝ち取る。こういうのは俺も悪くないと思っている。しかし「この」会長だぞ?某ピンクの髪のちっこい我が儘なクリムゾン会長や、某ピンクの髪の胸ぺったんで完璧すぎるヒナ会長やいざ知らず。「この」会長だぞ?普段やる気もなくゲームとラノベとアニメとマンガを愛する、「この」会長だぞ?俺たちは会長と一緒にやる気満々になった龍先輩と瑞樹の目を冷ますべく、言い放つ。
「「「ただ仕事をしたくないだけじゃないんですか?」」」
「う”」
案の定、会長はぎくりとした様子で固まる。その会長の様子に、龍先輩と瑞樹はただ、ただただ冷たい視線を向ける。
「会長」
「な、何よ大多喜」
「仕事しましょうか」
「だ、だから私は不正と言われないように、企画書は見ないと———」
「仕事」
「仕方ないのよ?生徒会の威厳と、プライドを守るためにはこうするしか———」
「仕事しろ」
「…………はい」
かくいう会長は、俺の威圧的な目に折れてくれた。