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- Re: オタクな生徒会長は絶好調!?『番外編11更新』 ( No.141 )
- 日時: 2011/08/06 15:56
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: HwpkBxu2)
第38話『友人との間に出来たわだかまりを解消するには、とりあえず土下座するのが一番だというのは戯れ言』
「失礼します。風紀委員です」
「……どうぞ、お座りなさって」
会長が皮肉なくらい優雅な仕草で席を勧める。その様子をちらりと見ると、先頭に立った男子が言った。
「……さっそく、委員長からの要件を……」
「ちょっと待ちなさい」
「…………はい?」
会長は生徒会室に響き渡る声で言う。それは、風紀委員の圧倒的なオーラにも負けず劣らずの勢いだった。
「風紀委員長の姿が見えないのだけれど。いったいいつになった来るの?」
「……委員長は来ません」
「……何ですって?」
委員長が来ない?俺たちは自分たちの席に着きながらも、首を傾げる。
その言葉を待っていたかのように、数人の風紀委員が机の上になにやら機材を準備する。
「……委員長は諸事情により、音声でのみの参加となります」
「なっ……。音声のみって……」
そして、ラジカセのようなもののスイッチを入れて音量を調節する。
<ちょっと用事が出来た。だから、生徒会との話し合いはこれで行うことにするよ>
「は、原田君……」
そこから流れてくる声の持ち主に、会長は驚愕する。しかし、隣に控えている龍先輩から何か耳打ちされると、咳払いをして言った。
「あなたから用事だなんて、珍しいわね」
<……用件をまだ知らないって事は、あんたの所にはまだ来てないって事か>
「……どういう意味?」
<まぁいいや。そっちに彼は行っているかな?>
「彼?」
<僕が信頼している、笹屋葉陰(ささや はかげ)だよ。いる?>
すると、彼に呼ばれた男子生徒が一歩前に出てくる。そして「ここにいます」とだけ言うと、あとはおとなしく下がった。先ほどから会長と話していた生徒だった。
顔も見せない風紀委員長はその声を聞くと、ようやく本題に入ってくれた。
<単刀直入に言う。星宮、風紀委員と生徒会で『執事・メイド喫茶』をやって欲しい>
「分かったわ」
「「「「「は、はぁぁぁああああああ!!!???」」」」
<ということで、これで失礼する>
「「「「「ちょっと待ってぇぇええええ!!!!」」」」」
シンクロした!!こいつらには勝てないと思っていた風紀委員と生徒会が、初対面に等しいこの状況で心境がシンクロした!!いやいやいや、何一つ分かっていないから!会長しか言葉の意味分かっていないから!なんかもうリアルに全員の頭に「!?」が出てるし、風紀委員に至っては「委員長だけはまともだと思っていたのに!」とか「今までこの人に忠誠してきたのは何だったんだ!!」言ってるし!!
「な、何よあんた達。さっそく執事服とメイド服集めなさいよ」
「出来るかぁぁああ!!状況どころか会話の意味すら掴めていない俺たちに、出来るかぁぁああ!!」
「え、嘘。分かっていなかったの?どんだけバカなのよ、大多喜」
「殴って良いかな!?ねぇ、一回だけでも殴って良いかな!?」
「落ち着いてください大多喜先輩!」
俺の体を後輩二人が押さえつける。しかし二人も興奮しているらしく、鼻息荒くしている勇翔に「何か言ってやれ」という顔をしている。それを受けて、勇翔はようやく会長に取り入る。
「会長、ちょっとは俺たちにも説明してくれたって良いんじゃないか?」
「せ、説明って?」
「あのなぁ。敵対していた生徒会と風紀委員が、なんでいきなり手を組むんだよ。それにどうして『執事・メイド喫茶』なんだよ」
「……暁、時にはね。知らなくても言い事実って言うのが、この世に存在するのよ」
「この場合は絶対に知らなくてはいけない事実だと思うんだが!!」
勇翔の言葉に、俺たち生徒会だけではなく風紀委員の奴らも大きく頷く。しかし、会長はまだ渋っているらしく、相変わらず言葉を濁していた。
すると、その様子を見かねたのか。あるいはもうしらを切るつもりはないのか、風紀委員長は会長に言った。
<星宮、そろそろ話しても良いんじゃないか>
「原田君……。そうね、もうそろそろ話しても良いわよね。それに……もう、時間がないもの」