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Re: オタクな生徒会長は絶好調!?『第43話更新』 ( No.169 )
日時: 2011/09/21 13:28
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: lIcPUiXw)

第44話『執事服とメイド服には夢と希望と愛がある』

「キタ——————!!!!!」
「っ———!?」

翌日の放課後、生徒会室に入るとなにやら2○ャン用語を発した会長に思わず後ずさる。会長を見ると、なるほど、興奮しているようだ。両手を万歳のように上を上げて、目はぎらついている。ちょっと近寄りがたい。というか、近寄りたくない。近寄ったらきっと物を投げつけられそうな気がする。けれど、生徒会室の前でうろうろしても意味がないため、勇気を振り絞って中に入る。

「どうかしたんですか、会長」
「聞いて大多喜!」

ぶんっ

「めちゃくちゃ良いことあったのよ!!」
「興奮しているのは分かったから、コンパスの針を俺に向けて投げつけるのはやめてください!」

あやうく眉間に刺さるところだったわ!

「あんたのことはどうでも良いわ!それより、すぐに他のメンバーと風紀委員を呼んできなさい!」
「……は?」
「良いから早く!10分以内に集合よ!遅れたら罰金!」

どこのハ○ヒさんですか、あなたは。



「づ、づれてきました……」
「9分50秒か……ちっ。ん、ご苦労さん」
「舌打ちしましたよねぇ!?今明らかに舌打ちしましたよね!?」

9分50秒後、俺は他の生徒会委員と風紀委員たちを連れてきた。合計数十人居るのに、広い生徒会室にはまだ余裕がある。
そして、珍しくもその中には風紀委員長の姿があった。

「原田君も来てくれたんだ。良かった」
「生徒会だけではなく、風紀委員も集めるって事は何かあったんだろ」
「えぇ、そうよ。まずは……そうね、笹屋葉陰君」
「っ………何でしょう」

笹屋は会長に呼ばれると、びくりと肩をふるわせた。あれから何度か廊下で顔を合わせたため、話しかけてみた。——が、そのたびに少し警戒された。おそらく人と話すのが苦手なのだろう。それなのに“あの”会長に話しかけられて、少し可哀想だった。

「あとは……あ、そこのあなた」
「私……ですか」
「そう。隣の部屋にあるから、よろしくね」
「はい?」
「良いから良いから、さ、早く行って」

会長に指名された風紀委員の一人の女子と笹屋は、何が何だか分からずに隣の空き教室に入っていった。
嫌な予感しかしない。

「大丈夫よ、大丈夫。プロも来ているから、分からなかったら聞けばいいわ」
「プロって何!?何を聞くの?!」
「後のお楽しみよ」

会長は意味深なウィンクを残すと、楽しそうに鼻歌を歌い始めた。機嫌が良いらしい。
その一方で、風紀委員長は苦々しい顔で手を顎に当てて考えている。

「ど、どうかしましたか……?」

恐る恐るといった感じで、瑞樹が聞く。その問に、風紀委員長は重苦しく頷いた。

「星宮があんな顔をしているときは、たいてい嫌なことを考えている証拠だ」
「そ、それはだいたい分かりますが……」
「僕は以前の生徒会で、今の彼女と同じような目を見たことがある」
「……え?」
「執事とメイド喫茶の衣装合わせの時、僕を含む男子生徒会役員に執事服を着せたんだ。そのときの目に似ている」

……と言うことは。
俺たちは会長を恨みがましく見る。そして、数分後。生徒会室に入ってきた二人の風紀委員を見て、会長は—————

「ああっ!!なんて良いの!!もう、ダメ。写メ!!ほら、早く写メとって!!」
「かしこまりました、お嬢様」

二人の執事さんとメイドさんと共に、執事服とメイド服を着ていた風紀委員の二人を写メる。いや、写メじゃなくて一眼レフカメラなんてあんたどっから持ってきたの!?
つまり、そういうことだった。会長がテンションが高かったのはこの執事服とメイド服が届いたからだったのか。

「いいわ、いいわ。すっごく素敵!一応これはサンプルなんだけど、これで決定で良いわ!!」
「星宮……。なんかお前、ものすっごく残念な奴だな」
「何よ原田君。こんなの昔からじゃない」
「開き直るなよ。…………俺の青春返せ」
「はぁ?何言ってるの?ともかく、明日までにこれを制作しておいて」
「かしこまりました、お嬢様」

そう言うと、何事もなかったのように本物の執事さんとメイドさんは帰っていった。
って、あの人達会長の家の人たちだったのか……。

「ふっふっふ。これでようやく準備の大半が整ったわ」
「準備の大半がこれ!?じゃあ後の半分は何!?」
「衣装関係以外」
「簡単ですね!分類の仕方簡単ですね!」

兎にも角にも、こうやって準備の大半がいつの間にか終わった。