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Re: オタクな生徒会長は絶好調?      『第16話更新』 ( No.43 )
日時: 2011/02/08 19:34
名前: 棋理 (ID: Fn07flnU)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

第17話『誕生日パーティー…私…一度も開いてもらった事無い…』

「さぁぼさっとしてないで!時間は刻々と過ぎてゆくのよ!!」
「刻々って…パーティーまであと24時間はあるぜ」

俺——星宮龍は、姉さんが率いる『星宮家執事・メイドさん・料理人軍団』が動いているのを、感心に眺めている。その横では、あまり邪魔にならないように後輩達が働いている。

「24時間…つまり、私たちの任務に与えられた時間は、それぐらいしかないのね」
「いや、大袈裟でしょ」
「聞け、諸君!ターゲットを打つための準備は24時間!…いや、20時間以内でやるのだ!残りの4時間はスタンバイに使う!」
「「「了解しました、お嬢様!!」」」
「…………」

先ほどまでツッコンでいた勇翔はついに諦めたのか、とても大きな溜息をついた。隣では終都と瑞樹が困惑気味な顔をしている。

「姉さんがここまで張り切っているのは、本当に久しぶりなんだ。だから大目に見てくれないか?」
「龍先輩が言うなら…」
「ありがとう、蒼井。それじゃあ、僕たちは邪魔にならないように別室に行ってようか」

姉さんを見てさらに大きな溜息をついている後輩達は、俺の言葉に素直に頷いた。
…まぁさすがの俺でも、今日の姉さんは張り切りすぎだけど。
部屋を出て行くときに「これで大多喜に恩を売っておけば…いひひ」と、何とも下品な笑い声が聞こえたけど、空耳だろう。俺の中の美しい姉さんのイメージが崩れないように。



——別室——
「お茶でございまーす」
「ありがとう」

確か、星宮家に来て2年目のメイドさんがお茶を持ってきてくれた。後輩3人はこういう状況になれていないのか、少し遠慮気味にしている。

「それにしても…この部屋、広いですね」

メイドが部屋から出て行った後、部屋の中をきょろきょろ見ていた瑞樹が口を開いた。

「そうかな?」
「こんなに広い部屋に通してもらって良いんですか?」
「そんなに気にしなくても良いよ。“家で一番狭い部屋”だし」
「「「…………」」」

あ、あれ?何で黙るんだろう?なんというか、ちょっと引いてる感じ?
さらに居心地が悪いみたく、膝を揺すったり、肩を回したりしている。……どうしたんだろう?
すると、みんなを代表するように勇翔が口を開いた。

「あの、龍先輩…。家で一番狭い部屋ってここなんですか?」
「ん?そうだよ。あ、一番じゃないか」
「だ、だよな。さすがにこんなに広い部屋が、狭いわけ——」
「犬小屋がこの部屋の半分ぐらいかな」
「「「っ——!!!」」」

……あ、後輩達が固まった。見事なまでに固まった。えーと…あ、そうだ。

「彫刻かっ!」
「タカ○シ!?」

勇翔がツッコンでくれた。よかった、ひとまず大丈夫みたいだ。

「犬小屋がこれの半分ですか…。ち、ちなみにお手洗いはどのくらいなんですか?」
「お手洗い?そうだな…犬小屋より少し大きいぐらいかな。あまりこの部屋と変わらないんじゃないか?」
「……先輩、僕は犬より下だって事ですね」

質問に答えただけなのに、なんだか落ち込ませてしまった…。
見ると、勇翔と終都も瑞樹に同情している。俺、何か悪いことしたかな?

「あ、じゃあ質問ついでにもう1つ」
「ん?なんだい、終都」
「…まぁ質問するまでもないんですが——猫耳をつけているメイドさんって、絶対会長の趣味ですよね」

質問じゃない上に、断言された。まぁこれについては文句は言えない。だって的を射ているから。

「終都、僕が猫耳メイドなんかにすると思う?」
「しませんね。と言うことは、会長ですね」

ごめん姉さん。これだけは弁解できないや。
先ほどからこの部屋と会場を行ったり来たりしている猫耳メイドが、何故か怪訝な顔をしてこちらを見ていた。……当の本人は全然抵抗しないあたり、姉さんに絶対の忠誠心を持っているのか、自分も気に入っているのか…。うーん、やっぱり女性は謎だな…。