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- Re: オタクな生徒会長は絶好調? 『第20話後編更新』 ( No.52 )
- 日時: 2011/03/06 17:52
- 名前: 棋理 (ID: Fn07flnU)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
第21話『祭りの後の祭り……?』
「いやぁ、昨日は本当に有り難うございました」
「何言ってんのよ、大多喜らしくない」
朝登校したら、俺はすぐさま会長のクラスに行ってお礼を述べた。
「別に良いわよ。ほら、ホームルームが始まるから、さっさと教室に戻りなさい」
……昨日の面影はいずこへ。といった感じに、今日の会長は不機嫌だった。……何でだろう?
——放課後——
「おーい、颯人。今日一緒に帰ろうぜ?」
「お、そうだな久しぶりに2人で帰るか山田」
なんて、帰り支度をしていると——。
ピンポンパンポーン……
《えー、マイクのテスト中。マイクのテス——へ?そういうのは要らない?…分かったわよ。
ごほん。えー、生徒会長星宮玲からの呼び出しよ!生徒会副会長としての威厳がみじんもない大多喜颯人。さっさと生徒会室に来なさい!!ウ○トラマンが戦っている時間内に来なさい!あ、カップラーメンが出来る時間内でも良いわよ?面造○じゃなくて、カップ○ターよ?面○りは4分だからねぇ。え?あ、ちょっと蒼井、なんで睨むのよ……。はい、分かりました。まじめにやります。
気を取り直して。生徒会副会長大多喜颯人!生徒会室にすぐ来なさい!忘れ物があるわよ!えーっと、何々?『少年サ○デー』…あ、これ面白いわよねぇ。ちなみに私が好きなのはハ○テのごとく!よ?あ、もしかしてジャ○プ派?あ、ちょっと、月島、マイク奪わないで——》
そしていったん間が空く。
《と、とにかく大多喜先輩!会長の暴走を止めるためにも、3分以内で生徒会室に来てください!》
ピンポンパンポーン……
「「「……………………」」」
うん、お願いだからそんな冷たい目で見ないでくださいよクラスメイトさん達。一番辛いのは俺なんだから。
「と、とにかく颯人。すぐに言った方が良いぞ?」
「……………………だな」
俺もそうした方が良いと思う。
——生徒会室——
「会長ー、俺サ○デーなんて持ってきてないですよ?」
俺が生徒会室に入ると、会長がハイビジョンTVの前の椅子に足を組んで座っていた。
そしてその周りに執事達のように龍先輩達が立っている。
「確かに、サン○ー なんて持ってきてないわね」
「じゃあなんで呼び出したんですか?良い迷惑ですよ……」
迷惑という単語のところで、会長の耳がピクッと動く。
やべ、なんか言わない方が良かったかも……。
「そう。じゃあ、これも迷惑だって言うのかしら?」
そう言うと、会長はこっちへ来い言うように手招きした。
な、なんだろう……??
「はい、これ」
「へ?」
渡されたのは赤いラッピングがされている両手に乗るサイズの箱。
…なんだこれ。
「開けてみなさいよ」
「わ、分かりました…」
俺は綺麗な包装紙をなるべく破かないように開くと、箱を開けた。
その中には——
「写真立て…?」
ガラス製で出来ている、一発見ただけで高価だと分かる綺麗な写真立てが入っていた。
これって……。
「勇翔…」
「俺が会長に伝えたんだよ。お前が写真立てをほしがっているって」
「会長…良いんですか?」
「良いも悪いも、あんたが欲しがっていたものをただプレゼントしただけじゃない。
四の五の言わずに受け取りなさい」
その会長らしい言い方に、俺は思わず男泣きしそうになった。
いけないいけない。美少女たる会長の前で泣くなんて…男のプライドが木っ端みじんだぜ。
「ありがとうございます、会長」
「ふふッ。だからお礼を言うなんて大多喜らしくないって」
ふふっと天使のように笑う。
ああ、変わっていないな。あのとき夕日に染まった屋上で見せてくれた笑顔は変わっていない。
「あ、そうだ!写真撮りましょうよ!龍先輩、たしかデジカメありましたよね?」
「へ?あ、うん…あるけど?」
龍先輩から受け取ったカメラを机にセットして、俺は会長の椅子の近くに立つ。
そしてシャッター音が生徒会室に響く。
「じゃあちょっと待っててくださいね!」
俺は職員室に行って現像すると、すぐに生徒会室に戻る。
そしてもらった写真立てにいれて、後ろのロッカーにある花瓶の横に置いた。
「大多喜…これって」
「これが、写真立てを欲しがっていた理由です」
キザなことを言っているということは分かる。でも、残しておきたいから。
今はまだ先だけど、いつか必ず来る『卒業』と言う別れの為に、みんなが笑っている思い出を残しておきたかったから——。