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Re: オタクな生徒会長は絶好調?      『番外編2更新』 ( No.65 )
日時: 2011/04/05 17:26
名前: 棋理 (ID: p81XYxhw)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

第28話『頑張ろうをスローガンに、会議を頑張ろう』

 久しぶりに大多喜颯人が書きます。確かに先生には後々出番があるから、先生ファン(絶対にいないけど)は安心してください。
 今日はひっさびさに生徒会での会議だ。議題は、文化祭のこと。丘の上高校は祭りのことにはとても真剣で、夏休み前から準備を始める。……授業もそれくらい真剣に取り組めばいいのに、と思うけど…。まぁそれはそれ、これはこれ。

「つーことで、さっさと会議始めるわよー」

言い出した本人はやる気がまったく無いけれど。早くもラノベを読み出しそうな雰囲気。
そんな事態を避けるべく、勇翔がすかさずホワイトボードに議題を書き込む。

「さっさと終わらせようぜ」
「そうだね。それじゃあまずは文化祭のテーマについて意見がある人居る?」

その言葉に会長がすかさず手を上げた。

「自由」
「「「「「…………」」」」」

俺たちは確信した。この人、はなっからやる気どころか生徒会長の威厳すら無いことを。
だめだ、こんなぐ〜たら会長に任せたら会議が終わらない。
そんなことをすぐに他のメンバーと目線で伝えると、頷いた。適当に意見を出して、それっぽい意見をテーマの保留にすればいいのだ。

「じゃ、じゃあ僕の意見を言って良いですか?」
「おう」

空気を読んだ瑞樹がすかさず手を上げる。こいつは真面目だから、きちんとしたテーマを掲げてくれるに違いない。

「えと…。楽しもう…とか?」
「…………んじゃ、次の意見ー」
「ま、待ってください!!」

せっかく何も言わずにそっとしておこうと思ったのに…。自分からツッコミを希望するとは、こいつもしかしてMか?

「今のは僕が精一杯ボケたんですがっ」
「え!?ボケだったの!?」
「そうです。一生懸命考えた結果、最上級のボケです」
「今のは絶対マジの考えだったと思うけど」
「それは違いますよ大多喜先輩。先輩は日々ツッコミに走っている所為で、
 ボケのなんたるかを忘れているのです」
「なんたるかって何だよ!つーかボケがあるあからツッコミしなくちゃいけないんだろ!」

瑞樹はしょんぼりすると、分かりましたとつぶやいた。
ボケとか言ってるけど、君はどっちかというと両方だよ?つい最近ぼけてたよ?
一人戦闘不能になったところで、次の意見に入る。

「じゃあ次は俺ですね」

頭が良いエリートイケメンの終都がメガネをずいっとあげる。
……でもこいつ、いざというときに外すからなぁ。

「俺は…そうですね、じゃあ『絆』とかどうですか?」

おお!!何というか、ものすっごくまともな意見だ!
でかしたぞ、終都————。

「——を壊すために頑張ろう」
「何でだよっ!」

『絆を壊すために頑張ろう』とかどういうテーマだよ!
それスローガンじゃん!!

「だって先輩達が『でかした!』みたいな顔をするんですもん」
「良いじゃん!後半がなかったらお前MVPだよ!?」
「……それじゃあつまらない」
「お前は会議におもしろさを求めてるの?!」

もっと俺たちの心中を分かってくれって。
今は正直言っておもしろさは求めてないんだよ。ボケもツッコミも今だけはご遠慮願いたいんだよ。それぐらい真面目な会議過ぎて、つまらないから早くおわしたいんだよ。
だからふつーに真面目なこと言って、ふつーに終わらしたいの!!

「分かりましたよ…じゃあ百歩譲って『絆』で良いです」
「なんかその言い方しゃくだけどいいや…。会長、一応決まりましたよ?」
「え?そ、そう…」

おい、今背中に隠したのは何だよ。ぺらぺら落としているのは何だよ。
ずっと静かだった理由は何だよ。
俺はすぐに勇翔とアイコンタクトを取る。会長の横にあるホワイトボードの横に立っている勇翔は、すぐに会長の背後に立ち———

「取ったーー!!」
「あぁぁぁあああ!!!」

会長が背中に隠していた物を奪い取った。
…………会長、あなた。

「俺たちが頑張って会議をやっていたのに、どうしてあなたって言う人は優雅にラノベなんか読んでんだよ!!」
「ら、ラノベじゃないわ!人生の書よ!!」
「絶対違うだろ!表紙に大きく『俺の○がこんなに可○いわけがない』って書いてあるよなぁ!?」

生徒会長の威厳もないし!会議の冒頭よりも酷いざまじゃ無いかよ。
ラノベを奪い取った勇翔もあきれ顔だし、後輩2人なんか知らんぷりしている。
まぁ分かるよ。俺も見て見ぬ振りしたいよ。けどさ、一応これ会議だから。逃げ出したいのは分かるけど、会議だから。そう思って踏ん張ってきたんだよ。

「———限界じゃちくしょー!!」
「あ、大多喜先輩がキレた」
「なんだこのなまけ会長が!!俺たちが真面目に会議してやってんのに、何一人だけのうのうとラノベ読んでんだよ、ああん?いい加減にしろよごるぁあ!!」

龍先輩がおだやかに仲裁に入ってくるけど、無視だ無視!
俺たちが頑張って頑張って頑張って会議してんのに、どうして一人でラノベ読んでんだ!瑞樹なんか一生懸命ボケたのに。会議におもしろさを求めた終都でさえも、最後は妥協したのに!!

「良いじゃない別に!!私だって…(多分)いつもはちゃんと会議してるもの!!」
「してるところ見たことねーよ!」

結局会議はまともに進んだことも無いのだ。
……本当にこの人に生徒会長を任せていても良いのだろうか?