コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: オタクな生徒会長は絶好調!?      『第28話更新』 ( No.70 )
日時: 2011/04/20 18:10
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: p81XYxhw)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

番外編3『ほら、あなたの後ろに———無職になったあなたの姿が見えますよ』

初めましてと言ったけれど、私と奏汰くんは初対面ではない。小さい頃から私は奏汰君と遊んでいたし、しばらく会っていないといえど親戚縁者が集まる席では何度か顔を合わせたことはある。まぁこのような場だからあえて初めましてって言ったのかな。
とりあえず私は場の雰囲気に合わせて「初めまして」と言った。

「それじゃあ玲ちゃんからもう一度自己紹介をお願い」
「あ、分かりました。えと…1年C組の星宮玲です。よろしくお願いします」
「原田君お願い」
「……1年D組原田和毅。よろしく」

私と同学年の男子生徒は原田和毅と名乗った。原田君はかっこいいんだけど、なんだか取っつきにくい感じ。そんな中、私が一番気になったのは彼の瞳だった。何故か悲しそうな瞳をしている。冷たく、井戸の底のような水の色。不思議と濁りはなく、それでいて澄んでもいない。そんな彼を私は、とても素敵だと思った。

「……何?」
「へ?あ、いや別に……」

我に返ると、彼の顔が目の前にあった。知らず知らずのうちに彼の目をのぞき込んでいたらしい。……って言うか、何故か周りの視線が痛いです。

「お主、生徒会という神聖な場所でそのような真似は控えよ」
「そういうつもりはなかったんじゃない?殿、堅いよぉ〜」

何を言っているのかは分からないけれど、とにかく私は原田君から離れた。
変にフラグは立てたくないし。

「それじゃあこの6人で頑張ろうね」
「6人?」

奏汰君はにっこりと笑っていった。……いや、ちょっと待てよ。今ここにいるのは、奏汰君、幸田先輩、姫神先輩、原田君と私の5人。何度数えても5人。
私の目がおかしいのかと思ったら、隣の原田君も首をひねっていた。

「あの、もしかして先輩達にしか見えていない……とか?」
「玲ちゃん、何を言っているの〜?そこにいるじゃない。ほら……玲ちゃんの後ろに」
「それ、今時ひっかかりませんよ」
「うっ……。ほ、ほら……玲ちゃんの後ろに———エ○ザベスがっ!!」
「なんで!?」

なんで○リザベス!?それはそれで怖いけど、何故に!?エリザ○スが居るとということは、桂小○郎も居るのかよ。振り向いたら看板を振りかざしたエリ○ベスが居たら……そ、想像しただけで怖いよ。うん、いろんな意味で怖いよ。
そんなやりとりをしていたら、幸田先輩が深い溜息をついた。

「はぁ……。お主達、いったいなんの話をしているのだ。いい加減にしろ」
「あ、すみません……」
「えぇ〜?別に良いじゃ〜ん、楽しいし」

悪びれもせずに姫神先輩がえへへ♪と笑う。
原田君はいい加減帰りたいとでも言いたそうな顔をしている。うん、なぜだかものすごく同感。脱線した話を早く元に戻して返りたいな。疲れた。

「僕たちの他に、もう1人生徒会役員が居るんだよ」
「もう1人?」

さりげなく奏汰君が軌道修正する。もう1人って…じゃあなんでここにいないんだろう?でも、どうせなら女性が良いなぁ。この生徒会美男子だけだから、もう1人美少女が居てくれた方がバランスとれるじゃん?
なんて期待を寄せていると、生徒会室のドアが開いた。

「あ、もしかして来たんじゃない〜」
「そうだね。入っておいでよ。新入生が待ってるよ」

ドキドキ。お願い、美少女が来ますように——ってなんで美少女限定なんだろう。別に美少女じゃなくても良いですから、女の子が来ますように!!
ドアの外から入ってきたのは藍色のつやつやで長い髪。端正な顔立ちの素敵な——。

「蓮君、遅いよぉ〜」
「…………ごめん」
「ちっ、男かよ」
「なんか言った?玲ちゃん」

おっと。口に出ていたらしい。生徒会室に入ってきた人は、端整な顔立ちをした美男子だった。とは言っても、姫神先輩みたく、女の子っぽい可愛らしい感じがしたから驚いた。蓮君って言われていたから、やはり男性だろう。……残念。

「彼は桜田蓮。副会長だよ。これで生徒会役員の全員がそろったね。男の子ばかりだけど、よろしくね玲ちゃん」

その爽やかな笑顔がなかったら、おそらく私は逃げ出しているところだろう。だって私は男の人に免疫がないのだから。