コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: オタクな生徒会長は絶好調!?参照300突破 『番外編3更新』 ( No.71 )
- 日時: 2011/04/20 18:11
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: p81XYxhw)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
第29話『文化祭って青春を彩る1枚とか言うけれど、結局一緒に回る人が居なくて寂しい思いをする人も少なくはない』
「こほん。気を取り直してもう一度。それじゃあ『絆』をテーマにしていいのね?」
会長の言葉に頷きがたい俺たち。なんて言うか、『絆』っていうテーマじゃ夏休みの終盤に日テレでやる、あの泣けるテレビ番組みたいじゃん?何年か前がそんなテーマだったし。そう思っていると、場の雰囲気を察した勇翔が口を開いた。
「会長、なんだかそれじゃあ真面目すぎねぇか?」
「ま、真面目すぎって…。それが当たり前じゃないの?」
「だって俺たちが真面目な会議とか、キャラぶれ以外のなにもんでもないだろ?」
「『俺たち不真面目です!』って言ってるとの同じよ、それ。っていうかキャラなんてすでにぶれてるから」
それを言ってはお終いだって。
しかし、ここは食い下がる勇翔。今回の会議は真面目にやりたいので、会長にさらに言いつのる。
「もっと俺たちらしいテーマがあるだろ?」
「ロ○キー?」
「ちげーよ。何でそこでロッ○ーなんだよ。つーかそれをテーマに掲げたところで文化祭は一気にリングに変わるだろ」
「うまいわね、文化祭というリングにのぼる……。ふ、深いわ…」
「どこがだよ!っていうか、さりげなく議題から離れようとするなよ」
げっそりと疲れた勇翔に変わり、今度は終都が攻める。
さっきは外したけれど、今度は大丈夫だろう。多分、きっと、おそらく。
「会長がやりたいことを掲げればいいじゃないですか」
「やりたいこと……?」
終都の言葉に会長が考え始めた。やりたいことって……それを会長に言ったら、絶対私用するだろ。
すると、顔をきらめかせた会長が言った。
「ゲーム!!」
「却下」
ほらやっぱりな!!一刀両断のごとき速さで終都が却下を出す。しかし、そんなことにへこたれない会長は、矢継ぎ早に言っていく。
「アニメ」
「却下」
「BL」
「却下。つーかそっちにまで手を出したんですか」
「コスプレパレード」
「却下。PTAを敵に回しますね」
「輪になって踊ろう」
「却下。そんなことみじんも思っていないですよね」
泥沼会話の上に落ちも山もなかった。ボケもいまいちだしツッコミもいまいちの、若手芸人よりも酷い会話だった。
ひたすら却下をいれた終夜は「飽きた」とでも言うように、椅子に座った。そして俺たちの方を見て後は任せました、と言った。……こいつ、事態を収拾するどころか散らかしていっただけだな。
仕方ない、俺が助けに行くか……。
「さすがに会長の好き勝手には出来ませんが、会長はどんな文化祭にしたいんですか?」
「ど、どんなって……」
俺の少し真面目なトーンに驚いたような顔をした後、会長は再び考え始めた。
「そうね……。これまでにない文化祭?」
「なるほど。だからといって、先ほどのようなテーマはダメですよね。これまでにないって言うか、今後100年ぐらいなさそうですから」
「そ、そうだけど……。とにかく、『これまでにない文化祭』にしたいの!」
なかば自棄になった会長の台詞に、俺たちは呆然としてしまった。
まさか会長の口からそんな台詞が出てくるとは……。会長は悪かったわね!と言うように鼻を鳴らすと、真面目な顔で俺たちに言った。
「決めたわ!今年の文化祭のテーマは『NEW』よ!『新しい』よ!『これまでにない文化祭』に決定!これは会長命令だからね!!」
言うだけ言うと、会長はPSPを手に取るとゲームを始めた。
結局俺たちは今回も会長に振り回されるのかなぁ、と思ったけれど……。どうしてか、笑いがこみ上げてきた。期待するのも良いかもしれない、なんて思っている自分がいたりして————。