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- Re: オタクな生徒会長は絶好調?『第3話更新』 ( No.8 )
- 日時: 2011/11/24 14:14
- 名前: 棋理 (ID: 3s//keBI)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
第4話『初心に返るべし!さすれば道は開かれん……』
「あ、あの会長……」
「…………」
「い、良い天気ですね……」
「…………」
この広い生徒会室の中央で、俺と会長との間にはゲーム音しか響いていない。この状況が続いて15分。耐えた俺の精神を褒め称えるべきではないかと、自分でも思う。
正直言うと、この状況はきつい。最初は喜んだ。龍先輩も勇翔も蒼井も月島も部活で、生徒会に遅れると聞いたときは。もしかしたら会長との間にフラグが立つかも!? なんて期待してた
——現実は。
「死亡フラグすら立つ気がしないんですけどぉお!!」
「うわっ。ビックリした! 大多喜、あんたいたの?」
「もはや眼中になかったですか……。会長の隣で一生懸命に話してたんですけど……」
つまりただ無視してたんじゃなく、存在すらつかめていなかったらしい。
俺ってそんなに存在薄いのか?
「存在薄いんじゃなくて、存在を認めてないだけ」
「もっと酷いです!!」
ほんと、この会長は黙ってれば素敵なのに……。口を開けば罵詈雑言かオタ話しか出てこないとは……。とことん駄目な人だな。
「それはそうと会長。今日ぐらいまじめに仕事しませんか? ちょうど他のメンバーも居ないことですし……」
「…………え? ああ、そうね」
そう言ってもコントローラーを離そうとしない会長。
……えいっ!
「ああ!! 私の宝物!!」
「駄目人間決定ですね!!」
コントローラーは会長の一部らしく、空っぽになった手の中を寂しそうに見つめると、
会長は渋々とテレビの画面を切った。
「それで? 今日は何をするの?」
「そうですね……。ああ、じゃあ新しく来た部活申請の書類の確認をお願いします」
「りょーかーい」
目の前に部活申請の書類を山積みにすると、会長はさっきまでのだらけた様子とは打って変わって、たちまち出来る人になった。
背筋をしゃきっと伸ばして、黙々と書類に目を通していく。
……やばい、あまりにも絵になってる。
「……ちょっと大多喜。あんた人の顔見てないで、さっさと仕事しなさいよ」
「へ? あ、ああ。すみません…」
見とれてたなんて言えないよな…。
さ、俺もさっさと仕事しちゃおう。
——15分後——
「……ふぅ。終わった終わった」
「お疲れ様です。いやー、さすが会長ですね。仕事終わるの早いです」
あれほどあった書類を15分で終わらせると、会長は満面の笑みで背伸びをした。
それにしても、こんなに仕事が出来て美人で成績優秀で運動神経抜群の、完璧な美少女がオタクなんだろう。
「……会長はなんでオタクなんですか?」
「は、はぁ!?唐突すぎるわよ」
「すみません……。でも、何でも出来る会長がどうしてオタクなのかなぁって。ほら、家柄も良いじゃないですか。だいたいお嬢様とかって、生け花とか乗馬とかバイオリンとかあるじゃないですか」
「大多喜、あんたもアニメの見過ぎじゃないかしら。今時そんなに優雅なお嬢様は居ないわよ」
まぁ確かにちょっと古いかなとか、バブルの匂いがしましたが…。
「オタクになったのはいつぐらいなんですか?」
「そうねぇ……。高校に入ってからかしらね。その前はあまり趣味とかなかったし…」
「あ、意外と最近なんですね。その前は何してたんですか?」
「その前……、かぁ」
腕を組んで考える姿。……やはり絵になるなぁ。
一通り考えたのか、会長は何故か寂しそうな顔をして俺の方を向いた。
「本当に一通りやったわよ。馬術にバイオリンにピアノ……。他にも今流行っているものとかを徹底的に調べたりした。……でも長続きしなかったのよ。何をやってもつまらない。収集趣味とかもすぐに集まったりする。……本当につまらなかった」
……意外とシリアスだな、会長の過去は。
そうか、会長は星宮財閥のお嬢様であって、やろうと思えばなんでも出来るんだ。
「でもさぁ。オタク趣味って、本当に楽しいの。自分が知らない二次元の世界とか、無限の可能性があるの。初めてアニメやラノベを読んだとき、これほどまで素敵な趣味があるのかって思った」
「へぇ……」
俺はあまりオタクとか分からないけど……。でも、まぁ人の趣味をとやかく言う趣味はない。
「結論を言うと——」
「??」
「……会長は会長が好きなことをすればいいって事です」
「は、はぁ?」
うん、俺良いこと言った!! 少し自己満足な気がするけど。会長が意味不明な顔をしてるけど。まぁ良いんだ!!
「じゃあ会長!!今度マ○オカート対戦しましょう!!」
「う、受けて立つわよ!!」
丘の上高校生徒会。それは、様々な過去を持つ人たちが楽しく暮らすところである。