コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: オタクな生徒会長は絶好調!?参照400突破 『記念話更新』 ( No.85 )
- 日時: 2011/06/24 18:55
- 名前: 棋理 (ID: f0LIvz7Q)
番外編4『根暗で悪かったですねぇと言う人が突然キレたりすると、本当に根暗?と疑いたくなる今日この頃』
ぶっきらぼうに伸ばしている長髪はとてもさらさらとしていて、女の私でも少し羨ましくなった。それでも、第一印象は「ミステリアス」だった。長髪もそうだけど、猫背であまりぱっとしないタイプ。すると桜田先輩が、ふいに私と原田君方を見た。
「……春君、この人達誰?」
「あれ、言ってなかったっけ?2人が新しい生徒会のメンバーだよ〜」
「…………言われた気もする」
桜田先輩はとにかく眠そうな目をして、姫神先輩と会話をしている。正直言って……絵になっている。私はとりあえず奏汰君————もとい、生徒会長に向き直る。
「あの……生徒会って言われても、いまいち何すればいいのか分からないんですけど……」
「ああ、そうだね。じゃあ義久、説明よろしく」
「説明ならば、会長であるお主がすればよいではないか」
「あはは。まぁ良いじゃん。よろしく頼むよ」
嫌々ながらも、幸田先輩は黒板に『生徒会の仕事とは』と書いた。
どうやら嫌がってはいるものの、やる気はあるらしい。気づけば、私の隣にいる原田君も面倒そうではあるけれど、黒板の方を見ていた。
「では、生徒会の仕事とは。生徒のために尽くし、学校のために尽くし、地域のために尽くすものである」
「あ、そんなに根本的なことは良いです。要点をさっさと言ってください」
原田君のストレートな言葉に、一瞬ひるむ幸田先輩。額を見ると、青筋がピクピクしてる。
それを見て笑っている生徒会長。……なんなんだ、この人達は。
「ご、ごほん!では、直球に言うとだな。この生徒会というものは生徒のための会ということである」
「生徒会長、翻訳をお願いします」
「我は普通に日本語で話しておるわ!!」
なんて言うか、もはやコント化してる……。
えっと、その後の会長の説明を要約すると————。
・生徒のために尽くすこと
・学校の環境を良くすること
・生徒と教師をつなぎ合わせる役目であること
と言った感じだった。つまり、私たち生徒会はこの学校のために働くと言うことらしい。
「ということで、今日からこのメンバーで行こうと思うから。
よろしくね」
生徒会長の言葉で、今日はお開きになった。
———帰り道————
「さようなら、星宮さん」
「さようなら」
生徒会室から戻る途中、何人かのクラスメイトに声をかけられた。
どうやら私と双子の弟、龍の家のことはすでに学校中に広まっているらしい。龍も私と同じ私立のお金持ち学校から、こっちに来たからそうとう変な目で見られているらしい。私たちの中学校はお金持ち学校というだけではなく、有数のトップレベル。だからいきなりランクの低い高校に入学してきたとなると、そりゃ不審な目で見られるわな。
私はそんな不審な目、好奇心の目をさりげなく交わしながら昇降口に向かった。時刻は1時半。今日は入学式だから、本来ならば午前中で帰れるのだけれど、部活動見学が実施されているために新入生が見学しているのだ。まぁ私は無理矢理生徒会室に引きずり込まれたのだけれど。
「星宮さん、一緒に帰らない?
「はい?良いですけど……」
ふいに後ろから声をかけられた。振り向くと———。
「か、会長?」
なんとそこには、先ほどまで生徒会室に居た会長さんがいた。
会長は私の驚いた顔に苦笑すると、行こうかと外に出た。
「今日はいきなり生徒会に入ってくれなんて言って、驚いた?」
「は、はい……少し」
うぅ……。奏汰君と二人っきりなんて、少し緊張……。
私の堅苦しい雰囲気に気づいたらしい。会長は急に穏やかになた。
「そんなに緊張しないでよ、玲」
「…………あ……」
久しぶりに呼ばれた、私の名前。奏汰君特有の甘く、優しく、とろけてしまいそうな声。
私は抱きすくめられたような感覚に陥った。何年ぶりかの感覚に、私は思わずはにかむ。
「一応さ、僕は生徒会長って言う立場上一人の生徒をひいきするのは無理だからさ。
でも、ちゃんと玲のことは考えてるよ。久しぶりに会えて、嬉しい」
うぅ……。あの頃とは違い、すっごい大人っぽい奏汰君に「会えて嬉しい」なんて言われたら、ちょっと照れる……。
でも、私はホッとしていた。奏汰君が私の事を忘れていなかったから。奏汰君が、あの頃と変わらずに私の名前を呼んでくれるから。