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- Re: オタクな生徒会長は絶好調!?『コメ求む>< 第32話更新』 ( No.93 )
- 日時: 2011/07/06 19:38
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: 1.Bbg0di)
番外編6『どうして玲さんはオタクなの?それはね……うん、本当に何でだろうね……』
「……今日は、私一人か……」
とても広い生徒会室で私一人。と、とても寂しい……。生徒会が始まってから1ヶ月が立った今、一年生のクラスにもだんだんと柔らかな雰囲気になってきた。そもそも、何故こうなったかというと……。
1、会長さんが女子に呼び出されている
2、幸田先輩が演劇部に引っ張り出されている
3、姫神先輩をコスプレ部に貸し出し中
4、桜田先輩は例のごとく、毎日のごとく校内で行方不明
5、原田君は無断欠席
……最後の二人は、絶対に許されないと思うんだ。いい加減生徒会室に来るべきだと思うんだ。っつーか本来なら会議が開始されて既に30分経過しているはずなのに、誰一人来ないのは由々しき問題じゃないかな?!
しかし、私はそのおかげで念願の夢が叶った。それは———
「生徒会室で乙女ゲームとか、めっちゃ興奮する!!」
萌える!禁忌と分かっているからこそやってしまう乙女ゲーム!しかも、それが学園物だからさらにそそられる!!そこ!彼氏いない歴16年ですが何か!?12歳の頃から乙女ゲームにはまってますが何か!?
こうなったら語るわよ!語り尽くすわよ!
「二次元の恋愛と現実の恋愛について、語るわよ!!」
「お前、頭大丈夫?」
「ダメかもしれない!っていうかそれを思っては負けだと思ってる————って、へ?」
ホワイトボードの前で力説していた私の言葉に、さらりと入ってくる。それはもう、自然すぎて分からなかった。
私は恐る恐る生徒会室のドアを見る。そこに立っていたのは———
「は、原田……君」
あきれ顔の原田君だった。……ど、どうしよう……。
私はこのキャラ(オタク)は普段隠している。……ただでさえ私立の中学から普通の高校に入学してきた変人と思われているのに、そこに新たなオタクキャラを追加してしまったら、さすがの私でも心が折れてしまいそう。悪い言い方をすると猫を被っている。このキャラは生徒会が始まって1ヶ月だった今でも、この生徒会のメンバーには知られていない……のに。今日、同じ学年で同じクラスで同じ学級委員の人に知られてしまいました。
「「……………………」」
二人の間に微妙な空気が流れる。とりあえず、無駄とは分かっているけれど言い訳をしてみる。
「こ、これは……その……。と、友達に言われて仕方なく……」
「その割にはノリノリだったよな」
「べ、別にやりたくてやったんじゃ、ないんだからねっ!
「ツンデレに萌えたことはないけれど、その中でも一番萌えなかった」
「安○先生……ゲームがしたいです……」
「それは○西先生に言っても仕方ないと思う」
ここで私の中のネタが尽きる。……どうしよう。さらに墓穴を掘っている気がする。気のせいなのか?気のせいだよな。気のせいだ。気のせいであって欲しい。
とりあえず私は手に持っていたゲーム機をしまい、何事もなかったかのように勉強を始める。それに合わせて、原田君も席について教科書を広げる。ふぅ。何とかごまかせたらしい。
「そういえばさ」
「な、なに?」
「お前ってそんなキャラだっけ」
「う”」
「普段は生真面目で教師に言われたことは必ずやり遂げて、クラスメイトの頼みなら何でも叶えるお前が、ゲーム」
「…………」
どうやら原田君はこのことを無かったことにはしてくれないようです。悪魔です、この人。きっと弱みが増えたとか言って、私をこれからおどすんだとおもいます。どうしましょう。開始一ヶ月で私の青春にピリオドが打たれようとしています。
「おい」
お父様、お母様、そして龍。こんなできの悪い私をお許し下さい。こうなるのでしたら、前の中学から高校へ進学すれば良かったです。お母様達の反対を押し切ってまで、この学校に来ることは無意味でした。
「おい」
龍、あなたにあげたかったRPGの攻略本。一番下の机の引き出しにあります。もしお姉さんが帰ってこなかったら、読んでください。そして、それをお姉さんだと思って大事にしてください。
「おいって言ってんだろ」
「っ!!ちょ、何するの!?」
頭の中で家族への最後の手紙を読み上げていたら、いきなり肩を掴まれた。私、ここでいったい何をされてしまうの!?はっ!?まさか、リアル乙女ゲーム的展開!?それはそれで美味しいかも……。
「本当にお前頭大丈夫か」
「……た、多分。って言うか、いい加減手を離して」
「嫌だ。この手を離したら、なんだか全て無かったことにされそうだから」
「するわよ!喜んでするわよ!」
私は無理矢理にでも原田君の手を方から離そうと試みる。しかし、相手は男子。そうは見えない原田君だけれど、意外と力はあるみたい。私なんかの力では無理。だから私は思いきって体をよじる。すると、予想外の動きだったのか、原田君は驚いたような顔で少しバランスを崩した。よし、チャンス!さらに体をよじると———
「え!?あ、ちょっ———」
私がバランスを崩して、倒れてしまった。
「いった……」
「おまえ、本当にバカだよな」
「うるさ——って、え?」
予想外なことに、原田君の声が耳の近くで聞こえる。……なんだか悪い予感がして、恐る恐る目を開ける。すると———原田君顔がとても近くにあった。そして、床に倒れる私と原田君。さらに言うと私の上に原田君がいる。あれだね、乙女ゲーム的展開だけれど喜んでいる暇なんて無い。憧れのシチュエーションだけれど、実際に起こると正直困るやつだね。そして、お約束なのはここで誰かが入ってくること———
「え、えと……。何してるの、二人とも」
案の定、生徒会のメンバー全員が入ってきやがりました。
家族の皆さん、どうやら私の青春は本当にここで終わるみたいです。