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Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵4つ目】 ( No.103 )
日時: 2011/02/24 18:00
名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)

その後、俺は昌子と再び並んで歩いていた。
兄貴と呼ばれた後、俺は早々にその場から立ち去った。すると、体育倉庫近くまで様子を見に着ていた昌子が、無傷で出てきた俺と、体育倉庫の中で倒れている数人の不良たちと、俺に恭しく頭を下げている不良をみて、なにがあったの?といったふうな顔をしてきた。だから俺は、お前が大事なことを話すまでは教えないてきなことをいって、今、クラスにむかって歩く廊下にいたる。
俺は正直、もう昌子と一緒にはいたくなかった。幼馴染を助けたヒーローはそのまま無言で立ち去るってね・・・そんな展開がおれてきにはかっこうがついたと思うんだけど、まぁそんなことは今となってはどうでもいい。俺は隣をうつむきながら歩く昌子に、声をかけてみることにする。

「・・・なぁ昌子?お前は———」

だが、そのあとの言葉が続かなかった。今口にしようとしたことは、なんの根拠もない、俺の予想だったからだ。だから、俺はそれをいっていいのかと口ごもってしまったのだ。昌子はそんな俺に、なに?といったふうな感じで首をかしげてきたが、・・・どう口にしていいかわからない俺にとっては、なんで発言しちゃったんだろうなぁと思い悩むばかりで、言葉をだすことができない。
そんな俺をみかねてか、それともそんな俺の、いつもと変わらないヘタレぶりをみて・・・なにかを決心したのか、昌子は真剣な顔になって、だがどこか泣きそうな顔で、俺に、その大事なこと・・・を、話てくれた。

「・・・うん、昨日話すことだったんだし・・・今更思い悩んでも仕方ないよね。裕介、これは・・・なんでもない、ただの雑談だと思って、気軽に聞いて欲しいの」

だいぶ活気が出てきた朝の廊下で、昌子は重苦しくそう言い出す。だから俺は、それに同調して、軽い口調でああ、と頷いた。ここで俺がもしも重そうな雰囲気をだしてしまったら、昌子はしゃべれなくなってしまう可能性があるから、軽い口調で、聞き返す。

「ああ、わかった」

俺はニッコリと、なにも感情のこもらない空白の笑顔で昌子に笑い返す。昌子はそれに、ひどく痛々しそうな顔をして———だけど、不器用な、感情の表現が不器用な俺なりの努力に笑い返し、なるべく明るくかえしてくる。

「三日前になるんだけどね・・・。私は、修二に呼び出されたの」

その瞬間、俺の顔がすこしだけひきつるのが自分でもわかる。だけど俺は、ニッコリと空白の笑みで笑い続ける。昌子が話すのをやめてしまわないように、空白の、何もこもらない笑みで———

「その日は別に、何の予定もなかったから、デートの誘いかと思ってたの。だけどね———それは違った」

そういえば、と俺は思い出す。昌子はたしかに三日前、なんか結構オシャレな格好で外に外出していた俺はたまたまコンビニにでかけようとしていたから見ただけなのだが、結構浮かれていたのが傍目から見ても分かった。その日の出来事なのか———

「私は学校の校門前で集合だったから、そこにいったの。そこにはもちろん修二がいて・・・とても、かなしそうな顔をしていたの」

その言葉をきいて、俺はあのすかした顔が悲しそうに歪むのを想像する。修二はどちらかというとイケメンの部類に入る顔立ちで、俺なんかよりも全然人に気遣いができていいやつだった。まぁ俺にとっては嫌な奴でしかなかったんだけどな。

「修二はね・・・その悲しそうな顔のまま、私をつれてロッテリアにはいったの。私は無言の修二を見て、なにかあったのってたずねたけど、答えてくれなかった」

そこから、昌子の顔が悲しそうに歪む。ひどく疲れきってしまっている顔でそういう。・・・その日になにかあったとして、その後にきた中西襲撃事件だ。それは誰だって疲れるだろう。
そして俺たちは再び歩みを止める。真剣な話をするとき、なぜかいつも俺たちはその場に立ち止まってしまう。それは昔からの癖といってもいい。昌子が隣に引っ越してきて、挨拶をするときも、親がいなくったあとでも俺たちは立ち止まったまま、話あった。互いの事情を、語り合った。遊んで、遊んで、いっぱい遊んで———やはり分かれるときも、立ち止まって、ちゃんと目をみてさようならをした。俺たちはそんな関係だ。互いを大切にしていて———だけど、どこかでずれてしまった関係。だけど、ずれたとしても、俺たちの癖だけは、治りはしない。
昌子は俺の目をしっかりみて、俺は笑いながらだけど、瞳には真剣な色を宿して、昌子のことをみつめる。朝の喧騒、おはようだの昨日なんかあっただのとか聞こえる廊下で、二人は互いに見つめあい、真剣な話をする。傍から見たらばかばかしいとしか思えないだろうが、それでも俺たちは、真剣に見つめあった。
やがて昌子は、その口を開く。それに俺は、真剣に耳をかたむける。
重く開いた口からでた言葉は———