コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵5つ目】 ( No.115 )
- 日時: 2011/03/01 00:30
- 名前: だいこん大魔法 (ID: ikrpTGuK)
「ヒャハハハハハハ!!やはり昔と変わってねぇなぁ【紅の魔術師】!!使役魔法があろうがなんだろうが、属性の因果関係を無視できると思ってたんじゃねぇのか?まぁその属性の因果関係があろうがなんだろうがお前は俺には勝てないんだろうけどよぉ!!」
グレンは高笑いをしながらエルのことを睨みつける。エルは昨日、俺にみせた気弱げな、もう自分が死ぬことかが確定してしまったかのような表情で、グレンをにらみつける。それは、もうエルがエルではなくなってしまっている。エルの強気な表情ではない、エルの、死を覚悟した時の表情だ———。
「ま、時間はまだまだたくさんあるんだ、もっともっとお前の魔法を見せてみろよ。俺になんの意味も示さない弱弱しい弱者の魔法をみせてみろよ!!」
エルが唇をかみながら両腕を前につきだす。するとそこから詠唱も無しに炎が吹き荒れる。それはあらかじめセットしておいた魔法なのだろう。その炎は俺のイフリートティアよりも強大で、さらに威力があると思われるほどなのだが、それは奇しくも、グレンの前に突如現れた氷の障壁によってふせがれる。炎は氷によって凍化され、その力を無くしてしまう、だけど、エルはまだあきらめない、詠唱をして、魔法をだし、グレンを標的にして大量に放つ。魔力の枯渇しかけているエルにとって、これは完全なる・・・苦痛でしかないだろう。だけど、俺には———エルより圧倒的に弱い俺には、ただ魔法を使うことさえも許されない状況だった。
ことごとくにエルの魔法は氷の障壁によって防がれる。なにもかもをうけつけないように、それほど力のないように見える氷の障壁によってすべてふせがれる。それを見るたびにエルは唇をより強く噛む。そこから一筋の血が滴り始めたとき、初めて俺は、後ろから魔力の気配を感じ取った。
それはリーだった。エルの必死の攻撃をことごとくふせぐグレンにたいして、俺はどうすることもできない。だけど、リーは俺よりも力がある。少しの可能性にかけようといった考えなのだろうが。それはあまりに無謀すぎる。エルよりもおそらく力のないリーは、不意をついたところでグレンの反射神経の前にねじふせられるだろう。だけど、俺にはどうしてもリーが勝機のない戦いを挑んでいるようには思えなかった。なにかがある———そう考えたとき屋上のドアが、バン!!と思い切り開かれた。
「Kapitulli IX mit gjashtedhjete, rrufe Shitsukusu te shkaterruar boten eshte i cmendur i drejtesise hyjnore Seshi!!『神話第六十九章、世界を破壊しつくす雷は狂乱せし神の裁き』」
そこから、普段は淡々と静かにしか話さないローラが切羽詰ったかのような声で叫ぶ。片手にもつ本は重力を虫してバラバラとめくれ、ひとつのページを開いて止まる。そこからローラの詠唱にしたがって、自然の摂理を無視して、青白い巨大な槍のような雷が背後からグレンを貫かんがごとくに一直線に空中を引き裂いていく。
「Ne kushtuar nje deklarate sot ketu te kontrates, agoni e vetmise leshoj zjarrte djall!!『我今ここに契約文を捧げ、孤独に悶える悪魔の炎を放つ』」
それと同時にリーは詠唱する。詠唱が終わった瞬間にリーの目の前にエルの蛇と同じように、姿をもつ炎が現れる。だがそれはエルとはまったく違う。エルのが穢れのない深紅の美しい炎ならば、リーのは穢れきった深淵の嫌悪感が感じられる闇の炎。それは親が子供に聞かせるような話の中にでてくる悪魔のような形をとっていて、そいつはリーが指をグレンにむけたことによって、咆哮をあげながら一直線に、炎の粒子を残しながらグレンにむかって飛んでいく。二翼の翼をはためかせながら、グレンを焼き尽くさんばかりの勢いでせまっていく。
その間にもエルの攻撃とグレンの防御は続いている。一度に二つの魔法を唱えるのは、人によっては可能だが、相当な魔力の消費を覚悟しなければならないのだとローラは言っていた。それは俺があまりにも無知だったために教えてもらったひとつの集団戦の戦い方のひとつだった。一人に敵の注意をひきつけて、残りが後ろから魔法をはなってあいての集中力をきらしてそのまま押すという。だが・・・それはおそらく、並みの魔術師とは比べ物にならないほどの強さを持つグレンには・・・きかないだろう。
だがやれるときはやっておかないとならない。俺はグレンに対する実力さの恐怖を力にかえて、意識したとたんにふるえているとわかった唇を必死に動かし、両手に宿っていることすらも忘れてしまうほどの圧倒的な強さをもつグレンにむかってはなつ。その間にも、ローラのあとからでてきた蛍とルミとレイが、【魔法】を詠唱する。