コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 更新速度低下 ( No.123 )
- 日時: 2011/03/07 00:42
- 名前: だいこん大魔法 (ID: ikrpTGuK)
・・・エルは一体、どんな反応をしてくれるんだろうな。
あの寂しさでいっぱい、生きる意味を無くしたかのような顔は、もう二度と見たくない。それは、俺がエルからはなれてしまえば二度と見ることはないだろう。だけどそれの場合、その表情だけが、俺の頭のなかにずっと焼きついて消えないだろう。だから俺は、エルと一緒にいたい。それは我が侭だ。ただの我が侭だ。でも俺は、エルと一緒にいたい、エルのそんな顔をみたくない。エルを笑わせてやりたい。仲間になったばかりだけど・・・ほかのやつらの笑顔だって、みたい。人間だれしも———いや、化物でもなんだろうと、笑っていられれば———なんとかなっちまうもんだ。
凍り付いてしまっている空気を俺は引き裂きながら中に舞う。屋上のフェンスをそのまま跳び越え、そのまま一度フェンスの上にたつ。バランスを崩すことなくフェンスの上に立った俺は、一度戦況の確認をする。
———完全に、グレンの優勢だった。ただ一度グレンが武器、ロンギヌスを振るうだけで空気は凍てつき、そこから衝撃が生まれて、それがエルたちに襲い掛かる。それを何度も何度も繰り返すだけで、エルたちはピンチにおいこまれている。そう、たった一個の攻撃方法だけで、エルたちは一気にピンチに陥ってしまっている。生きる気力を無くしたという顔でエルは炎の盾を展開している。それは、エルが負けず嫌いだからだ。生きる気力を無くしたものは、普通魔法なんて使ったりしないでそのまま死んでしまうだろう、だけども、エルは負けず嫌いだ。それが幸いして、今エルは戦っている。ただ負けたくないといわんばかりに。
リーはそんなエルを守りながらグレンに対抗して禁呪を使用していた。だけどその力は完全にグレンのロンギヌスに劣っていて、リーはもうそろそろ倒れてしまいそうなほどだった。・・・リーにはまだ、禁呪を長い時間維持させておくほどの魔力は、ないのだ。
ローラは防御しながらも、隙をついて攻撃をはかっていた。二つの本を開き、一つは防御の魔法を展開させて、もうひとつは攻撃の魔法を展開している。だけど、それはものすごくむずかしいようだ。防御に力をいれれば攻撃は弱くなる。攻撃に力をいれれば防御は弱くなる。
だから、二つのバランスをとるのには相当な精神力が必要になる。そのためか、この中で一番疲労しているのはローラだと思われる。
闇の力を、夜の力を行動力として戦う蛍は、完全に攻撃に徹していた、それは、防御魔法を展開したところですぐにやられてしまうからだと判断したためだろうか、一切防御魔法をつかっていない。だけどまだやられていない。昼間の先頭のために一番魔力の低い蛍は、守られながら戦っているのだ。それを、ローラを援護するかのように防御魔法を展開しているのはレイだ。同じ氷属性同士というのもあって、レイはグレンの攻撃でそこまでダメージをうけないようだ。だけど魔力の量が違いすぎるから、やられるのも時間の問題だ。弱き魔力のものは強き魔力のものに打ち砕かれる。それは同属性であろうとも例外ではないのだ。
ルミはローラと同じように防御と攻撃役を買っていた。だがそれは、二つの魔法を同時展開するのではなく。防御魔法をそのまま攻撃魔法にしてしまうという荒業だった。ルミがはなった防御魔法、天高くのびる闇の障壁は、グレンの攻撃に打ち砕かれながらも前に進んでいく。
つまり、それが、その闇の障壁じたいが防御魔法にもなっていて攻撃魔法にもなっているのだ。
・・・よく戦っている。全員必死だった。生きることに、生き延びることに———守ることに、必死だった。それなのに、俺は仲間を見捨てて、逃げ出した。こんなにも必死に生きようと思って戦う仲間たちを見捨てて、楽に生き延びる道をえらんでしまった。
ならば———それを償う。
俺も男だ。ヘタレとか関係なしに俺は男だ。女の子だけおいて逃げたのはものすごく恥ずかしい。だけど俺にはグレンを倒す力はない。圧倒的に足りない。ならば———力を合わせようじゃないか。俺がいたところでどう戦況が変わるかは知らんが、男として、もう逃げるわけには———いかない。誰も死なせるわけには———いかない。
その身を犠牲にしてまでも。
「天地を揺るがす劫火———その銘はすべてを焼き尽くす炎剣、その役は負を払う聖なる炎」
俺はフェンスの上からグレンを見据えて、その言葉を口にする頭に突然思い浮かんできたその言葉を、ただ口にする。その瞬間、足をおおっていた炎が消えうせ、それが両腕に宿り始める。右腕に宿っていた炎は形を変えていき、形状固定化魔法に変わっていく。左も同じように変化していく。
ぎゅっと俺は、その武器の柄をにぎる。右手に現れたのは、炎の刀だった。一振りの、俺の体の半分ほどの大きさをもつ業炎のすべてを焼き尽くす炎の剣———左手に現れてたの、白い炎を宿す西洋の剣を模した形の剣だった。その白い炎は俺の左腕全体を包み込んだかと思うと、腕全体に、白い、まるでゲームに登場するような伝説の勇者が装備しているような———ガントレットが生まれた。これは———なんだ?・・・まぁわかんないから今は『形状固定化防御魔法』とでもいっておこう。その形状固定化魔法は俺の左腕にフィットしていて、今まで以上に体が軽くなったような気がした。自分の体重がもう、ないように思えるほどに。最終的にそれは、肩当てまで作り出し、左腕は完全にガントレットでつつまれた。それを見て俺は初めて・・・これが『イフリートティア』ではないことに気がついた。
だが———
「このさいそんなこと関係ねぇ・・・」
そう、関係ない。だからもういくぜ?準備は完璧だ———
さぁて・・・これからが本当の戦いだ【氷翼の魔術師】
「『アスカロン』!!邪なる『ロンギヌス』を———焼き尽くせ!!」
その掛け声とともに、俺はグレンにむかって一直線に跳んだ