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Re: 【紅の魔術師】※誤字脱字多数 ( No.13 )
日時: 2011/01/23 22:57
名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)

「鎖牙よぉ、転校生を突然連れ去って結局一時限目に帰ってこないで帰ってきたと思ったら手ぇつないでて・・・これはいったいどういうことなのか説明してもらおうかぁ?」

俺が一時限目の終了のチャイムとともにエルと教室に入ると、妙な空気が漂っていて、男子からは嫉妬の視線、女子からは、なになに?二人は知り合いなの?とかいう好奇心バリバリの視線がおくられてきていた。
とにかくエルは窓際の一番後ろの席なので、エルをそこに座らせた後、自分の席に座ると、まず第一に前に座っている西野がなにしてたんだ?と聞いてきたので、実は知り合いだったんだ、とまんざら嘘でもないことを言っといて、後で詳しく教えろよ、と不敵な笑みを返された。それで助かったと思ったのもつかの間、今度はこのクラスの中で一番不良で、三年の極悪の先輩方と仲がいいといわれている中宮が俺の机を思い切り蹴りながら———先の言葉をはいてきたのだ。
正直俺は、こんなやつと話さないでエルといろいろな話をしたいところなのだが、今エルは、俺につれていかれたせいで質問できなかったクラスメイトが押し寄せてしまっているため、それはかなわない。しかたないと思い、俺は中西の相手をしてやることにする。・・・正直いうと、俺はこういう変なところでテンションが高い野郎は嫌いなのだがな。

「あー・・・それね、あいつは知り合いでな、どうして来ることを知らせてくれなかったんだと問いただしにい———」

「んな見え透いた嘘ついてごまかそうとするんじゃねぇよ雑魚が!!」

俺がちゃんと中西の質問に答えてやっていたら、大声をだしてその言葉をさえぎる。それにクラス全員は反応して、なになに、喧嘩?てきな視線をおくってくる。転校生いるんだからよそでやってよーという非難の声もあり、おもしろそうだな、という視線もある。
中西が大声をだして俺のことを雑魚といったが、俺は別段癇に障るということはなかった。逆にうんざりしたようなため息をつく。すると、中西は俺のように、どこかの仏よりも心の広い俺とは違って短気なのか、そのため息でさらに声を張り上げる。

「テメェなめてんのかっ!?喧嘩の経験もないぼっちゃんが俺のことなめていいと思ってんのか!?」

・・・いやまてよお前、そもそもいつ俺がお前の下だってことになったんだよ。上下関係はあまり作らない方がいいと思うなぁ、俺は。そう心の中で俺は呟き、またため息をつく。そのせいでさらに中西はきれ、拳に血管が浮き上がる。

「・・・俺をなめてっと痛い目見るぞっつってんだよ雑魚が!!俺にはなぁ、族に仲間を持っている先輩だっているんだよ!!」

あーめんどくさい。大声だしていれば自分が上だってことになるのかよ・・・。ていうかお前、いっつも肩で風を切って歩いて正直邪魔なんだよね。自分が偉いとか勘違いしてんじゃないのだろうか?
あー・・・もう、めんどくさい。こういった妙なところでテンションが高いやつに話が通じるとははなから思ってなかったし、しょうがない、無視するか。

「無視してんじゃねぇぞゴラアァァ!!」

俺が無視を決め込んでいると、横でギャーギャー叫んでいた中西が俺を蹴り飛ばし、そのまま椅子ごと倒してくる。隣に座っているお下げ髪のいつも本ばっかり読んでいる、身長が小さくてさらに顔も結構可愛いということで校内ではけっこう有名人の佐々木由真さんは俺が倒れてきたことに驚き、キャァッと可愛い声をあげて椅子から転げ落ちる。・・・いやぁ、すいません、俺のせいじゃないっす。

「あー、中西サイテー!!鎖牙はいいとしても由真ちゃんにまで危害加えたー!!」

ちょっとまてそこの女子。お前どうして俺が絡まれているときは口出ししなかったのに佐々木が巻き込まれたときだけ口だすんだよ。え、ていうかなに?俺嫌われているの?・・・なるべく目立たないようにしていたのになぁ・・・まぁそれはどうでもいい。
椅子から転げ落ちたせいで、俺は腰を思い切り床にぶつけてしまった。それにいてて・・・と心の中だけでいって、平然と立ち上がる。中西は反撃されると思ったのか、体をのけぞらせて、俺からの反撃をうけないようにする。だが俺は、相手にするのがめんどくさいからそのまま倒れた椅子を元通りにして、再び座ろうとする。そのときに、佐々木がどうなったのか気になって目を向けると、読んでいた本を片手で大切そうにかかえながら、

「うぅ・・・いたくない・・・いたくないもん」

・・・もしも俺が、ロリコンという名前の変態だったのだとしたら、その言葉と表情を見ただけでもなにかがはじけてしまっていたのかもしれない。だけど俺は、なみだ目で、体育座りを崩したような格好で地面に座っている。ミニのスカートは今にでもまくれてしまいそうで、細い足のほとんどが露になってしまっていて、・・・その、なんだ、パンツがもうちょいで見えてしまいそうなのだ。
俺はそれに気がつき、あわてて佐々木の元にいき、手を差し出す。

「う、うぇ?」

佐々木はどうしたの?といわんばかりに首を傾げてくる。だが俺は顔を背けるのに精一杯なので答えることが出来ない。するとしばらくその体制で止まっていると、そっと・・・小さな手が、俺の手に重ねられる。

「おっ・・・」

それを確認した俺は、その手をつかみ、ぐいっと勢いよくもちあげる。それによって軽い佐々木は簡単に持ち上がり、立ち上がった。

「ほいよ」

それから俺は気を使って、椅子を引いてやり、ストン、と座らせてやる。そのさいに佐々木が意味ありげな視線を俺に送ってきていたが、それに気がつくことなく俺は自分の椅子に座り、机に突っ伏しようとする———

「テメェ!だから俺のことを無視すんじゃねぇっつってんだよ!!」

しようとした瞬間、中西が俺の机を下から思い切り蹴り上げようとする。俺はそのあとにおこる悲劇を想像して、顔を青ざめさせる。咄嗟に俺は立ち上がり、中西の足を蹴り飛ばし、そのまま地面についているほうの足を払う。それで中西は無様に転がり、俺の机に顔面をおもいきりぶつける。あれ・・・、さんざん強がってた割には案外弱いな。あ、そうか、俺一応空手やってたんだったな・・・。
そして・・・なにを思ったのか、俺は空手をやめる原因となったところをおさえてみる。その瞬間・・・異変に気がついた。
———痛みが、ない———