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Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.133 )
日時: 2011/03/22 14:20
名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)

あ〜・・・ここでひとつ、昔話をしたいと思う。
突然で悪いんだが・・・まぁ気楽に聞いて欲しいと思う。
まぁ、一年以上も前の話で、俺自身がうまく覚えていて、うまく伝えられるかどうかなんて分からないが、とりあえず、このことはいろいろな人にしっておいてもらいたいと思うから、話そうと思う。
それは、俺が中学時代の話で、たしか・・・バレンタインが間じかに迫る日のことだったかな・・・?最近の濃い出来事ばっかりでそれ自体忘れてしまいそうになるが、まぁ俺がエルと再会だの魔法だの以外に、一番心に残っていることだから、まぁ落ち着いて聞いてくれ。忘れているんならしゃべんなとかいわないでくれ。
んじゃ、とりあえず前置きはこのくらいにしておいて、いっときますか。
この俺、鎖牙裕介が———宮西第二中学校の二年生カップル伝説を無碍にして、唯一の女友達のために・・・尽力を尽くしたお話



裕介「エル、悪いけど今回はおとなしくしててな?」

エル「え〜・・・裕介の浮気話なんてききたくなーい」

裕介「・・・いや、別に浮気とかしてないからね?」

エル「うそだぁ、だって裕介あの根暗小娘と浮気・・・」

裕介「なぁエル?ちょっと怖いぞ?」

リーナ「まったく・・・こそこそなにかやっていると思えば、ボクの悪口を吐いていたのかい?まぁ所詮君のやることなんてその程度のことなんだし、目くじら立てるのも大人げないかな?」

エル「・・・胸もいっさいふくらんでなくて身長もちっちゃくてナイスバディとはつくづく思えない体して、なにが大人げないっていうの?」

リーナ「・・・ハッ、君だって胸はボクとたいしてかわらないじゃないか」

エル「・・・ウフフ、一回痛い目あわせてあげようかしら?根暗小娘」

リーナ「ボクも丁度君には痛い目見てもらおうと思っていたんだ、手加減無しでいくけど、いいのかい?」

エル「のぞむとこ———」

裕介「のぞまんでいい!!二人とも可愛いから、うん、そういうのはやめてくれ」

エル「えっ・・・」

リーナ「か・・・かわいい。ユーに可愛いって言ってもらえた・・・」

裕介「・・・ってああもう!!これ一応タイトル紹介なんだからな!?・・・てもういい。聞いちゃいねぇから・・・それじゃ、俺の中学時代のバレンタイン、楽しんでくださいね〜」




〜バレンタイン四日前〜


「・・・この季節は憂鬱だ」

長い漆黒の黒髪、ちょっと鋭いつりぎみの瞳、それに似合わない子供と大人がまじりあったような顔立ち・・・つまり、鎖牙裕介は今、そこらじゅうできこえる同じクラスの女子どもの、チョコ誰にあげる〜?だの、誰か好きな人いるの?だの本命?だのといった言葉を拒絶するかのように机に突っ伏して、ため息をついていた。
時期は二月。中学二年生である俺たちにとって、受験で大忙しな三年生や、修学旅行の準備で忙しい一年生とは違って、暇なのだ。だから、この学校、宮西第二中学校の二年生は、かならずこの季節に、この話題で大いに盛り上がる。商店街の噂だが、かならずこの季節に、宮西第二中の二年生の三分の一は付き合い始めるのだといわれている。・・・まぁ、顔も平凡、運動もそれといって得意ではなく、毎日をダラダラと脇役として過ごしている俺にとってはまったく縁の無い話で、それだからこそ、自分がのけ者になっているということで憂鬱な気分になってしまうのである。

「・・・お前の気持ちもわかるぜ、ゆう」

「・・・いってくれるか、歩」

そんな俺を、後ろの席にいた、中一のころから中のよい友人、宮川歩が話しかけてくる。歩は身長が高く、バスケ部に所属していて、さらに顔も人並みで、ちょっとはモテルタイプなのだけれども、同学年で、さらに歩よりも背が高くて、顔も絵に描いたようにカッコイイいけ好かないやろうがいるせいで、まったくもてないだ。バスケ部=そいつ・・・のような空気になってしまっているから、それはまぁ・・・もうドンマイとしか言いようが無い。

「まったくなぁ・・・女子どもはなんでこんなイベントできゃいきゃいいえるんだ・・・?」

俺が顔をあげて後ろをふりかえってみると、歩は当然のように死人のような顔で机に頭をつけていた。この時期、もてない男子にとってはつらくてつらくてしょうがない・・・。まぁ俺はまた別の理由でつらいのだが、今は歩に言うべきでは無いだろう。

「・・・ちょっとは俺たちの気持ちにもなってもらいたいよなぁ」

俺は歩に同調するようにそういってやると、歩は泣きそうな顔で俺のことをみつめてきて、

「おぉ・・・わかってるじゃねぇか・・・心の友よ・・・!!」

「・・・ま、今まで幼馴染と母親と妹以外からチョコをもらったことなんてないからなぁ・・・俺は」

「だよなぁ・・・やっぱ身内とかそのへんからしかもらえないよなぁ。でもお前はいいよなぁ、昌子さんからチョコもらえるんだし、しかも麗帆ちゃんも可愛いし・・・かぁー!!やっぱお前は敵だ!!生まれながらにしてなんて運のいいやろうだちくしょう!!」

歩が腕を頭の後ろにやり、体を仰け反らせて絶叫する。だがそれは昼休みの教室の喧騒の中に掻き消えて、とくに目立ちはしなかった。だけど俺はそのことよりも、昌子さんからチョコをもらえる・・・という言葉に少しだけ反応してしまっていた。

「・・・昌子はどうせ・・・あいつにしかチョコは渡さないだろうよ、今年は」

そう自嘲ぎみにつぶやく。それは歩には当然きこえていない。

「あ〜あ〜・・・なぁゆう!!昌子さんに義理チョコでいいからくれないかってお願いしてくれよ!!」

そして、そんななさけないことを吐く。もてない男子、義理チョコでももらえればうれしいってか?それにしてもお前・・・昌子にあれだ、彼氏がいることを知らないからそんなことをいえるんだろうけど・・・実際俺、あいつのことを最近はさけているから、しゃべりかけたくも無いし顔もできればあまりみたくないと思っている。だから・・・そのお願いは、いくら友といえども聞いてやれないな。
だけど、俺は適当に笑顔を取り繕ってから、自分の評価を下げないために、脇役として・・・バスケという自分の舞台で活躍する、未来のある主人公である歩に嫌われないように・・・

「やれるだけはやってみるさ」

その返事に、歩は、うれしそうに顔をほころばせて、俺の肩をおもいきりバンバンと叩いてきた。

「おお!!流石ゆうだぜ!!おれぁ・・・お前と友になれてはじめてうれしいって感じたぜ・・・」

「・・・お前ずいぶんと失礼な言いかたしてくれんじゃねぇか」

俺はお前に、兄から見ても美少女としかいいようのない妹を紹介してやったり、その妹と一緒に遊んでもらったりもしてもらったぞ。なのになにが初めてだこんにゃろう。

「まぁまぁそう怖い顔しなさんなって。それにしても・・・はああぁ・・・昌子さんからのチョコ・・・楽しみだなぁ」

ちなみに、昌子は俺と別の中学校に通っているために、他の男子からは、昌子って誰だ?っていうふうな感じの視線がおくられてきている。
ていうか・・・本当にこいつは昌子のことが好きなんだな。聞けば、こいつは俺たちと同じ小学校に通っていたのだという。その間に一度、昌子と同じクラスになり、一目ぼれしたのだという。その初恋はまだ終わってはいないのだが・・・、ひそかに、その恋は幕を閉ざされてしまっている。本人にも伝えた方がいいのかもしれないが、俺はそこまでできた男ではない。友を悲しませずに、事実を伝えることなんて、できない。だから俺は友の顔色をうかがうばかりで・・・

「なぁ・・・歩、麗帆にも頼んどいてやろうか?歩がチョコほしいっていってたってな」

「ま・・・まじでか!?おまえってやつぁ・・・」

ついに、歩は感動の涙を流しながら俺の肩をつかんでくる。実際、麗帆は一度授業参観の日にやってきて、色々な生徒に見られている。そのことを知っている男子からはお前らだけずるいぞといわんばかりの視線が送られてきていた。・・・お前らにはあげないぞ?もちろん。

「・・・といっても、俺たちは頼まないともらえないほどもてないんだけどな」

「・・・それを言われるとどう反応していいかわからないっていうかすっげぇ悲しい気分になってくるからいわないでくれよ」

そういって、二人してまたずーん・・・と悲しい表情になって顔をふせる。その二人の間に、一つ、近づく影があった。

「な〜にやってんのよあんたら、しけた顔して、もしかして、自分たちがもてないからっていう理由で反省会でもしてんの?」

からかい気味の口調でそういってきた、女子生徒の声。俺はその声の主に暗い表情の顔をむける。すると、うっ・・・とその女子はうなる、が、すぐに笑顔になって俺たちの肩に両夫をポンポンとおいてくる。
・・・彼女の名前は、倉橋愛。愛と書いてまなと読む少し変わった名前の持ち主だ。いろいろな女子生徒からはからかいの念と愛しさの念がまじりあって、あいと呼ばれている。
・・・この倉橋愛というやつは、俺が中学に入って、唯一会話がうまくいって、仲良くなった女子なのだ。
髪は茶色のサイドポニーが特徴だ。その髪の毛を結っている部分はハート型のピンどめという可愛らしいものだ。瞳は大きくクリクリのどんぐり眼、鼻はちっちゃくて愛らしい。口元はちょっと猫をおもわせるかのような感じが特徴だ。顔は小さく、身長も小さい。ということから、胸も必然的に小さいという事実が———

「む?裕介、あんたちょっと今、変なこと考えたでしょ?」

「いや?全然?」

俺は、脇役として、主人公に媚び諂うことによってだんだんうまくなってきたポーカーフェイスでその場を誤魔化す。愛はまだ納得いかない、といったふうな顔をしているけど、まぁいいか、といったふうなため息をついた。