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Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.135 )
日時: 2011/03/23 10:16
名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)

〜バレンタイン三日前〜




気分が重かった。
あのまま俺は、気絶して、その後に来た体育の筋肉ムキムキの中下先生が俺のことを保健室にかついでいき、俺はそのまま眠り続け、親父がむかえにきて、そのまま再び中下登場で車にかつぎ入れられ、後は親父の馬鹿力で俺の部屋まで移動させられて、そのままぐっすりと眠ってはい次の日・・・と。なんというか、一日を無駄にした気分だ。
・・・愛のあの、必死に俺のことを温めてあげようとする気持ちはとてもうれしいのだが、無邪気すぎるというのもあれだ、だめだ。第一あいつは俺のことを異性と思っていないのかもしれないけど、俺は思春期男子だ。いくら幼い容姿の愛だって、一人の異性として感じる。
それが・・・好きがどうかに結びつくのはあれとして、やはり女の子と密着するのは死ぬほど恥ずかしいわけで、さらにほかのやつらから、野次を飛ばされるとそれまた死ぬほど恥ずかしいわけで・・・ってああもう、今更こんなこと考えてももうおせぇ。とっとと学校にいく準備しないとな。
俺はベッドからおきあがり、ジャージのまま寝ていた自分の姿を見下ろす。それで、昨日風呂はいってねぇなぁとか思いつつも、時計を見る。時計はもう八時をしめしていて、今から風呂にはいっているようではもう完全に遅刻は確定だった。だから俺は風呂にはいることをあきらめ、若干油ギッシュな顔のまま制服にきがえて、中になにも入っていない軽いカバンをもちあげる。そのまま電気のついていない部屋をあとにして、階段をおりる。その間に、妹が、

「お兄ちゃん大丈夫なの?」

と心配して声をかけてくる。それに俺は

「心配するほどじゃないさ」

という。妹はふ〜ん、といって、部屋に戻っていく。・・・あいつ、学校は大丈夫なのか?絶対今の時間家にいたら間に合わないぞ・・・ってああ、そういえば母さんがこいつのことを溺愛してるからいっつも車で登校してんだった。
俺はそのまま一階におりていき、トイレと洗面所がつながっているところに顔を洗いにいき、そのまま水で顔をあらう。二月の冷たい水が俺の顔全体にいきわたり、眠い気持ちと、昨日の失態と、恥ずかしさを洗い流してくれる。よし、今日も俺は立派に脇役をつとめさせてもらおうか。
顔をタオルでふき、そのまま朝食もとらずに家を後にする。
さぁて・・・今日も憂鬱な一日が始まるぜ




「・・・やっぱ憂鬱だぜ」

時はすぎる。朝登校し、いろいろなやつからいろいろいわれたりした後、俺はつまらない授業にのぞみ、給食制度が小学校と変わらないので給食をくい、今昼休みも再び俺は机に突っ伏してあたりに聞こえるチョコだのなんだのという会話を聞かないようにしている。だけども、そんな努力はむなしく、あたりの声はそんな俺に苦痛を与えるかのようにして聞こえてくる。・・・ああうざい。

「やっぱお前は俺の気持ちをわかってくれるか・・・ゆう」

「昨日もなんとなく同じような会話をしたような気がするんだけどなぁ・・・」

俺が憂鬱だ、とつぶやいたのが耳にはいっていたのか、歩が後ろの席でそんなことを俺にいってくる。後ろに振り返らずとも、歩は俺と同じような格好をしていると思うし、見る必要も無い。

「・・・まったく、つまらないことに現をぬかしてないで来年のための勉強でもしてろっつーんだよ」

「いや、お前がいえることじゃないだろ」

歩がなんとなくもっともらしいことをいったかと思えば、こいつは成績が下の上っていったレベルで、けして頭がいいとはいえない。そんなやつの口から勉強しろだのとは・・・世の中はどんどん腐っていっているような気がする。

「・・・ゆうもそこまで頭はよくねぇだろうが」

「・・・ごもっともで」

かくいう俺も勉強は・・・自分で言うなら中の下だ。できるほうではけしてない。たしかにこいつとつるんでいる時点でちょっと残念な方向に頭が言ってしまっているのだとしても、やはり日ごろの勉強を怠っているせいでこのような結果になっている。

「ってあー・・・バレンタイン直前になんで俺たちは自分達の頭の悪さを確認しあってるんだ?」

「お前が馬鹿だからだろ?」

なぜか突然正気・・・?にもどって歩がそんなことをいうので思わずそうつっこんでしまった。その答えに歩はニカッと笑い、

「お前もな?」

といってくる。それに俺はニヤリと笑って、顔を上げる。上げたあと歩むのほうにふりかえると、歩もこちらをみていて、やはり俺と同じように唇を吊り上げて、なんともいえない憎たらしい顔をしていた。

「まぁまぁ馬鹿ども、落ち着きなさいって」

今にでも一発触発のムードになっていた俺たちに割って入ってくる声があった。その声は・・・幼い、なんともいえないほど幼い女の子の声で、そんなロリボイスをもつやつはこの学校中探しても一人しかいないわけで———

「・・・またお前か」

と、歩は呟く。・・・そうなんだよなぁ、愛はよく、俺たちが一発触発ムードになっていると割って入ってくるのだ。そのことから愛は、喧嘩キラーとまだ俺たちに言われている。それも勝手に。