コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.155 )
- 日時: 2011/04/02 23:33
- 名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)
時間というものは早く過ぎるというものだ、と俺は、給食を食った後で結構腹いっぱいになった腹をさすりながら、あたりで騒がしくしている女子どもの声を無視しながら時計を確認する。
時刻はもう、昼休み目前の時間だった。チャイムがなるまで残り五分ぐらいってところで、あたりにいる女子どもも、昼休みにチョコを渡すべく、本当ならもってきてはいけないチョコレートを先生の前でどうどうとだして、その顔に気体の色をうかばせて、チャイムがなるのを待っている。当然先生はその女子達をとめることは出来ないし、チョコを没収することも出来ない。・・・だってよ、商店街で噂になっているほどのこのイベントに水をさそうなんて、そんなことできっこないよなぁ?教育委員会の飼い犬さんよ。
あまりにも暇なので、心にも思ってないことを頭の中で口にする。その間にも時間はすぎていき、一分が経過する。
歩はすでに愛のところに移動している。愛の席は窓際なので立ち歩かないといけないのだが、まぁほかの女子達も立ち歩いている今ならどさくさにまぎれてもバレるまいし、いい判断だと思った。歩は楽しそうに、この前図書室でおもしれー本みつけたからお前に紹介してやるよ、とかなんとかいって愛のことを誘い出している。愛もそれに乗り気らしかった。愛は外見・・・つまり幼い容姿で活発的なイメージがある愛はめずらしく、本が大好きなのだ。だから、おもしろい本の情報とかを聞くとその目を爛々と輝かせるのだ。
・・・いい傾向だ。このまま愛を昼休み中ずっと図書室に縛り付けておいてくれ。そうすればこっちも・・・動きやすいってもんだ。
俺は、再び腿の腱をさする。今日のコンディションは最悪で、なぜかなにもしていないというのにズキンズキンと痛む。俺はそれを抑えるように撫で続ける。前にもそういえばコンディションが最悪な日があった。それはたしか・・・麗帆と喧嘩した日だったかな。どうしてか俺は、誰かと喧嘩する予兆のように、その日だけ腱がすさまじく痛くなるのだ。今回もそれと同じで、喧嘩が行われるということを示していた。
当然、俺にチョコを渡す物好きはいないだろうし、俺が教室からいなくなっても誰も困らないはずだ。西島にチョコを渡そうとしているやつらはたしかに困るかもしれないけど、あんな腐った根性のやつを好きになる奴もどうせ腐っているだろうからそんなもんは無視だ無視。
妙にソワソワしている男子と、妙にワクワクしている女子。おそらく、俺と歩以外の男子は教室からでないことだろう。なんでって?そりゃ二年生の三分の一がカップルになるっていうこの伝説を無視してまでもほかのクラスにいる友達としゃべろうだなんて思わないだろう。
そんな無駄な解析をしていると・・・いつのまにか三分が経過していた。・・・のこり、一分。
もう給食は全員、あらかじめ片付けてしまっている。おおかた残す人が大半で、たぶん給食を一口も口にしていないやつだっているだろう。
見ていた限りだとチョコを最初からだして、給食をとりに行かなかった奴もいるぐらいだしな。
愛は・・・もう、西島に怯えているようなそぶりは見せていなかった。歩の本の話に熱心に聞き入っていて、それはもう・・・とてつもなく、見る人だれしもが・・・可愛い、と思うであろう表情をしていた。
それに俺は・・・フッとひとつ笑い、背後から突然鳴り響いた、キーンコーンカーンコーンというチャイムに一瞬気がつかなかった。だが、女子たちがいっせいに動きだし、男子達が別に期待してませんよーてきな感じで、それでも教室からでずに友達としゃべり始めるのを見て、俺は昼休みになったことを確認する。先生はとっとといなくなってしまっていて、歩と愛は・・・教室からもう、いなくなっていた。
さぁ・・・かっこ悪く足掻かせてもらおう。脇役から一時的な主人公になるために・・・誰かの心の中で、いや違う・・・自分の心の中だけでなく、愛の心の中、歩の心の中で主人公になれるように・・・足掻かせてもらおうか。
そう俺は小さくつぶやき、瞳を怒りの炎にギラつかせ、さきほどまでの表情とはいっぺんした凶悪な顔をしながら———俺は教室を後にした。