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Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.158 )
日時: 2011/04/20 21:09
名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)

「え?俺にチョコくれんの?うれしいなー・・・、え?君もくれるのか?いや、すごくうれしいよ!!」

廊下の端、髪を染めている女子だとか、ジャージをだらしなく着ている、いわゆる調子にのっている女子の集団が、一人の男子生徒によってたかってチョコを渡しているのを、俺は睨みつける。あの中から聞こえる、唯一の男の声は間違いなく西島の声で・・・愛を脅して、不安にさせ・・・泣いてしまうほどに追い詰めた張本人で———その瞬間、俺は回りの目、主に西島にむけられる男子からの嫉妬の目と、私も西島君に渡すんだといいたげな女子の目線を無視して———おもいきり、左の拳を、壁に叩きつけた。
・・・それはもう、自分でもびっくりするぐらいすごかった。空手をやっていたころでもコンクリートの壁をへこませるほどの力はなかったというのに、利き手じゃない方の手で———俺はコンクリートの壁の形を変えてしまった。
当然のように、すさまじい音が廊下全体に響き渡る。ガアァン!!・・・というふうな感じのような音だったのだろうけど、俺の耳には聞こえてこない。
あまりの怒りで俺はもう、完全に別人になっていたと思う。目はもう、空手をやっていたころよりも凶悪になり、さらに放つ怒気の量がはんぱなかった。俺の周りにいた生徒たちは、ヒッ・・・という悲鳴や、逃げ出すものまでいた。西島の周りに集まっていた女子どもは青ざめ、そそくさと自分の教室にかえっていってしまう。だが・・・俺は自分に向けられる恐怖の視線なんかよりも・・・西島にたいする、愛を泣かせた張本人が、あんなにやさしい商事よを泣かせた張本人が・・・そんなの知ったこっちゃ無いといわんばかりに、ヘラヘラと笑っているのが・・・気に食わなかった。それ以前に・・・愛を泣かせるまでに不安にさせてこいつが・・・このくそやろうが・・・俺は、許せなかった。
西島は、さきほどの音を聞いていなかったらしい。それはそうだろう。女子に囲まれて、チョコを何個も受け取って、有頂天になってヘラヘラと笑っていたお前には聞こえなかった・・・というか、耳には届かなかっただろうな。だけど・・・西島は、あたりの空気がいっぺんしていることだけには、気がついたらしかった。
突然自分の目の前からいなくなった女子たち。怯えた視線、恐怖を感じている視線・・・そして、少しはなれたところで、コンクリートに拳をたたきつけている俺———。
西島は、やはり俺が中学生とは思えないほどの怪力、それも外見からしてけっこう細身の俺がだせるはずのない力でコンクリートの形を変えたことに気がついていないみたいで、なにしてくれるんだといわんばかりの表情で俺のことをみてきた。

「・・・突然俺の周りから女の子たちがいなくなったと思ったら・・・君か、人生の負け組み君?」

だが、すぐにそれは笑顔に変わる。持っていたチョコレートをポケットにしまいながら西島は俺のほうにむかって歩きだす。

「・・・まったく、せっかく今年は一人の女の子にしぼろうと思ったのに・・・よく邪魔してくれたねぇ」

その言葉に俺はピクッ・・・と反応する。そして俺は・・・ドスの聞いた声で、とても中学生が出せる声では無い声で・・・西島に聞く。

「それは・・・あいつの、愛のことか?」

その声に、西島の歩みが止まる。顔からは完全に笑顔が消えて、逆に恐怖の色が宿る。俺のドスの聞いた声はやはり、同年代の男子相手でも通用するようで、俺はまだ問いただす。

「お前が脅して、お前が陥れようとした、倉橋愛のことか?」

「な・・・何のことかな?」

それでも西島は、恐怖に顔色を変えながらも、笑顔になった。女子に自分のかっこ悪いところ、女子に自分のやった行いがばれるわけにはいかないといわんばかりの態度に・・・再び俺は、怒気を強める。

「よくとぼけてられんなぁくそ外道が・・・。じゃぁテメェが白を切るってんなら俺が大声で説明してやろうか?えぇ?」

「・・・だからなんのことだっつってんだろ?」

西島が、顔を歪ませて俺のことを睨む。俺はそれを睨み返す。・・・西島はもう、相当無理しているようだった。足は震えているし、目も少し虚ろになってきている。それでも女子には嫌われたくないというのか、まだ強がっているらしい。・・・だから俺は、いってやった。
俺は・・・愛のためなら、愛の笑顔を見るためなら・・・ほかのやつにどんなふうに思われても・・・もう気にしない。それが———俺がかつて失った・・・主人公としての心———

「安っぽい言葉で愛のことを脅したんだよなぁ?なんだっけか?俺のあることないこと言いふらされたくなければ俺の女になれ?ハッ!!とんだ腐れ外道だなお前。たくさんの女子の前でヘラヘラと笑っていたやろうが裏でこんなくだらねぇ脅ししているなんてなぁ・・・どう思うよ?そこのお前」

そう大声でいいながら、俺は一番近くにいた男子生徒に指を刺す、その男子生徒はさきほど西島のことを嫉妬の目で見ていた男子の一人で、最初こそ、俺に指をさされた瞬間こそビックリしたのか飛び上がりそうになったが、すぐに真面目な顔して———