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Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.162 )
日時: 2011/04/24 23:02
名前: だいこん大魔法 (ID: OkVLMN/u)

「あ・・・ああ、たしかにくだらないな・・・」

その男子の言葉に俺は満足する。そして、なんと運がいいことに、その男子の言葉につられたほかの男子たちがくだらねぇ・・・くだらねぇ・・・と口々にいう。さらには・・・

「そういや俺・・・西島の前付き合っていた彼女と仲良くしてたらさ・・・突然体育館裏に呼び出されて殴られて・・・二度とその汚い面
で人の女に触れんじゃねぇゴミが・・・っていわれた」

男子生徒たちは・・・もう完全に西島の敵となった。これまでに女子との間にいい噂がながれたことのない西島は、ほかの男子生徒にとってすごく邪魔な存在というか・・・憎たらしい存在だったのだろう。その男子生徒の言葉でさらにほかの男子達は西島きたねぇぞとか、倉橋さんになんてことしやがんだとか、倉橋さんは俺のもんだとか・・・っておい、最後のやつ、お前ふざけんなよ!!

「・・・西島君、サイテー」

その男子達の言葉を聞いていた女子の一人が、そうつぶやく。その言葉に・・・再びあたりはシンとなり・・・一人の男子がだってよ西島、お前サイテーだってよ!!と笑い半分にいった言葉につられて辺り一体再び西時最悪コールがながれる。その中には当然・・・女子が何人もふくまれていた。
西島の顔は完全に赤くなっていた。生まれてこのかた、こんな屈辱を味わったことなんて無いんだろう。俺もたしかにこんな屈辱は味わったことは無いが・・・テメェの今感じている屈辱なんかよりも・・・主人公から脇役に落とされるときの屈辱のほうが———ひどいもんなんだぞ?

「・・・ッ、テ・・・メェら!!いいかげんにしろこのクズどもが!!」

ついに西島は押さえきれなくなったのか、ドスの聞いた声で叫ぶ。それで・・・辺りは再び、静まり返る。だけど、その中にはプッ・・・とか、ダッセェ・・・とかいう、小声が聞こえてくる。その声を聞き取ったのか、西島は完全に怒り狂い———

「ああそうだよ!!俺は倉橋を脅したよ!!けどそれがなんだ?倉橋みたいな女は俺みたいな男にお似合いだろうが!!そうだよ、俺みたいに人生の勝ち組しかあいつの彼氏にはなれねぇんだよ!!なのにあいつは俺のことを気持ち悪そうな目で見やがって・・・だから脅してやったんだよ!!それの何が悪い?俺はなにも悪くない、あいつがすべて悪いんだよ!!それに俺にチョコを渡したくそ女ども!!テメェらのくそまずいチョコはおなさけでもらってやってんだ!!感謝こそしてもいいが俺のことを貶すたぁどういう了見だ?あぁ!?」

西島は狂ったように喚き散らす。もう、この学校での人間関係は崩れ去った。西島はもう、完全に自分のやったことを暴露してしまった。
それも・・・謝って暴露するのではなく———完全に、ほかの人の意見を無視し、自分だけが特別だといわんばかりに見下した態度で———。

「それと鎖牙ぁ!!テメェはなに人生の負け組みのくせに俺にたてついてんだ?テメェみたいなカスが俺に勝てるとでも?運動もしてねぇやろうが俺に勝てるとでも?だったらためすか?ためしちゃいますかぁ?」

それに俺は・・・ニヤァと口を弧にして、凶悪な笑みを浮かべた。

「ためしていいんならやってやる」

「ハハハ!!そう来なくっちゃなぁ人生の負け組みいいぃ!!」

もう、完全に西島は壊れていた。いや・・・違う。これが西島の本性なのだ。人間関係をよくするために自らの本心を隠し、仮面をかぶってきた西島は、この件でようやく仮面をはがした。そしてもうそのときには・・・仮面をかぶっていたせいでたまった・・・他人にたいする怒りや嫉妬などが、一気に噴出したのだ。
西島は突然走り出し、拳を振り上げる。それに周りの野次馬どもが悲鳴をあげる。女子は青ざめ、男子は悲鳴をあげる。
俺は・・・その西島の動きを見て、素早くかわすために、ステップをふもうとしたが、やはりそういった動きは腱の痛みからして無理で、やむなくその拳を腕をクロスさせて止めて———その手を左手できつくつかんで引き寄せ、引き寄せたところを右フックを———西島の腹に叩き込む。
西島は大きく後ろによろめいて、ぐおぉ・・とうめき声を発する。その間に俺は一気に距離をつめて、西島の、同じ性からみてもそれなりに整っていると思われる顔面に、左のアッパーをかます。西島はそれで首をいっきに跳ね上げられて、体ごと中に浮いて後ろにすっ飛ばされる。
自分自身の身体能力とか反射神経とかに驚きながらも、まだ俺は殴り足りなかった。・・・完全に人をなめきったこいつの態度、自分さえよければいいという態度、自分が中心に何もかも回っているのだというずうずうしさ、そのすべてが俺の怒りの原因にもなっているが・・・やはり、どうしても俺はこいつのことを許せない。
・・・こんなクズと、愛がお似合いだとか勘違いしていたことは・・・まぁいいとしよう、だけど・・・愛はそうじゃないと思っているっていうことをちゃんと行動で示した。なのにこいつは・・・それに逆恨みをして・・・愛を脅した———そう、自分のために、人の人生を・・・狂わせようとした。
それが許せない。・・・ひとつのことに真剣に取り組み、それを一生がんばっていくんだと決意したやさき・・・それをひとつの来たるべくしてきた怪我によってやめさせられ・・・人生を狂わされた俺は・・・まだ人生を十分に楽しめるというのに、誰かの好き勝手でその人
生を狂わされるのだけは・・・どうしても、耐えられなかった。だってそうだろ?これは俺の勝手なのかもしれない・・・だけども、俺は人生をある出来事によって崩された。だけども、そんな俺の目の前で———一人の人間の人生が、一人の人間によって崩されそうになっていたら———そいつを殺したいほどに思うはずだ。
可能性のある、まだ人生を歩いている途中の人を、もう一人の人間がさえぎって、狂わそうとしていたら、こっちの気が狂ってしまうほどにイラつくはずだ。人生を怪我によってあきらめさされた俺は・・・まだ人生を歩いている途中の人を、同じ立場の人間が狂わそうとしているようなら・・・間に入って、それをなんとしてでも止めて見せるさ。
ブチィッ!!という音が俺の腱から鳴る。それと同時にすさまじい痛みが体全体に駆け巡る。だけど俺はそれを無視する。この程度の痛みでどうこう言っているようでは一人の人生を救うことは出来ない。
だから俺は、廊下でなさけなく転がっている西島に刹那といえるほどの速さで迫り、思い切り、腱の切れていないほうの足で吹っ飛ばす。
西島はそれにまた後ろにすっ飛ばされた。そのさいに西島は情けない声を上げる。