コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.166 )
- 日時: 2011/04/24 23:10
- 名前: だいこん大魔法 (ID: OkVLMN/u)
その後・・・俺は病院に運ばれ、すぐさま検査をうけた。だがしかし、俺の体が異常なのか、外傷はほとんどなかったらしく、足の腱が前よりもやばい状況になっている以外、ほとんど日常に差し支えないぐらいの怪我しか見当たらなかった。
病院から単身、結局だれも見舞いに来てくれなかった半日を思い出しながら、俺は歩き出す。目の前にある商店街をぬけて、家に帰るために歩き出す。もう体も元気はつらつで、足の腱も落ち着いてだいぶ前の状態にもどっている。普通こんなすぐに歩けるようになるなんておかしいのだが、俺はそんなこと気にも留めずに帰路につく。
一日病院で過ごし、さらに半日病院で過ごした俺は———再び日常に戻るために、家に帰る。
あの後、どう事態が収まったかなんて分からない。だけど、俺はもう、そんなことは気にしない。今の俺はただの脇役。主人公になった俺がおこした出来事なんて、他人がやったのと同じだ。だから俺は普段どおりにしていればいい。そう、自分に言い聞かせながら、俺は再び———脇役の道を進む。誰かのために生きる人生、自分のために生きる人生・・・主人公の道はそれぞれだ・・・だけど、脇役の道は・・・ただ、敷かれたレール・・・決められた人生を進むだけの・・・空しい道。でも、かまわない。それが俺の人生であり、俺が決めた道だ。
だから、誰がなんといおうと俺はもう———主人公になんて、ならない。主人公になったところで———俺はどうせ、人を傷つけることしかできない。暴力を振るうことしか出来ない。
空手空手と散々いっていたが、それかは所詮、武道という名の相手を傷つける道具でしかない。それを俺はやっていて、自分の人生に生きがいを感じでいた。そんな———そんな最悪なやろうの末路は、脇役で・・・十分なのだ。そんな脇役は・・・ひっそりと、裏方に徹していればいいのだ。
自身のことを悪く言い過ぎているのかもしれない、だけども、これが普通で、それが当たり前なのだ。それを表に出さないだけで、人は誰しも・・・いや違う、脇役は誰しも同じことを思っているはずだ。だから、これは別に俺が自身を傷つけるためにやっているわけではなく———事実を、体に、脳に、教え込ませるためにやっていることなのだ。
まぁ・・・そんなことさえ説明するのも、もうめんどくさくなってきていた。俺は何度も何度もそれを自分に言い聞かせるために、何度も自分自身のなかで説明を繰り返してきた。俺は主人公ではない、脇役なんだと・・・言い聞かせてきた。
・・・なのに、な。
なんでこんなに———悔しいんだろうな?
脇役な俺が、一人の女の子のために、主人公になろうとした。その女の子からみたら主人公に見えるように、必死でがんばった。痛む足を無茶して動かし、無事俺は主人公に・・・なったのだと思う。だけども、こうして誰にも迎えられることなく、ただ一人ポツリと商店街を歩いていると———自分が再び脇役にもどったのだと実感させられているようで———主人公と脇役は遠すぎるんだと、壁が大きすぎるんだといわれているようで———そしてもう、二度とその頂にたどりつくことができないとしめされているようで———悔しくて、ならなかった。
「・・・ちくしょう」
俺は、もしかしたら、愛のために主人公に戻ってなかったのかもしれない。ただ自分が、もう一度主人公になりたかったから、その踏み台として、愛をつかったのかもしれない。そう思ったときにはもう・・・俺の瞳から、涙が流れ出していた。
俺は・・・主人公に戻りたかった。かつて味わった、主人公でしか味わえない高揚感・・・それをもう一度、俺は感じたかっただけなのかもしれない。だけども、主人公になったところでその高揚感を味わうことはできなかった。それは・・・誰かを踏み台にして、自分だけがいい思いをしようとする最悪な脇役の男に対する・・・罰だったのかもしれない。
だから俺は、一人で歩く、脇役の道に、もう誰も巻き込まないと決意して、歩く。ただ一人、ただ独り・・・歩く。商店街、見知った道をただただ独りで歩き、独りで泣く。
・・・帰ろう、俺だけの、たった一人の脇役の・・・日常に。
そう思いながら・・・俺は、家に帰るのだった。
———裕介語り 終
あー・・・これが、俺の昔の話だ。たった一度だけ、主人公に戻ろうと決意したときの話しで、たった一人の女友達のために奮闘した話だ。
・・・いや、お前たちのいいたいことはよくわかる、コメディ・ライトのくせにハッピーエンドじゃねぇし全然後味よく無いじゃないかよといいたい気持ちもわかるけど・・・勘弁してくれ、これは俺が、今いる魔術の世界で感じている主人公の心と、昔感じた人間の世界で感じた主人公としての心の違いをたしかめたかったから、ただ自分の心の整理のために思い出し、語っただけの物語だからな。
・・・ま、そんなこんなで、俺の昔話は終わりだ。つまらない話をして悪かったとも思うけど、そのへんは作者にでも文句つけといてくれ。
んじゃ、鎖牙裕介、中学時代のバレンタインはこれにて終了、はいおつかれさまでしたー