コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.167 )
- 日時: 2011/04/24 23:12
- 名前: だいこん大魔法 (ID: OkVLMN/u)
————話は続く
・・・私は、好きな人が出来た。
宮西第二中学校、カップル伝説のその日に・・・本当の気持ちに気がついた。
前々から、彼のことが好きだった。いつも私と、一歩距離を置いて話す彼、いつも私に積極的に話しかけないで、よく悔しそうな顔をしている彼、なにかに悩んでいるその姿はとてもかっこよく・・・とても、美しかった。だけど・・・その彼が、なににたいして悩んでいるかなんて、私にはわからなかった。彼はいつも私から距離をおく。まるで・・・自分に近づくと、私がなにかになってしまうのだといわんばかりに。
それでも・・・私は知っている。彼は、本当に優しい人なのだと。私は知っている、彼は何気ない気遣いができる、いい人なのだと。私は知っている・・・彼が、一つの悩みに、自分の人生そのものをかけようとしていることを———。
そして私は・・・そんな彼のことが、好きになってしまった。キッカケというものは、何気ないものから始まり、大きなもので終わると、私は思う。初めて彼を意識しだしたのは、中学一年生の時、たまたま席が隣で、私が教科書を忘れてしまったときに、私に教科書を貸してくれたというものだった。彼は、私に教科書を貸した後、自分が忘れたということをアピールするように、忘れましたー、と先生にいっていた。それは、彼にとっては何気ないものだったに違いない。
だけども私は・・・そんな彼の行為をうけた瞬間に、ドキン、ときてしまった。
そして・・・最後、私が彼のことを本当に好きになってしまったんだなぁと実感したのが・・・昨日、宮西第二中学校カップル伝説・・・その日だった。
彼は、私のために傷ついた。体を張って、私のことを・・・私のこれかに歩む道を、切り開いてくれた。空手をやっていたときに切ってしまったという足の腱が切れたってかまわない、といったふうに、彼は私のために、その拳を振るった。
私はけして、暴力が好きなわけではない。だけども、その暴力が・・・誰かを護るため、・・・私を護るために振るわれたとしたら・・・?どんな人でも、その暴力を認めなければならない。認めてあげなければならない、暴力はけしていいものではないけれど、暴力でしか解決しないことだって、この世にはいっぱいあるはずだ———。
だから・・・明日、彼に私は、自分の気持ちを伝えたいと思う。
私のような人間が、彼とつりあうか・・・なんてのはどうでもいい。ただ私は、この思いを伝えたい。彼に、自分の気持ちを知って欲しい。
私、倉橋愛は・・・大好きな、この世で初めて、好きになった彼・・・鎖牙裕介に、自分の気持ちを伝えよう。
たとえそれで、私の気持ちが彼にとどかなかったとしても、あきらめたりはしない。彼には、好きな人がいるかもしれない。それでも私は、その人よりも彼に好きになってもらうために努力したいと思うし・・・それ以前にもう、私は・・・彼以外に、好きになれる人なんて・・・いないように思えた。
だから伝えたい。ありがとうと、こんな私のために、体を張ってくれたこと、こんな、嫌われ者の私に、優しさをくれたこと、こんな私に・・・好きという気持ちを教えてくれたこと———そのすべてに・・・ありがとうと、伝えよう。
そして———そんなあなたが、好きだということを———伝えよう。
「・・・裕介、大好きだよ」
私は・・・そうポツリと、昨日彼が意識を失う前につぶやいた言葉をもう一度自分の部屋の中でつぶやき・・・明日のことで緊張する前に・・・眠りにつくのだった。
———裕介、中学時代のバレンタイン 終