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- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【本編再開】 ( No.182 )
- 日時: 2011/05/22 22:57
- 名前: だいこん大魔法 (ID: OkVLMN/u)
グレンが再び後ろに跳躍する。今度はエルたちがいる方向ではないから焦る必要はない。次に左腕に走った衝撃・・・これは確実に、骨折していてもおかしくはないレベルだ。グレンが遠ざかったことから怖気はもうないが、いつ命が落ちるかわから無いこの状況にまだ自分の体は怯えきっている。最後に・・・体の中、左腕の毛穴からなにからから入り込んできたロンギヌスの氷の粒子———これは———今は放置だ。この戦いで、俺は左腕をもう使えない。負傷している状況で魔法を使うのは、いかなるベテランであっても相当な技術が必要になる。だから・・・俺には左腕で魔術を使うことは不可能だ、後で直せるが・・・その後があるかさえも、今の状況からだとわからない。
左腕をダランとさせて、俺はグレンのほうを見る。右腕に宿る炎を絶えさせることなく、それ以上に、使えなくなってしまった左腕をカバーするかのように、炎の力を増す。
「ロンギヌスは絶対零度の魔槍・・・お前、なぜ触れたのに凍てつかない?」
グレンは・・・それはもう、心底ありえないものを見るかのような目で俺のことを見ていた。
・・・そんなこと、俺に聞かれてもわからないっていうのが真実だ。だって俺、まだ魔術の世界にはいって全然時間たってないし、なによりも、おそらく本気をだしたであろうグレンの攻撃を食らって腕一本だけですんだってことが自分でも理解できないぐらいに驚いているぐらいだからな。
それを悟られないように・・・俺は、ニヤァと、口元を歪める。グレンがやっていたような、凶悪な笑顔を思い浮かべて、それを実行する。
今の俺の顔がどんなことになっているかは・・・想像ができないね。自分てきにはグレンのように凶悪な笑顔をうかばせていると思うのだが、違ったらそれまた大変な顔になっていることは間違いないだろう。
グレンは・・・そんな俺の心境を知らずに、俺のその顔を見て・・・チッ、と一度、舌打ちをする。
「・・・まぁいい、空気の残量とかでテメェをピンチにおいこますのも無理みてぇだし・・・【紅の魔術師】が動いていない今・・・テメェだけでも排除する!!」
・・・空気の残量で俺を殺すことが無理になった・・・というのは、おそらく、俺の【禁呪】の片割れであるアバロンの劫剣の炎が、グレンのロンギヌスの力による空気凍らしている力を溶かし始めたからなのだろう。たしかに、さっきから空気がおいしいと思っていたところだったんだ。
俺は気を緩めないようにグレンの行動を目で追う。グレンは、ロンギヌスをふりかぶり、俺の左側、つまり使えないほうの腕のほうに回り込むように走る。それを俺は目で追う・・・追う・・・追ってから——左手がつかえないから、無理矢理体をひねって劫剣をぶん回す。
そのタイミングで、丁度グレンもロンギヌスを俺にむかって横凪にふる。俺の劫剣とグレンのロンギヌスはその途中、相手にぶつかるまでの途中でぶつかり合い、鉄どうしがおもいきりぶつかったときになる音を鳴らして、弾かれる。
グレンは大きく横に仰け反るような形になり、俺も体をひねっていたので、変な方向に体をのけぞらせる。だけど、すぐに俺は体を無理な方向に捻じ曲げて、そのまま右手も同時にふる。それは空気薙ぎ、あまりの速さに鎌鼬をまきおこしながらグレンにむかってふられるが、すんでのところでかわされる。そして、その瞬間にできたすきをついてグレンが初めて突きを放つ。それを俺はもう捨てる覚悟を決めた左手を遠心力ででロンギヌスの前までもってきて、貫かせる。それによって、俺の左の掌から甲まで一気に貫かれて、日常では味わうことのなかった鋭く・・・重い痛みが俺の体全体に走るが・・・問題ない。俺は、その貫かれたままの左手を握り締め、ロンギヌスの先端部分を思い切りつかんで、グレンの動きを封じる。
「なに・・・っ!?」
その行動にグレンが驚きの声を上げる。今の出確実に左手はやっただろうと思ったのに、こんな行動にでるとは思っていなかったのだろう。
・・・その考えがあまいんだよ。いままでやってきたやつら・・・お前が戦ってきた相手がそうだったとしても、俺は違うんだよ。お前がどんなに強かろうとも、・・・俺は、・・・自分の初めて恋した少女、エルのことを傷つけようとするやつが前に立ちふさがったら・・・どんなことをしてでも、そいつのことを・・・止めてみせるんだ。どんなに俺が弱くても、どんなにせこいてをつかったとしても・・・たとえそれが、エルのことを傷つけるような行動であったとしても・・・傷一つつけさせたりは・・・しないんだよ!!それが、平凡で、脇役な俺ができる・・・唯一の行動なんだよ!!
「————はあああぁぁ!!」
俺は混信の力で、気合とともに右手をグレンにむかって、上段から振り下ろす。グレンは、ロンギヌスをおもいきり俺の左手からひきぬく。血は・・・凍りついていて、流れない。だから、引き抜かれたときにはあまり痛みはなかった。だから・・・俺の混信の一撃は速度を落すことなくグレンの脳天にふりかざされ———