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Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜一話エピローグ ( No.188 )
日時: 2011/07/10 11:48
名前: だいこん大魔法 (ID: OkVLMN/u)

あの戦い以来、とくにといって≪結社≫などの組織の動きは見ていない。別に、その組織に動いて欲しいとかそういうわけではないのだが、なんというか・・・その、あれだ、せっかく平凡な人生にお別れを告げて、魔術師たちの世界に入る決意をしたっていうのに、これではなんというかね、俺の決意がちょっと無駄だったようなきがしてならないわけなのよ。
ま・・・問題なのは、その俺の決意がどこまで通用するかで、今すぐにその決意を試さないといけないとか、そういうものではないはずだから・・・このいやだと思っていた、この当たり前だと思っていた——平凡で、普通の男子高校生・・・そして・・・脇役としての時間をすごすのも・・・悪くないのかもしれないな。
俺は今の軽装を脱ぎ捨てて、制服を手に取る。朝飯は・・・別に腹が減っていないからどうでもいいし、昌子を待たせるのも悪い。だから俺は制服を着終えてすぐに鞄を手に持ち、部屋のドアを明ける。階段をおりて、リビングにでても、そこにはやはりいつもの光景、誰もおきていず、暗く・・・なにも明るさが感じられない、朝の孤独の空間が成立していた。それに俺はフッと笑って、通り抜ける。そのまま洗面台のほうまで歩いていった俺は、鞄を床におき、蛇口から水をだす。それを手に救った俺はそのまま顔にめがけてバシャンッ・・・とかける。それを二、三回繰り返した後、すぐに洗面台横におかれているタオル置き場から一枚タオルを手に取り、顔をぬぐう。これで朝の眠気は一撃で吹き飛び・・・今日も、平凡で、脇役である俺の一日が始まるっていうわけだ。
あまり自分のことを貶すのはあれかもしけないけど、所詮脇役は脇役だ。いくらいったって主人公になれはしないんだし、かまわないだろ?
そのまま洗面台をあとにした俺は、誰もいないリビングをもう一度通り抜けて———玄関にでる。
普通なら、ここでいってきます、とか、親に見送られたりするのが普通ってもんなんだろうけど・・・まぁそんなことはどうでもいい。もうなれてしまっていることだし、いまさら俺がいってきますとかどうとかいっても気持ち悪いだけだ。
だから俺は———靴を履き終え・・・ドアを少し開けたところで———ちょっとだけ後ろを振り返り、家をあとにした。
さぁ・・・普通の、人間として———今日一日を過ごそうじゃないか?魔術師としてではなく・・・普通の脇役として———目立つこともなく、ただただ普通に・・・一日を過ごそうじゃないか。俺が魔術師になったっていっても・・・それはまだ完璧なものではない。どこぞの組織に属しているわけでもなければ、ただただエルを守りたくてなったようなものだし———魔術師の世界の動きなんてしったこっちゃない。だから・・・せめて、このひと時を楽しもうじゃないか?なにもない、なにもおこらない・・・普通の人間としての生活を・・・最低限でいいから———楽しんでやろうぜ?





一話、終