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Re: 【紅蓮の契約者】※オリキャラ募集 ( No.23 )
日時: 2011/01/24 21:01
名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)

・・・ま、そういってたって俺は、この体の、この契約の強さの扱い方がうまくわからない。もしも今この状態。契約したての今の状態だとしたら、その強さはまだ人間レベルで・・・、エルのような、人間ではない化物なみの強さは———もっていない。

「うっわー、中西だっせー。自分じゃ鎖牙に勝てないからって他人まかせかよー」

と・・・突然回りで騒いでいたうちの誰かがそういう。その言葉に中西は反応して、アタリを見回す。だが個人の特定ができないことに怒りを募らせる。こめかみのすぐ近くの血管が浮き出て、顔は真っ赤になり、もともとかっこよくも無い、ニキビ面の中西の顔が怒りに歪んでいく。その怒りの対象は・・・やはり俺だった。
中西は無言で拳を振り上げ、殴りかかってくる。俺はそれを一瞬受け止めて、もうこんなことやめようぜ?といった感じに和解を求めようと考えたが、感情が爆発したやつを止めることはできないだろう。ましてや懇親の一撃をうけとめられて、平然とやめようぜ?なんて言われたらさらに怒りを爆発させてしまうことになるだろう。頭の中でそう考えた結果、俺は中西を迎え撃つことにした。
チラリと横目でエルのことを見て見ると、あなたは私の契約者なんだから、ただの人間如きにやられるんじゃないわよ的な視線をこちらに送ってきていた。俺はそれにたいして笑いそうになるが・・・気を引き締めて中西の動きを見る。
まぁ、言ってしまえばこの喧嘩は俺にとってありがたくもある。契約の力があったとしてもそれになれなければ意味がないので、戦って、感じて、訓練をしなければならない。ならばいっそ、この戦いにそのすべてをかけてしまえばいいのだ。
訓練はいいとしても、戦って、動きかた、力の使い方を感じることはできる。そうじゃないとしても、なまったからだを。空手をやめてからほとんど動かすことが無く、なまってしまった体を再びならすこともできる。

「うらあああぁぁぁ!!」

中西が拳を振り下ろすのと同時に、咆哮をあげる。俺は目を細めてそれを確認すると、上半身を後ろにそらし、その拳をかわす。そのまま右手で中西の突き出されたほうの腕をつかみ、グイッと下に引く。それによって中西はバランスをくずして、追撃をかけられなくなってしまう。それを見計らって俺は上半身をもちあげ、その勢いとともに膝を上にもちあげて中西の腹を思い切り蹴り上げる。

「ガ・・・ハッ!」

それを喰らった中西は目を大きく見開き口を開く。パッとつかんでいたほうの手を離してやると中西はヨロヨロと後ろにさがっていく。俺はそんな中西に追撃をかけるようにして飛び掛る。中西はそんな俺を見て、恐怖に顔をゆがめる。なんで俺がこんなぼっちゃんなんかに・・・といったふうなかん時で、中西は俺のことを見る。
そんな中西を無視して俺は、拳を中西のアゴにたたきつける。その勢いで中西の体は少しだけ浮く。そのすきをついて俺は体を半回転させて、回し蹴りを中西のもりあがっている胸板にたたきつけた。それで中西は、いくつかの机をまきこみながら吹っ飛んでいき、結構な勢いで黒板にたたきつけられる。
おぉ・・・本当にすごいなこれ。なれるために力を抑制して使っていたのに、喧嘩なれしているはずの中西をいとも簡単に叩きのめしちゃったよ。

「す・・・すげぇ。鎖牙ってあんなに強かったのかよ・・・」

「さ、鎖牙君ってなんか・・・かっこいいよね」

「うんうん、顔も結構整ってるし、喧嘩も強いし・・・髪形をもうちょっと今風に変えればかなりもてると思う」

「あら、美希ってばホレちゃったの?」

「そ、そんなことあるわけないでしょ!!」

「鎖牙君に今度相談してみようかな・・・」

・・・ああ、外野がうるさいな。そして俺のことをかっこいいとかいっている女子、もしも俺のことが好きなら絶賛彼女募集中だからいつでもこいや!!・・・とまぁそんなことはもちろん口にだせない。なぜなら俺がヘタレだということもあるけど・・・エルがいるからっていうのもある。
うう・・・とうめきながら中西は顔をあげる。その顔にはまいった、降参だ、という色が浮かんでおり、俺もこれ以上やる気は毛頭ない。
だって力を抑制して戦っても簡単に喧嘩には勝っちゃうし、今は抑制していられるかもしれないけど、これ以上喧嘩に集中したらまだなれない抑制のほうの集中力がとぎれ、中西を殺してしまいかねないからだ。
倒れている中西を一瞥した俺は、席に座る。ねうめんどくさいといわんばかりにため息をついてから、俺たちの喧嘩を一番近くで見ていた西野に話かける。

「なぁ西野、お前モ○ハンでランクなんなわけ?」

「ああ、俺は今HRは———っておい!!今そんなことを話す空気じゃねぇだろ馬鹿!!」

そして、スパコンと頭を叩かれた俺は、苦笑いを浮かべる。それが原因となって、妙な雰囲気になっていた教室には再び元の空気が戻っていき、エルにしそびれた質問をしにいく者や、本に目を落とす者。友達と雑談を話し始めるもの・・・一時限目の六分間で起こった出来事は、すぐになかったことになった。
だが・・・ただ一人、そうは思わない奴がいた。黒板にもたれかかるようにして倒れている中西だけは・・・そうではなかった。
俺を殺してやる・・・と言わんばかりに、殺気のこもった、俺が今までに見たことの無い。本物の怒りを放出しているのであった。