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Re: 【紅蓮の契約者】※オリキャラ募集 ( No.29 )
日時: 2011/01/31 00:35
名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)

           三章、紅蓮の契約者



「こうして・・・そう、そこに手を構えて、うん、そう、そこ、そのまま構えて・・・、後は頭の中で、自分の手から炎は生まれない、とか、なにもないところからは炎は生まれない・・・とかいう常識を押しのけて、自分は炎をだせる!て思いながら手に力をこめれば・・・【魔法】をだせるはずだよ」

昼休み、美人の転校生がいるんだって?とかいつのまにそんなことをしったんだよといわんばかりの勢いで他クラスの生徒が教室に押し寄せて来たので、とにかく俺はエルの手をひいて、HRの時と同じように屋上まで走ってきた。そこで一緒にもってきたおにぎりを食った後、俺は【魔法】をどうやって使ったらいいのかエルにきき、今現在、直々に指導をうけているところだ。

「うえぇ・・・全然わかんねぇ」

だが・・・どうにも俺の物覚えは悪かった。もともと勉強はできるほうではないし、自分から勉強するほうでもなかった。そういうところがたたって、俺の頭は回転が遅くなり、物覚えが悪くなった。ゲームとかそういった類のものならばなぜかできてしまうのだが、・・・学習能力がないっていうのか?他人から直々に教えてもらうことにはなれていなかった。

「んー・・・最初は構えと出し方を覚えて慣れてもらえば構えなしでできるようになると思ったんだけど・・・そうね、一度本物を見てからのほうがよかったかな・・・?」

俺の物覚えの悪さに、少し困ったような顔をしているエルに、俺は頭をさげておねがいしますと何度も頼んだ。エルはそれに笑い、必死すぎだよぉ〜と俺の肩をつつく。うぅ・・・なんか不甲斐ない気分だ。
「じゃぁ・・・いくよ?ちゃんとみててね?」

「う、ういっす」

そう俺が返事をすると、エルは屋上の中心まで歩いていき、俺のほうを振り返って、横からみてて、という合図をおくる。俺に俺は従い、入り口近くから、屋上の入り口と屋上の中心の間にいき、右向け右、屋上の周囲に張り巡らされているフェンスまで歩いていき、そこに寄りかかる。

「じゃぁエル・・・たのむ」

そして俺は合図を送る。それにエルは振り返って笑い、手をふってくる。そして前を向き・・・ダランと下げている手のほうをみて、【唱える】

「Bazuar ne marreveshjen tone te jep nje sulm te kuqe flake!『紅の契約の元に我は炎撃を放つ』」

そう、俺のもっている知識ではわからない、「つまり英語ではない」言葉をエルは【唱える】。それは魔法を使えるようになったものが、意識を集中させるまでの時間を短縮させるために編み出したといわれる【詠唱】だ。最初のうちはそれらの言葉を言ったところでなんの役にもたちはしないが、同じ魔法を扱っているうちに自然と頭の中に言葉と読み方が刻み込まれ、次からは意識を集中しないでもその魔法を【詠唱】するだけで、簡単に扱えるというものらしい。うーん・・・自分で解説しといてなんなのだが、さっぱり意味がわからない。
エルは右手を前に突き出す。するとそこから、赤色の炎が生まれて、まるでエルの腕を包み込むかのようにして広がっていく。ユラユラ揺れるそれは、エルが腕を斜め下に振ると同時に、空中で弧を描くような形になり、メラメラと燃え盛りながら屋上の入り口、つまり錆び付いたドアに向かって一直線に飛んでいく。しかしそれはドアにあたることなく、その目の前で空中に霧散した。
魔法は一度の【詠唱】で二分間ぐらい継続して出して置けるのだという。その摂理に従って、先ほど放ったはずの炎が再びエルの腕を包み
込み始める。エルはそれを別段気にすることなく、ていうかもう慣れているかのように無視して、俺のほうに歩いてくる。

「今の【魔法】は空中切断タイプの魔法。強くなれば形状固定化魔法『ファイヤーブレイド』にすることもできる、初めから強くなりたい人にはオススメの【魔法】だよ」

そういいながらエルは炎を消す。どうやって消したかはわからないが、それは俺が魔法を覚えたら教えてくれるのだろう。

「うーん・・・その、なんだ。形状固定化魔法っていうんだっけ?それはなんだ?」

そう俺は疑問に思ったことをエルに聞く。するとエルは、優しく微笑んでから口を開く。

「形状固定化魔法っていうのはね、わかりやすくいえば剣とか槍とかそういった類のものに【魔法】を変形させるの。なにかをつくる力をもっていない【魔法】は、その使用者の思いによって形を変えていく。だから、私が『炎よ、剣となれ』と頭の中で思うだけで、それは形を固定化させていき、現実世界にあるものに姿をかえる。でもまぁ、上級者にならないかぎりはできないから今は気にしなくてもいいよ」

「あ・・・そうっすか」

正直、剣とか槍とか、そういった類のものに憧れたりしている高校一年生の男子にとっては、気にしなくてもいいとか言われても気にしてしまうものなのである。最悪、魔法が使えなければそういった類のもので強くなろうと思ってたんだけどなぁ・・・。あ、でもそれは魔法にかぎっての話か。現実にある剣かやりを使えれば・・・いや、ないな。だって今剣とかやりとかどこで売っているかわかんないし。