コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 【紅蓮の契約者】※オリキャラ募集 ( No.33 )
日時: 2011/01/29 08:31
名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)

ここでもしも俺が、エルと一緒にいかないことを選択すれば、エルを狙っていると思われる、≪企業≫や≪機関≫という組織とかかわらなくてすむ。いつ死ぬかわからない戦いに巻き込まれなくてすむ。≪企業≫や≪機関≫以外にもあるであろう組織に狙われなくてすむ。そしてなによりも・・・、俺が今まで生きてきた、エルを忘れて、出会ったことの全てを忘れて生きてきた日常を、捨てなくてすむのだ。
それを考えた瞬間、俺の脳裏に、空手をやっていたときの記憶、空手の道場で仲良くなった友達の記憶、空手をやめる原因となったときの記憶、中学で初めてできた女子の友達の記憶、高校に入ったことによってできた新しい仲間「クラスメイト」、友達、先生・・・そしてそのなによりも、いつも俺の隣で笑っていた、俺に悲しいことがおきたらいっつも笑顔で慰めてくれた、彼氏ができてもいつまでも俺と仲良くしてくれた、昌子の顔が、うかびあがった。
それに一瞬、ほんの一瞬だけ、俺は日常を捨てたくない、と思った。だけどそれは、ほんの一瞬だった。悲しげに笑うエルをみた瞬間にそれは脳裏から消え去り、俺はエルの手を握り返しながら言った。

「俺は・・・日常を捨てようが捨てまいが、お前を守りたい。・・・記憶を失っていて、お前のことを忘れて、そしてお前にあってから思い出して・・・、こんなことを言うのはうざいとしか思わないだろうけど・・・、俺はお前を守りたい。すべてを捨てる覚悟なら・・・、たぶん、できてる」

目を鋭くして、真剣な顔になって、俺はいう。エルはその言葉を聞いて、今にも泣き出しそうだった笑みを安心の笑みに変える。目じりに
涙を残しながらも、美しく、笑う。

「契約は・・・、これですべて終わった。私の愛しい人『紅蓮の契約者』は、今をもって生まれた。・・・うん、本当、本当にありがとう。裕介・・・大好き」

そして頬を赤らめながら、俺に抱きつく。俺は美しすぎる少女に抱きつかれて、頬を熱くしながら困ったような顔をする。だけど、ここはお互いにそうしあった方がいいと感じて、俺も若干の抵抗を感じながらエルの細い腰に手を回す。
俺の炎はいつのまにか消えており、誰もいない屋上は俺達以外、なにもないかのように静まり返っている。それがいつもの風景。日常の風景。誰もいない屋上はただただ風にふかれるだけの、静かな場所。
俺達の契約は完成した。俺は『紅蓮の契約者』となり、エルは自分のことを『紅の魔術師』だと言った。そう、今このときをもって俺、いや、違う。俺達のの物語は・・・始まったのだ。