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Re: 【紅蓮の契約者】※オリキャラ募集 ( No.47 )
日時: 2011/01/31 17:22
名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)

         四章、幽霊屋敷の能力者

「っにしても・・・、暇だなぁ」

屋上についた後、完全に寝入ってしまっている間にエルは家に帰って部屋の掃除をしている。早く俺に会いたいという一身でここに、宮坂にきたために、荷物はすべて適当な場所においてあったのだという。まぁエルの『力』があれば簡単に片付くだろうが、それでもそれなりの時間はかかるようだ。俺が屋上についてから寝始めたのが四時で、今現在が六時五十分だ。携帯でその時間を確認した俺は、立ち上がり、それをポケットに入れた後、適当に空を見上げる。
空は闇に染まりつつある。まだ太陽の光がすこしだけ差し込んでいて完全な夜空にはなっていないものの、星の光が肉眼で見えるほどに暗くなってきている。そしてそれは、この時期にとってもっとも寒い時間を意味する。でもまぁ、俺は別段寒いとは感じない。ほかの人ならブルブル震えて早く言えに帰りたいなどとぼやくかもしれないが、俺はそんなことはない。・・・俺の体の中にはいっているエルの『力』、それは『紅の炎』と呼ばれるもので、火炎系統の『魔法』を唱えるための力ということだ。それが俺の体を温めてくれているおかげで、寒さを感じないのだ。性格にし感じているのかもしれないが、そのすべては『力』が消し去ってしまっている。・・・はぁ、暇だな。
実をいうと、エルが片付いていない部屋をみられるのは恥ずかしいとか、私が満足いくぐらい綺麗になったら呼びに来るから、とかいっているから、俺はここから動けないのだ。エルがここにくるまで俺は待っていないといけないのだ。めんどくさいとは思わないのだが、なんというか・・・暇だな。
ゲームの充電器は昨日失敗して充電していなくてもうきれてしまっているし、携帯の充電もかなりやばい。音楽プレイヤーなんて高くて買えないし、本当に今、やることがない。
いっそのこと・・・、魔法の練習でもするか?と一瞬考えたが、それはすぐに頭の外においやる。俺一人でやって暴発させてしまった場合、とめることが出来ない。自分で出した魔法を制御することさえ出来ない俺が、そんなことを一人でやってしまったときにはかなり悲惨なことになるのは目に見えている。
ったく・・・、早く強くなって、エルに自身をもって守ると言えるようになりたいな。おそらくエルはまだ、俺の力では≪結社≫の魔術師には敵わないと分かっているのだろう。というかむしろ、先頭になってしまった場合足を引っ張るのは———俺だ。
俺はポケットに手を突っ込みながら、黒く染まりつつある夜空をただただ見つめる。その中にある星を、強く睨みつける。それになんの意味がないということはわかっているのだが、暇なのだ。
エルは言っていた。【魔法】を使うものにとって昼と夜で大きく違ったりするのだそうだ。たとえば、【太陽の力】や、【光の力】を使うものにとっては昼がもっとも強くなる時間帯なのだという。逆に【月の力】や【星の力】、さらに【闇の力】を使うものにとっては夜が一番強くなる時間帯だ。もっと細々に分けるといろいろとあるのだが、俺の頭では整理しきれなかったので今話したって意味はないだろう。
エルの場合、その力は主に【炎】を使う。ほかにもいろいろ使える魔法はあるらしいのだが、エルにとっては【炎】がもっとも強い力なのだという。その魔法の使い勝手によってエルは次第に【紅の魔術師】と言われるようになったが、そこからさきはまだ聞いていないので今はどうでもいい。つまり俺がいいたいことは、エルが使うのは【属性】魔法だ、ということだ。属性魔法というのは、炎をはじめ、氷、雷、水、風、土・・・などなど。光と闇は時間帯魔法なので少しだけ違う。それらの属性魔法は、【気象】によって力の大きさを変えるのだという。炎、つまりエルと俺が使う【魔法】は、主に暑い日に強くなる。氷はその逆、雷や水は雨が降っているとき、風はそのまま風が強いとき、土は雨上がり。だいたいそんな感じだ。今の季節はとくにといって強くなる魔法、弱くなる魔法などはないので、まぁそのあたりは別に気にしなくてもいいんだけどな。問題は・・・、時間帯魔法と例外魔法だ。
時間帯魔法は最初に説明したとおりなのだが、それよりも厄介なものが・・・、例外魔法。
例外魔法、それは属性を持たず、時間帯も気にせず、個人特有のオリジナルの魔法だ。エルもその詳細はよくわかっておらず、今まで出会ってきた数多くの『魔術師』や『契約者』の中で一人しか見たことがないのだという。えーとたしかそれは・・・、本の中の文章、絵、などを現実世界に具現化させる、ちょっと考えただけでも恐ろしすぎる【魔法】だとかいっていたな。
この世の中には・・・【魔法】を使うものは限られている。世界中、あわせても千人もいかないだろう。その中でおそらく、俺は一番弱いのではないか?いや、【魔法】を使えるようになって早速強くなろうと思ったところでそんな簡単にことが進むわけはない。これから強くしていけばいいという気持ちもあるのだが、やはり速めに強くなりたいとも思う。一番弱い、世界で千人ぐらいしかいない【魔法】を使う奴の中で一番弱い奴が、なにをほざいて世界的有名な【紅の魔術師】を守ろうとほざくのか・・・。そんなことを思われないように、強くなりたい。
俺はふと思って、手を夜空に向かって構える。上空にむかって【魔法】を放てば、どこに被害も出ないし、ここは学校の屋上だ。どこで誰が見ていようと、個人の特定はまず不可能だろう。ならば、いいではないか。
俺は頭の中の【魔法】という言葉にアクセスする。日常の回線が次々に崩れ去り、その回線は【魔法】の回線へと移り変わる。その先にあるのは一つの言葉で・・・、それは【魔法】の発動条件だった。
グッ・・・と手に力をこめて、俺は上空を睨みつける。星が瞬く夜空を睨みつけながら、手に力をくわえる。そして・・・こう呟く。

「・・・Dhe forcen tone, drita skuqem dhe per te mbrojtur kryesor『我の力となり、その紅蓮は主を守る光となる』」