コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【紅蓮の契約者】※オリキャラ募集 ( No.53 )
- 日時: 2011/02/08 22:02
- 名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)
だが、驚いているのは金髪の少女のほうだった、大きくて綺麗で、狂気の混じるその瞳を見開いて、驚きの表情をしている。全体的に身長も小さいし体の腺も細い。そのことからおそらくは俺より年下だということがわかるが、相手の年齢確認なんてどうでもいい。い、いや、違うぞ?相手が可愛いからってまじまじとみていたりなんかしないぞ?・・・と、ピンチなわりには結構余裕な俺である。
「う、うそ、【誘惑の籠】がやぶられた・・・?しかも【絶炎の怪鳥】をたった一発の攻撃で打ち消した・・・?あなた、なにものなの?」
驚いた表情でそんなことを聞いてくる。俺はヒリヒリと痛む———実際ならこんな程度のダメージですむはずなかったのだが、相手が炎だったためあまりダメージをうけずにすんだ———手を見ながら、少女を睨みつける。そんな俺に少女は少し怯えたような表情をみせる。
だが、そんな様子をみていたピンク色の髪の毛の少女が突然口を開いた。
「・・・まさか、ルミの【主能力】そのものを簡単に打ち消す、なんて、思ってなかった。ルミ、ちょっと下がってて」
そう言葉を発しながら、ルミと呼ばれた・・・おそらく金髪の少女のことなのだろう、そこまで歩いていく。ルミと呼ばれた少女はやはり俺に怯えた視線を送りながら、後ろにさがっていく。
バタン、とその音が少しはなれている俺のところまで聞こえるほどの大きさでなる。それは少女のもっているゴツイ本が閉じたからだろう。少女は本を左わきにかかえ、あらためて俺のほうを見る。
・・・美しい少女だ、と俺は思った。一目見ただけで分かる美しさが、この少女にはある。だがそれはエルの妖艶な美しさとは違い、どこか幼さの残るものの、儚げな美しさというべきなのだろうか、どこか頼りなさげにみえた。もしも俺以外、敵対している男以外がこの少女を見た場合、『守りたい』と思ってしまうだろう。俺がエルに抱いた感情と同じように、そう思ってしまうだろう。
だが今はそういう時ではない。俺は拳を構えて頭の中で【魔法】を思い浮かべる。なにかこの少女の裏をつく新しい魔法を、作り出さなければならない。なぜなら、この少女は最初、俺の【フレイヤバースト】を一瞬にして消し去った。どんな関係の、どんな属性の【魔法】を使ったかなんて分からないけど、【フレイヤバースト】はこの少女にはきかない。
「・・・私の名前はローラ。ローラ・ティンクルバード。あなたは?」
どんな攻撃がくるのか身構えつつも新しい【魔法】を生み出そうとしていた俺に、抑揚のない、淡々とした声がかけられる。それは一瞬、誰が言っているのか分からなかったが、すぐにピンク色の髪の少女・・・、ローラ・ティンクルバードと名乗った少女だと気づいた。
敵に名前を名乗るのも尺だが、礼儀、という言葉がある。日常からはなれたってそういったものは守らなければならない。
「・・・鎖牙裕介だ。それで、お前らは一体なんで俺を襲ってきた?」
名乗ると同時に、俺はなぜこの少女たちが俺に襲ってきたのかを聞く。だいたいの予想では≪結社≫だと考えているのだが、本人達から聞かなければ正解にはならない。もしもこの少女が俺に教える意味はないとかそんな感じのことをいったら、大方そっち方面の関係になるが、それでもいい。
ていうか・・・俺の生きている間にこんなバトル漫画みたいな出来事が本当に起こるとは本当に思ってなかったよ・・・。たしかに俺はエルを守りたいという意思で人生の道を踏み外した。だけど、こんないきなり、心の整理もできていない間にくるとは思っていなかった。それはただ俺の決意が浅かっただけなのかもしれない。でも・・・もう起こってしまった事実は変えられない。
「ここに『紅の魔術師』の『力』の反応が、あった。私達はそれを、探しにきただけ。そしたら、『紅の魔術師』じゃない、あなたがいた」
「つまり・・・お前らは俺に用はないってことか」
「そう、あなたにはたしかに用はない。だけど、私達は『紅の魔術師』を探さなければならない」
そういって少女は本をいきなり開く。バラバラと適当にめくられていくページ、その途中に少女は手を挟んで、一つのページを開く。
「Kapitulli XII mit i katert, djalli do te prodhoje mallkimi i Zotit per te vrare te ndalimit『神話第四十二章、悪魔は神を殺すための禁呪を作り出す』」
その本がその言葉に反応して、紫色に輝き始める。そのページの表面だけが、紫色に輝き始める。するとその『ページ』の中から黒い・・・、漆黒の炎があふれ出す。それは突然燃え上がったかと思うと———空中に浮かび上がり、『髑髏』の顔の形に揺らめき始める。
・・・警告が鳴り響く。このゲームじみた【魔法】をみて、俺のなかに警告が鳴り響く。禍々しい炎の髑髏は、見るだけで嫌悪感を覚え、鳥肌が立つ。吐き気がする。俺の顔が恐怖に歪んだことに、無表情だったローラの口元が、すこしだけもちあがる。