コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【紅蓮の契約者】※オリキャラ募集 ( No.55 )
- 日時: 2011/02/03 16:00
- 名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)
「・・・どういうことだ」
俺は一人、閉まっている屋上のドアに寄りかかりながら、目の前の光景を冷めた目で見ていた。
場所は変わらない、ただ人数が増えている。さきほど戦っていたローラ・ティンクルバードという未だにどんな属性を使っているのか分からない本物の『魔術師』と、ルミという『契約者』と、エルと、あと誰かわからないやつが二人ほど。
おそらくそのうちの一人が、さきほどの結界をはっていただろうことはわかる。結界の中に流れていた力の流れが感じるからだ。そう思った瞬間に俺は再び、日常からかけ離れてしまっているのだと諭される。
・・・にしても、だ。屋上の真ん中でなにかを話している五人を見ていると、女子に仲間はずれにされた男子の気分になってくる。まぁたしかに俺はこれまでの人生で女子と仲良くなる機会なんてあまりなかったが、だからこそ、そういうのがどれほど憂鬱な気分になるかを知らない。だから俺が今感じているこの寂しいようでなんともいえない感情は恋ではなく・・・憂鬱なのだ。
ああ・・・てかなんだよ、俺がさっきまで必死こいて戦っていたのは何なんだよ。まぁたしかに新しい【魔法】は思い浮かんだからいいんだけどさ、いいんだけどさ・・・なんか、精神的に辛いわ。一人でがんばって戦って一人でなんかかっこいいセリフてきなことを頭のなかで思い出したりして———だあぁっ!?もう思い返すだけで恥ずかしくなってくる!!
頭の中で恥ずかしさとそれを抑えるものが熾烈な争いを繰り広げている中、女子どもは俺を無視してなにかひそひそと話している。さきほどなにを話しているのか聞きにいこうとしたらエルに女の子だけの話だよ、とあしらわれて以来、俺はずっと動かないままドアにもたれかかっている。
イフリートティアの効果はとっくのとうになくなってしまっている。あれはフレイヤバーストと違って自分で制御できるから、消すことが簡単だ。だから俺は戦闘が終わったと見るやすぐに消してしまっている。
「・・・ていうかあいつらは何者なんだ?」
そういえばと思い出す。エルは教室で懐かしい気配がどうのこうのと言っていた。戦っている最中に俺はこいつらのことをそれではないと勝手に判断してしまったのだが、どうやらこいつらはその懐かしい気配の連中なのだろう。エルの知り合い———全員女でしかも全員可愛かったのか———
なんとなく観察してみた結果なのだが、俺の結論は、全員おどろくほどに可愛い、だ。まずエルは言わなくても分かると思う、ルミという少女も言わなくていいだろう。ローラのことも戦闘中に観察してたから「べつにやましい意味ではない」いわなくてもいいだろうが、後からきた二人もその三人の例に漏れず可愛らしかった。いや、可愛いというよりも、全員美しいという言葉が似合うだろう。まさしく美少女。
特徴をあれこれいったところで俺の語彙とか説明力とかがなさすぎるから逆にわからなくなってしまう可能性があるからしないが、俺がいえるのはこの全員が可愛くて美しくて・・・そして危ない存在だ、ということだけだ。
———間違いなく、全員俺よりも強い。
そりゃぁ俺はまだ【魔法】を使えるようになってから半日しかたっていない。だから今まで【魔術師】をやってきたやつらに勝とうとなんて思わない。ローラの技・・・なんていったっけ?『悪魔の食卓』だったっけ?あれでローラはまだ本気ではないのだという。イフリートティアを使った俺は間違いなくそのとき本気で、死を覚悟していただろう。なのに相手はまだ、本気さえもだしていなかったのだという。
悔しいが・・・ここは認めなければならない。俺では絶対にこいつらの一人にも勝てないんだ、ということを。
「裕介ー!こっちきてー!」
若干落ち込んだ気分になった俺を呼んだのはエルだった。エルは顔だけこちらにむけて、こいこいと手を振っている。俺はドアから背中を離し、思い足取りで屋上を歩いていく。コンクリートでできているそれは・・・、俺たちの【魔法】の力に耐えられるほどの力があるのだろうか?と考えながら、俺はエルのところにいく。
俺が近くまでよると、エルはうれしそうに俺の腕をとる。腕をとった後俺にぴったりとくっつきながら、ローラたちのほうを見る。ローラたちは別段驚いた様子もなく、俺たちのほうを見ていた。・・・いやね、俺はものすごく恥ずかしいんですよ?
「この人が、私の『契約者』です」
頬を染めながらモジモジというエルのことを、俺は不覚にもなにをいまさらモジモジしてんねんと思ってしまった。それを聞いたローラとルミはかなり申し訳なさそうな顔をして、俺のほうを向き直った。
「・・・ごめんなさい、私はてっきり、あなたのことを≪結社≫の人間かと」
実を言うと、ローラの確認した地図にはエルと裕介のことがのっていた。しかしそのときローラは判断を見誤ったようだった。エルと裕介が戦っている・・・そう判断してしまったのだ。だから実際は裕介がいることをここに知っていたのだ。
「ご、ごめんね?」
ルミが申し訳なさそうにしながら上目遣いで俺の事を見てくる。俺はその・・・なんだ、圧倒的な破壊力「可愛さ」から逃れるために視線を彷徨わせながら、適当にうんうんうなずいておいた。
「とはいえ、この方が『契約者』・・・ですか。男女の間で『契約』を行って成功したということは———」
一度誤ったらもう許してもらえると思っているのだろうか、まぁ俺は許すんだけど・・・。ローラは当然そんなことを言ってくる。だがその発言の最後は一度強く吹いた風によってさえぎられ、俺たちの耳に届くことはなかった。だが・・・、エルだけは違ったようだ。顔を真っ赤にさせて、顔を伏せてしまっている。え?なに?どゆこと?