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Re: 【紅蓮の契約者】※オリキャラ募集 ( No.61 )
日時: 2011/02/07 23:45
名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)


「・・・くそっ、くそくそくそくそくそくそおおぉぉ・・・、あのやろう、絶対に殺してやる・・・、俺に恥じをかかせたことを後悔させてやる・・・」

人一人いなくなってしまった校舎の中、その中の1—Bの教室に金髪のニキビ面の不良っぽい生徒がそう呟く。
その拳は怒りに震えていた。昼間、自分のことを蹴り飛ばし、そのあと自分なんていないやつみたいに振舞ったあいつを許せるはずがなかった。今までは何度も喧嘩で負けたことがある。だがそれはけして同じ年のやつらではなく、自分より二、三歳年上の先輩達にだ。それは自分にとっていい経験となり、何度も喧嘩していくにつれ強くなったと自分でも思う。今でなら、三歳年上の先輩だろうが負けることはないだろう。なのに、突如転校してきた、自分好みの美少女のことをこいつは俺のためにここにきたんだなとか思っていろいろ質問をしようとしたら突然何のとりえもない、ただ毎日をダルそうに過ごしている平凡なあいつにその時間をうばわれ、さらに帰ってきたときには仲良く手をつないでいたのだ。自分のためにこの学校にきてくれた美少女を横から取られて———中西は怒り狂った。
当然のごとくそれはそのくそったれなやつにぶつけるつもりだった。何のとりえもない、喧嘩なんてそうそう体験したこともないあまちゃんを殴り飛ばして、泣きながら俺に土下座してそいつを俺によこせというつもりだった。なのにそいつは、俺のことをだるそうに見上げて、一度めんどくさそうにため息をついたのだ。この時点で、完全に俺はキレた。
不良の先輩とかに頼んでこいつを、こいつの家族をつぶしてもらうのは楽だった。だけど、それは最後の手段としてとっておくことにした。
最初は自分の力でやって、こいつが泣いて謝らないようなら先輩の力を借りよう———そう考えていたのだが、それは失敗に終わってしまった。
最終的に自分はなさけなく先輩がいるんだぞとかいって脅しをかけたが、クラスメイトから哀れなものを見るような目で見られ、そいつにもそのような目がみられた。だから俺は本気で殴りかかった。今まで先輩たちを殴り倒してきたほどの力で、そいつのすかした顔をメタメタにしてやろうと思った、なのに・・・なのに、そいつは、喧嘩もしたことのないようなあまちゃんは、ありえないほどの速さで俺のことを逆にねじ伏せてきたのだ。
完敗だった・・・、圧倒的な力の差だった。惨めに黒板を背に倒れている俺のことを、そいつはその後いないもののようにあつかった。俺がいくらうらみのこもった目でみてもそいつは無視し、挙句の果てには喧嘩なんてなかったかのようにしてしまった。
・・・生まれて初めて、こんなにも憎憎しい屈辱を味合わされた。だから今、復讐のために俺は彫刻等をもって、あの忌々しいやろうの机の上にガリガリと『死ね』だの『カス』だの『学校来るな』などを彫っているのだ。それだけでは足りない。あいつが学校にこられないほどの屈辱を味あわせてやり、俺に逆らったからいけないんだといってやらなければならない。その後先輩達とサンドバッグにしたらさも面白いことだろう。
机にある程度消せない落書きを彫った後、俺は次の作業に取り組む。奴の椅子に液体のりをぶちまける。その次に木工用ボンドの上の赤い蓋をとりはずし、一気に中身を搾り出して、いらない下敷きでそれを満遍なく椅子に塗っていく。明日の朝には固まって、やつはこのゴツゴツとした椅子で一日を過ごすことになるだろう。その光景を想像しながら、勝利の愉悦に浸る。

「・・・たりない、たりない、まだたりねぇ・・・この程度じゃまだまだだ———」

そして、木工用ボンドを塗りたくった後、この程度では底まで大きな屈辱を味合わすことはできないと俺は悟り、どうしようかと俺は悩む。
やつを自殺してやると思わせるほどに屈辱を味合わせるためには、どうしたらいいのか、思案する。するとそこで———一人の笑顔がまぶしい、可愛らしい少女の顔が浮かぶ。
それは———あのくそやろうの幼馴染、椿昌子の顔だった。
俺も一度あいつに告白して、彼氏がいるだので失敗してしまっている。だがしかし、そんなの関係はない、俺が寝取ってしまえばいいのだ。
幼馴染というのは大抵仲がいいもの同志で呼び合う呼称なので、やつらも仲がいいのだろう。そんな仲に俺が入ってきて、椿昌子のことを武力で蹂躙してしまえば、やつもそうとうな屈辱と俺に逆らったことへの後悔の念が生まれることだろう。————椿昌子は可愛いから、その後先輩達に頼んで自分のものにしてしまっても、何の問題もないし、この作戦は完璧だといえる。
くくく———、と誰もいない、暗い教室の中で俺は笑う。不気味に笑う。この後に起こるであろうあのくそやろうの人生の最後が早く見たくて見たくてしょうがないから———笑う。そしてそのとき———誰もいないはずの教室に、自分以外の声が、笑い声が混ざっていることに、俺は気がついた。
———クスクスクス———
その声は、幼い女の子の声だった。幼いと言ってもそれは小学生とかそのへんのレベルではなく、中学生とかそのあたりのレベルだ。その声は今まで聞いたどの女の声よりも可憐で柔らかく、なによりも美しかった。だが———その笑い声に、感情はこもっていなかった。

「だれだ!!」

俺は顔を歪めて、その声の主を怒鳴る。怒鳴ると、その笑い声はやみ、コツコツ、と教室の中で靴の音がなる。それは———俺に近づいてきていた。
俺は後ろを振り向く。丁度やつの席は真ん中だから、後ろにはまだ空間がある、だから俺はその足音がなる後ろを振り返り———なさけない顔になった。
それは、完璧な人間の皮をかぶった———人形のような少女だった———

「さぁ、その恨みの力をボクによこしなさい、あなたが殺したいほど憎んでいる相手は———」

こちらに近づきながら、少女はそんなことを俺にむかっていう。俺はというと、少女のあまりの美しさに目を奪われ、口を開けなくなって
いた。転校生と比べるとその美しさは幾分か劣るが、どちらも美しさが人間の域を軽く超えていた———

「≪紅蓮の契約者≫、ボクが狙う相手そのものだからね」

そしてそういって、少女は口を弧にして、笑うのだった。
時刻は午前零時二十五分———その戦いは、幕を開けていた。