コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【紅蓮の契約者】※オリキャラ募集 ( No.63 )
- 日時: 2011/02/08 22:12
- 名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)
・・・でもま、たしかにルミには同情するべきところがあるのかもしれない、だけど、今の、ローラたちと仲良く過ごしているルミのことを、楽しく過ごしているルミのことを見ていると、それはただの嘲りとしかいえなくなってしまう。出会ってまだたったの一時間半・・・、たったそれだけの時間でも、人間というものは、仲良くなれるものなのだ。そこに同情とかそういう念をもちこむというのは、いささか不愉快というものだ。
エルが俺の隣で鼻歌を歌いながら、ローラが部屋からでてくるのを待つ。俺はこの部屋で各個人づつくつろいでいる蛍たちをみながら、時間を潰す。蛍はなにやら心頭滅却とか女の子が読むにしてはおかしいチョイスだとしかいいようのない分厚い本を読んでいた。そういえば、ローラたちに自己紹介されたからわかったのだが、ルミと最初に出会ったのは蛍だったのだという。まぁそこから先の深い内容はどうであれ、ルミを孤独から初めて救ったのが蛍だったのだという。そして、レイが次で、最後がローラだったのだという。その四人がであって、ローラの作り出したこの世界と幽霊屋敷で暮らし始めてから、その事件は起こったのだと言う。
俺は部屋のすみでゴロゴロと寝転がりながらオモチャをいじくって遊んでいるルミのことをみる。ルミは年相応、外見と似つかない行動をしている。ルミの年齢は十四歳だが———その行動は、小学生の低学年と同じようなレベルだった。そう・・・それには理由があるのだそうだ。
それを聞いたとき俺は、今思えばなんという失礼なまねをしてしまったのだろうと恥ずかしくなるような行動をしてしまった。そう———俺はルミをことを我慢しきれずだきしめてしまったのだ。ああ・・・あって間もないのにいきなり男に抱きつかれてルミは変な思いをしなかっただろうか———、と俺の思考は今いうべきじゃないだろう。今は俺はどうしてルミのことを抱きしめてしまったのか、その動機について、だ。
ルミがローラに出会って三年がたったあるとき、それはおとずれたのだという。四人は互いに【魔術師】であったり【契約者】であったりした。そのことは全員承知の上で暮らしていた。つまりその中に———元≪結社≫の人間であったりする可能性があることを承知で、仲良く暮らしていたのだ。そしてその悪い予感は的中した。蛍は過去、まだ幼いときに≪結社≫にその能力を見込まれて無理矢理入れられたのだという。蛍は≪結社≫のやりかたなんだのが気に食わなくてすぐに裏切りのようなことをして逃げたのだが、そう簡単にはいかなかった。
蛍は体内にあるもの———つまり発信機みたいなものをうえつけられていたのだ。【魔術師】としてうまれた蛍は、体の中になにかが埋め込まれていることは知っていたが、すぐにそれをとろうとはせず、その日そのときまではずっとそのままにしていたという。そしてそのときはきた。≪結社≫の中の上位ランクに位置する【魔術師】と【契約者】が、世界への道を閉ざす封印を打ち破り、四人だけの空間に侵入したのだ。【魔術師】であるローラと蛍はすぐに気がつき迎撃のためにでたが———時刻は朝の四時だ。子供が活発に活動できる時間ではなかった。ローラと蛍は簡単に≪結社≫の魔術師にねじふせられて、≪結社≫までの輸送トラックにつめこまれた。そして———戦闘の音で目覚めたルミはそれを目撃して———また孤独になるのがつらくて———狂った。いや違う。本性をむきだしにした。
ルミは【契約者】だ。それは男女関係で結ばれるものではなく、母親から娘へ引き継がれたものだった。母親は、ルミの母親は体が弱く、夫・・・つまり【魔術師】からうけとっていた『魔力』によってなんとか生きてきた。しかし、ルミを生んですぐに父親は≪結社≫によって殺され、母親は生きる術を失った。だからこそ、自分のように、誰かがいなければ生きていけないような体になってしまわないように、ルミと≪契約≫をはたした。これは極まれなケースで≪契約者≫から≪契約者≫への≪契約≫は、ほとんど成功例がなかったのだという。
そのことから、≪結社≫はルミの調査を始めた。ルミは毎日毎日孤独で、薄暗い部屋の中、縛られて、体をなにやらいろいろな機械で調べられて、おかしくなった。まぁこれをみた蛍がルミを助けた———というのが出会いの発端だ。
そのルミが、≪結社≫の連中が自分の大切な、初めて出来た大切なトモダチが、奪われようとしているのを見て、狂った。そういえば俺は説明していなかったが、【魔法】のほかに、この世界には【大魔法】というものがある、それはただ【魔法】より詠唱時間が無駄に長く、威力が壮絶なことを意味している。まぁ俺には関係ない単語だったし、この世界に使える奴はかぎられているので説明する必要がなかったが、今説明しておいた。そう、ルミはそれを———ありえない速度で、普通の【魔法】の詠唱よりも早く、唱えてしまった。
名は【魔槍】役は【憎悪】その銘は【ゲイ・ボルグ】すべてを焼き、すべてを排除する、自らにあだ名すもの全てを抹消する、最強最悪の【大魔法】、または【禁呪】——————それを、ルミは使った。
それによってローラが『初めて作った世界』は滅びて、≪結社≫の人間はいなくなった。だけど・・・そこからが問題だった。そのゲイ・ボルグの炎は圧倒的で、制御が不可能だった。最初の目的を果たしたその力は、自らの意思をもったかのようにして、つぎの獲物を狙った。
それが———ローラたちだった。
ルミは泣き叫んで、それを止めようとした。だが、もう自分の制御からはずれてしまったゲイ・ボルグはとめられることなく、容赦なくその紫色の炎の刃で———ローラたちを貫こうとした。
そこで———ローラたちとエルの出会いがあった。
その頃から≪結社≫やら≪企業≫やら≪機関≫やらから追われていたエルは、たまたま≪結社≫の連中が異空間、異世界に入っていくのを見て、ついてきていたのだ。もしもなにか≪結社≫倒壊に結びつくヒントがそこにあるならば、容赦なくそれをうばったり破壊したりするつもりだったらしい。そして———ローラたちのことをみて、ああ、この子たちも私と同じなんだなぁとか思いながら、影から見守っていたのだ。最初からどうして助けなかったのかというと、ローラたちも≪結社≫の人間だったり、≪企業≫の人間だったりする可能性がないわけではなかったからだ。だが、ルミの【大魔法】を見た瞬間———それはヤバイと感じたらしい。
ゲイ・ボルグ、それは世界消滅の五大元素の一つ。ロンギヌスやレーヴァテイン、グーングニルやアスラなどと並ぶ、最悪の【禁忌の力】。
それをみたエルは、最初は制御がきいているから大丈夫か?とも思ったらしいのだが、≪企業≫の連中が消えた瞬間、それの制御がなくなったことに気がつき、すぐにそれを消しに入ったのだ。
ゲイ・ボルグはエルの紅の炎によって相殺され、その姿を消した。そしてそれが———ローラたちがエルのことを恩人だという理由だった。
そして同時に、そのときからルミは———自らの心をあまり人に打ち明けなくなり、そのときのショックで言動や行動などが———年よりも五歳ぐらいしたになってしまったのだ。