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Re: 【紅蓮の契約者】※自作絵二つできたじぇ ( No.71 )
日時: 2011/02/08 21:02
名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)

「・・・私が極秘裏に≪結社≫の動きを調べた結果、わかったことがひとつだけありました」

語り始めはそんな感じだった。ローラは、一年前ぐらいから≪結社≫のことを探り始めていたのだという。だけど、なかなかつかめる情報もなく、はんばあきらめかけていたそうだ。だがしかし、この一週間の間に、ある一つの『動き』を、ローラは捉えることが出来た。

「・・・≪結社≫の最上級魔術師、つまり上位魔術師よりさらに上にいく最強の名をもつ魔術師二人がコンビを組んで、この町、宮坂にきたということです。その二人は・・・暗殺の命令をうけているようでした」

そこで、その言葉をきいたエルが、顔を恐怖に青ざめさせる。目を見開き、肩を震わせながら、その言葉に怯える。俺はその真意がはかれず戸惑うばかりだったが、続いてローラが口にだした言葉によって、俺も理解することができた。

「その二人の暗殺命令の内容は———【紅の魔術師】を完全にこの世から消滅させること———だそうです。その日から私達は熱心にエルシャロン様を探していました・・・そして、今日にいたります」

そう・・・その作戦は、エルを殺す、というものだった。今までさんざん≪企業≫やら≪機関≫やらに、殺されそうになった挙句、最終的には≪結社≫に殺されそうになっている———前までの≪結社≫ならばエルのことを殺すのではなく仲間に引き入れる———っといったふうな感じにエルはいっていた。つまり、≪結社≫も≪企業≫に洗脳されてしまったのだろう。

「・・・その【魔術師】は、どのくらいの強さだ?」

「正式には分かりません。ですが、魔術名、つまり二つ名のことは調べがついています——————まず一人目が【氷翼の魔術師】、そして二人目が【孤独の人形師】です」

「なっ————【氷翼の魔術師】!?う、うそでしょう!?」

一人眼の名前を聞いた瞬間、エルが机を両手で強く叩いて立ち上がる。その顔は完全に恐怖と絶望に染め上げられていて、もう余裕が内容な感じになっていた。つまり・・・エルは怯えている。その【氷翼の魔術師】というやつに———怯えている。神をも凌駕するほどの力をもつとされているエルが怯えるほどの相手———それすなわち、俺にも勝ち目がない相手・・・ということだ。

「・・・はい、かつて≪結社≫にいた蛍ならその実力を知っていると聞きましたので、蛍、説明をお願い」

「ん・・・わかった」

そうローラがいうと、ローラが座っているソファの横が立っていた蛍が頷く、蛍は完全に怯えきってしまっているエルのことをみて、優しく目を細める、が、すぐに真剣な眼差しになって俺のことを見る。

「やつの名はグレン・ユーリッド。私が≪結社≫にいたときに、≪結社五大元素≫という・・・つまり幹部の位置にいた男だ。そいつの力はまさしく世界を維持している五大元素の一つである氷の力そのものだった。世界を維持する氷と対等の力をもつ者・・・それがグレン・ユーリッドという男だ。エル様とは・・・とことん相性が悪い相手でもある」

———そうか、そういうことか。
その【氷翼の魔術師】は『氷属性』の『能力』の持ち主なのだ。そういうことはつまり、エルの『炎』とは間逆で、炎は氷には弱い。現実世界でいってしまえば『炎』のほうが圧倒的に『氷』よりも強いはずだ、だがここは平凡でも日常でも一般的でもなんでもない。氷が炎より強い属性だってことは納得はできないがなんとなくわかる。
神を凌駕する紅の炎と世界を支えるほどの力をもつ五大元素の氷———この二つは、人間の域を軽く超えているものだと俺は悟った。

「でもそいつはひとつとんでもないことをやらかしたせいで幹部の座からはずれた。いや・・・違うな、一時期狂ってしまったから幹部の座からはしばらく落とされた・・・っという風な感じだな」

「・・・狂った?」

顔を青ざめさせて、ガクガクと震え始めているエルの肩を抱きながら、疑問に思ったことを口にする。最強の能力をもってしてでも狂うようなこと・・・それはなんなのか?

「いや・・・一人の能力者が一度だけ≪結社≫の人間の半分を狂わせたんだ。私とルミがぬけだしたのはその時期でね、たまたましってたんだよ」

・・・よくわかんねぇな。わかんねぇからここは保留しとこう、頭の悪い俺ではしばらく理解はできなさそうだしな。