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Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.76 )
日時: 2011/02/09 23:30
名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)

結局、打開策は思いつかなかった。何一つとして、思いつかなかった。エルがいうからには、その【氷翼の魔術師】と【孤独の人形師】が二人係でかかってきた場合、俺たちが全員でかかっても太刀打ちが出来ないのだという。【孤独の人形師】の強さはわからないが、それでも【氷翼の魔術師】と同じ位にいるところからして、相当な強さを持っているのだろう。もしかしたらエルの力でもなんとかなる相手かもしれないのだが、そうしたら今度は俺たちだけで【氷翼の魔術師】と戦わなければならなくなってしまう。まず第一に【氷翼の魔術師】を倒すにはエルがいなければ無理だ。ルミ以外【禁呪】が使えないというこのメンバーには、勝つことは不可能なのだ。実際なら【禁呪】をもつ者同士で戦ってもらえれば大丈夫なのかもしれないが、ルミの場合、その【禁呪】の制御ができないのだ。だから、もう打開策はないとしかいいようがなかった。
だけど、俺たちは仲間がいれば、いつどんなときでも希望は見えてくる、という今まで仲間がいなくてずっと一人の戦いをしてきたエルが知ったかぶりのような口調でそんなことをいったので、なんとなく俺たちも大丈夫なんじゃないかと思い、笑った。
その出来事が今から五時間前の出来事だった。
今俺は、エルの家にきている。ローラたちも念のため、ということでエルの家にきている。最初はそんな大人数は入れないんじゃないかと俺が疑問をぶつけたのだが、エルの借りているマンションはどうも・・・超高級マンションであったらしい。すごく部屋が広くてヤバイです、はい。二階建ての俺の家の部屋全部をあわせてもここの広さにはとどかないと思います・・・ってそれ考え直したらすごくむなしくなってきちゃったんですけど・・・。

「裕介、ぎゅってしよ、ぎゅって♪」

そういえば、エルの住み着いたこの一室は、なんと部屋が六個以上も個別に分けられていたのだ。さらに広いリビングがあって、台所まで広いとか言う。なんというかもう、本物のセレブとかしか暮らせないような場所に俺はきちゃっていいのだろうか?とかいう場違い感を露にしながらも、一応俺はエルから一つの個室を与えられている。そこはなぜか俺があらかじめ来ることが予定されていたみたいにキレイで、しかもなんかベッドが天蓋付きだったりするのだ。落ち着かない感じでフワフワすぎるベッドに横たわったのが丁度一時間ぐらい前で、今はなぜかソワソワして眠れない、といった風な状況なのだ。

「ゆぅすけぇ〜・・・ぎゅって、しよ?」

なんだかんだいっても、エルと九年ぶりに再会したのだ・・・、その緊張感、その罪悪感、その歓迎感・・・、そのなにもかもが俺の心臓の動きを活発化させて、さらに脳を眠りにつかせようとはしないのだ。エルはいままで俺がいないところでなにをやっていたのだろうかとかいろいろ気になってしょうがないのだ。エルは俺に愛想をつかしていないかとか俺はエルのことを守ることが出来るのだとか・・・、いろいろなことが脳内で渦巻いてははじけるのだ。

「うぅ〜!!」

「いてててて、いたい!!いたいって、エル!!」