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Re: 仮名【紅の魔法】※誤字脱字多数 ( No.8 )
日時: 2011/02/01 14:20
名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)

その日から俺は、学校が終わったら友達にも先生にも挨拶することなくすぐに空き地にむかって走った。早くエルに会いたい。何気ない話をして、エルを笑わせて、笑顔がみたいと、そう思うようになった。先生からは毎日忙しそうだけどどうしたの?とか聞かれたが、早く家に帰りたいだけですと元気に答えあしらって、友達にも聞かれたから同じように答えて、笑わせた。それによって俺の友好関係はくずれることはなく、エルという不思議な少女以外すべて普通な生活が二ヶ月続いた。そして・・・二ヶ月もあれば、俺とエルの間に恋の感情が生まれるのも不思議ではなかった。
俺はエルを、純粋で恥ずかしがりやなエルがすきになった。強気だけどそれはけして嫌味とかそういうものではなく、心地いいぐらいのものだった。エルはどうして俺のことが好きになったのかはわからない。だけど、確実にエルは俺のことが好きだった。
二ヶ月たってそのある日・・・俺は一つの質問をエルにした。

「ねぇ、エル。たまにエルが使っている手から炎だしたりするのって、なに?」

それはほんの出来心だった。そんなことを聞かずに、なににも疑問をもたずに普通にエルと暮らしていれば、よかったのだ。なのに俺は、ほんり出来心でそんなことを聞いてしまったのだ。
エルは一瞬、正直に言おうか、それとも隠し通すべきかで悩んだ。だがしかし、俺のことを信じてくれたのだろう。誰にも言わないと、自分のことを利用しないと、信じてくれたのだろう。
だが・・・信じられたからこそ———その悲劇は訪れた。
——————————

「——————僕もエルのことが———————」

契約のための言葉・・・それを俺は口にしようとした。本気でエルのことが好きだった。初恋をしていた俺は、本心からそういおうとした———だが、その瞬間、背中に突然、人間の大人のサイズほどもある巨大な杭のようなものが俺に突き刺さり、そのまま体を貫いてしまう。
血が飛び散り、俺の目が驚愕に見開かれ、エルの目が恐怖に歪む。俺は貫かれた胸をみて、次に杭の先端を見る。そこには生々しい、自分からでてきた、赤というよりも黒に近い色の血が滴るようについていた。
———即死だった。
俺の視界は赤に染まり、かすんでいく。その中で俺はエルのことを見ていた。なにがあったの?これはなに?といったふうな感じで、エルのことをみていた。エルは目を見開いて叫び、俺に突き刺さる杭にさわりそれを一瞬にして消すが、時はもう遅い。俺の胸の中心部には巨大な穴があいており、杭がぬけた瞬間に勢いよく血が吹き出した。
エルは必死になにかを叫んでいた。だがしかし、おぼろげな意識の中、俺はそれを聞き取ることができなかった。でもそれがひどく重要なことだと直感でわかっていた。だから俺は、消え行く意識の中で、エルの滑らかな髪の毛に手をおき、そっと・・・なでる。それにエルは泣き叫び、俺のことを強く、強く抱きしめた。
そうだ・・・俺の人生は平凡なんかではなかったのだ、たしかに主人公ではないのかもしれない。だけど、俺の人生は平凡なんかではない。やることがないと嘆いていたが、やることはいっぱいあったのだ。
よみがえった記憶・・・そこで俺は死んでいる。なのにどうして俺は生きているのだろう?それを考えた瞬間に、その答えはすぐにわかる。
よく俺と遊んでいるときにエルが使っていた・・・何もない空間から炎を作り出したり氷を作り出したり電撃を作り出したりしていた不思議な———、人間にはけして使えないと思う【魔法】それは治癒にも使うことが出来るとエルはいっていた。ならば、エルはその治癒魔法で俺のことを治してくれたのだろう———でもどうして、そんな大切なことなのに、そんな簡単なことなのに、俺が死んでよみがえっただけなのに・・・、どうして・・・どうして、俺は記憶を失っていたのだろうか?
俺は思い出された記憶をなぞるのをやめて、目の前に現れた。小学一年生の時に出会い、あっさりと忘れた少女、エルのことを見る。その姿は昔と変わらず綺麗で・・・美しい。
そして俺は———記憶を思い出し、自分の人生がけして平凡なんかではなく、ほかの人から見ればすごくおかしい世界の道を歩んでいるんだということを———実感した。




        第二章、再会の意味を知る者



「うそ・・・あなた・・・あなたが・・・裕介、なの?」

呆然とした感じでエルが俺に聞く。それにはどこかすがるような感じがあるが、やはり警戒と疑問の色も伺うことが出来る。それはそうだろう。いったい昔になにがあったのかわからないが、誰だってこの状況なら戸惑うだろう。俺だってエル側になったら絶対に戸惑ったり、もしかしたら信じないかもしれない。だけどエルは、目をグルグルにして、本当に?本当に裕介なの?と繰り返すばかりだ。
それに俺はあきれたようなため息をつく。すると以外なことにエルは、そのため息に反応した。

「あ、あっ・・・、そのちょっと息を吸って大きく吐き出す感じのため息・・・裕介ソックリ」

・・・以外なところで覚えられていたんですねぇ、俺って。ていうか俺の顔ってそんなに変わってるか?小学一年生の時の面影ぐらいのこっていてもおかしくないはずなんだけど・・・なんたってまだ高1だし。