コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.85 )
- 日時: 2011/02/13 12:33
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
「・・・もう終わりだよ、もとから君なんて相手にする価値もないやつなんだ、ボクの【禁呪】を喰らってもし生きていられるようならちゃんと相手にしてあげてもいいけど、君にはその程度の、ボクの【禁呪】程度の力を止められる力はもってないだろう?」
そう、少女の手には、圧倒的なまでの魔力を宿す、紫色の巨大な剣、少女の体躯よりも、俺の体躯よりも、あげくのはてにはこの公園の周りに生えている木なんかよりも巨大な紫色の炎の剣が、少女の右手ににぎられていた。さきほどまで胸にかかえていたつぎはぎだらけのうさぎの人形がまるで———その剣に変化したようでもあった。
【禁呪】・・・それは世界消滅の五大元素と呼ばれるものもあれば世界封印二大元素と呼ばれものもある、その他にもいろいろあるらしいのだが、とにかくそれは、その力をもつものが全員そろってその【禁呪】を使えば、どこぞの核兵器なんかよりもおそろしい威力が地球に大して振るわれるほど、やばいものなのだ。
「・・・はっ、その【禁呪】を俺に使ってるって時点で、まともに相手してるってもんじゃないのか?」
俺は平静を・・・装いきれなくとも、なんとかその言葉を口にする。【禁呪】は、【大魔法】ともいわれ、それを使うときは相当ピンチな時だけとか、相手を蹂躙して倒したいときだけに使われるのだという、なのにこの少女は、まともに相手をしたくないといいながらもそれを俺に使ってきたのだ———それはどういうことだ?
案の定、少女は笑う、ニッコリと強く、強く、感情のこもらない顔で、空白の笑みを浮かべる。黒いフリフリのミニスカートが炎の魔力の流れにはためいていて、髪もそれにはためく。圧倒的なまでの魔力をほこるそれをだしてまで、少女はいったいなにがしたいのだろうか?
「・・・クス。これ、なんの炎だと思う?」
突然少女がそんなことを聞いてくる。俺はその質問の意味がよくわからず、だまりこむ、俺は腕の炎を消費しないために一度しまいながら、少女の顔を見る、それは、あまりにも孤独がゆえに狂ってしまった・・・狂気の顔だった。
それが———【孤独の人形師】の、名前の由来だったの、か。
「わからないよねぇ?君なんかにはわからないよねぇ?クスクス・・・、なら、そのわからない君に教えてあげるよ。これは———」
「っ!!『イフリートティア』!!『イフリートブレイド』!!【禁呪】を———喰らえ———!!」
「喰らえないよぉ?逆に喰らったところで君の魔力の計容量はオーバーしちゃうからねぇ。それでもいいのかなぁ?」
「・・・問題ねぇ!!」
「アハハハハハ!!この【禁呪】をみて気でもおかしくしたのかなぁ?でもいいよ別に、君が死のうがボクには関係ないし、じゃ、教えてあげる、この炎がなんなのか、それはね———ボクの孤独を癒す者以外、触れた物体全てを飲み込む炎」
少女が狂ったかのように笑う、それに俺は、顔をしかめながら両腕に炎をだし、それを同時に前方に振るう。『イフリートブレイド』の炎は爆発しながら少女のほうにむかっていく、『イフリートティア』の完全に竜の形をとった炎は、咆哮を上げながら少女を早く喰らいたいといわんばかりにすさまじい勢いせまっていく、しかし、少女はそれでも笑う、笑い、笑い笑い笑い———紫色の、私怨の炎を、孤独の炎を、振るう。
それに、まず竜が喰いかかった、だがしかし、それは今まで吸い込んだ魔力をもってしてでも、一瞬にして打ち消され、俺の左手から炎が消える。爆発しながら少女にむかっていた『イフリートブレイド』もあっさりとその剣に飲み込まれ、消されてしまう。その間にも、その剣がふられたことによって、炎の衝撃波に俺は狙われて———ああ、死んだな、実にあっさり死んだな。無理に意地はって・・・ローラたちに助けを求めなかったのが間違いだったのかもしれないな・・・、そんななによりも———会ったばかりのエルと分かれるのが寂しくて———そしてそれ以上に大きく俺の頭に広がったのは・・・昌子と、もう会えなくなるのは悲しいなぁ、というものだった。
俺はニヤリと、せまりくる炎にむかって笑う。歯をむき出しにして、笑う。前のローラ達との戦いのように、ピンチだからこそ覚える【魔法】を覚える気にはならない、なにせ、今ここでその魔法を使っても絶対にこの【禁呪】をやぶることができないのだ。孤独を癒す者・・・つまり、この少女よりも強かったら、深手を負いはするが死にはしない、後他には・・・この少女の捜し求めている、『あの人』だけは、絶対に無傷で助かるはずだ。だけど俺はそのとちらでもない、だから俺はここで———死ぬ。魔力の計容量とかの問題じゃなかったなとか頭の中で笑いながら———俺は情けない悲鳴をあげないように歯を食いしばり、その炎に飲み込まれていった。
そして———その炎に触れた瞬間、走馬灯のように俺の頭の中に・・・エルとの出会いの記憶よりもさらに奥に封印されていた記憶が———よみがえった。それは完全に、存在さえも忘れてしまっていた記憶、俺が中学時代、コンビニで出会った———一人の幻想的な少女との出会いの記憶———。