コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.88 )
- 日時: 2011/02/13 15:32
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
俺はそこで・・・頭をなでようかなでまいかで悩んでしまう、仮にも・・・さきほど俺のことを殺そうとしてきたのだ。そしてこの少女は
———まだエルのことをあきらめるとは言っていないのだ。もし俺と仲良くなって、俺のことを殺さないでくれたところで、エルがどうなるかわからない。だから俺は躊躇する。
少女は泣きじゃくりながら、俺の体のあちこちをさわっていく。そうするにつれ、どんどん少女から涙があふれていく。初めて出来た友達が突然自分に別れを告げ、この少女は、泣いた。それから、この少女は俺のことを探していたのだという。お互い家を知っているわけでもなく、ただたんに公園で遊んでいるだけだったから、その機会は当然おとずれなかった。
「・・・そうか、お前は孤独だったんだなぁ・・・。【孤独の人形師】ってのもしっくりくるな。んでどうよ?俺に久しぶりに会った結果
は」
「・・・お、おおきくなった、ね?」
「そういうお前は小さいまんまだけどな」
ポカ、ポカポカと、少女は拳を弱くふって俺の腹にあててくる。さきほどまでの絶対的な力で攻撃してくるわけではなく、一人の少女として、一人の女の子として、一人の人間として・・・少女は俺に、抗議の意思を示してきている。それに俺は笑い、我慢しきれず少女の頭を撫でてやった。
「あん時はごめんな、ちょっと嫌なことがあってお前を避けちまってな。しかもそのあとなんか辺な長髪の軽薄そうな、ダークブルーっていうのか?そんな感じの瞳をした男にからまれて記憶を消されちまってなぁ、いや、まじですまん」
「・・・軽薄そうなダークブルーの瞳の男?」
それをいうと突然、少女が顔をあげる。そこにはまだ涙のあとがあったが、どうやらお怒りのご様子で、すさまじい気を放っていた。・・・えーと、なに?
「・・・あいつ、ボクの大切な友達の記憶を消してそのうえ悠々とボクとコンビを組んでやがったのか・・・?許せない・・・。もはやこれはもう【紅の魔術師】なんてどうでもいい・・・。≪紅蓮の契約者≫である君を殺すよう指令をだした≪結社≫だってやめてやる・・・。
ていうか潰してやる。ボクの大切な人に手をだしたらどうなるか思い知らせてやる・・・」
「は?」
「え、えっと・・・裕介っていうんだよね?こ、これからは・・・ユーって・・・呼んでいい?」
突然怒りをあらわにしたと思ったら今度はとてつもなく可愛らしい上目遣いで俺のことをみつめてくる。それに俺はうっとうなりながらも一応頷いておく。ていうか俺、なんかしらんけどこういった幻想的な少女と二回もあってたんだなぁとか適当なことを考えながらも、少女のほうを見る。すると、再び少女は怒りを露にして・・・
「・・・じゃぁまずは≪あの糞≫を打ち殺して・・・次に≪結社≫だ。【紅の魔術師】の契約者である・・・ゆ、ユーを仲間にすれば、自然と【紅の魔術師】も仲間になるから、簡単かな?」
「っ!お、おい、それって———」
「ん?なぁに?」
・・・俺が『あの人』だとわかった瞬間、生じよの口調は自己中心的なしゃべりかたから甘えん坊のような、かわいらしい口調にかわる。
そのギャップに俺は再びうっ、となってしまい、萌え・・・っておいおい、そんなことはどうでもいい、今リーが言った言葉についてだ!!
「リーは、俺たちの仲間になってくれんのか?」
「うん!もともと≪結社≫なんてただの金蔓だし、ユーを狙ってるって時点でもうボクが入る意味はないし」
「じゃ、じゃぁエルのことも殺さないでくれるんだな?」
「うん!!殺す意味もないし、なによりも殺しちゃったらボクの≪結社≫を打ち殺す作戦ができなくなるもん」
「ふへぇ・・・」
ずいぶんあっさりいってしまった・・・ずいぶんとあっさりことがすすんでいってしまった・・・。いや、まじで。
「これからはずっと一緒にいようね?トモダチだから・・・」
少女がそういう。だが、最後の言葉には少しだけ力がはいっていなかった。それはどうやら、俺が別れ際にいったあの言葉、もう俺のことは忘れてくれ、というのが大きくかかわっているのだろう。それはもう俺たちは友達じゃないと宣告しているかのようで、孤独な少女を再び孤独におとしてしまった言葉だからだ。それに俺は、リーの頭を撫で続けながらいう。
「ああ、まぁできるかぎり一緒にいてやるよ、親友」
「ず、ずっと一緒じゃないとやだもん!!」
「えー・・・」
ま、そんなこんなで、≪紅蓮の契約者≫と【孤独の人形師】の戦いに終止符がうたれた。結果報告にしてみるとなんかかっこよくうつってしまうが、全体をみたら・・・なんだこのノロケ話になってしまうのはしょうがないと思う、うん。まじで