コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.89 )
- 日時: 2011/03/23 08:11
- 名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)
七章、結社最初の襲撃者
「・・・鎖牙さま、その人は・・・【孤独の人形師】ですよね?」
警戒しきったような顔でローラが俺にむかっていう。目線は俺の腕にすがりついているリーにむけられていて、完全に疑いの眼差しをおくっていた。俺はそんな感じになるだろうなぁ、と思いながらこの部屋に帰ってきたわけで、まぁそんな感じの反応も予想通りってわけで———
「そうだけど?ボクの名前を知っているなんて君、もしかして≪結社≫の人間かなにかなのかな?」
「いやその反応は予想外だよ!?」
「ふ、ふぇ?ご、ごめんなさい、ユー」
「・・・いや、なんでもないんだ」
リーが突然ローラのことを≪結社≫だと口走った瞬間、俺はすかさず変なつっこみをいれてしまった。それに泣きそうな顔で謝ってきたリーになんでもないんだといいながらなだめる。
ローラはその光景をみて、なにかを納得した、といわんばかりに手をうって、俺のほうをすこしだけ面白そうな笑みでみつめてくる。な、なんだよ?
「なるほど・・・なつかれましたね?【孤独の人形師】というぐらいですか、仲良くなってしまえばもう敵ではなくなってしまう可能性が高いと・・・。付け入る隙が多すぎると・・・。鎖牙さま、マヌケな顔で実はけっこうな策士だったんですね」
「・・・おい、なんでそこでマヌケ呼ばわりなんだよ?」
「いえ、エルシャロンさまというものがありながら、女子に好かれる鎖牙さまは哀れだなぁと・・・」
「あ、そのことなんだけど、ちょっといいかい?」
俺とローラが話しているところに、リーが突然わってはいってくる。リーは真剣な顔をしながらローラのほうに歩いていき、小さな声でい
う。ローラはまだ警戒していたが、今は警戒しなくても大丈夫だろうと思ったのだろう、リーに耳をかす。
「・・・【紅の魔術師】は女で、ユーは男、その間で≪契約≫を完成させるにはお互いが好きあってないとダメなんだよね?」
「はい・・・そうですが?」
「でもべつに婚約しているわけじゃないんだから・・・ボクがうばっちゃっても大丈夫だよね?」
「・・・はい!!当然です!!恋する乙女はなにをしたって許されるのです!!」
「うぉっ!?なんだ!?なにを話してんだ!?」
「ユーはきちゃだめ!!」「鎖牙さまには関係のないことです!!」
・・・えー、なにお前ら突然一致団結してんの?ちょっとまえまでは敵同士だったのになんで?なにかあるの?男の俺ではわからないようななにかがお前らにはあるの?・・・うう、なんかのけ者にされている気分だぜ。
「・・・私にとってエルシャロンさまは恩人です。ですが———それとこれとは別です。婚約をしていなければべつに鎖牙さまの所有権は誰にもありません・・・ですから、あなたは私たちと共に過ごして、鎖牙さまに自分のことを好きになってもらえばいいのです」
「・・・うん、うん!!そうだよね、ボクが君達と行動をともにすればユーと一緒にいられる時間がふえるよね!!」
・・・ああ、そういうことね、と俺は納得する。どうやら、言葉巧みに人間関係をよくしらないリーのことを操り、自然とこちらの仲間に引き入れる作戦にでたのだろう。うん、ナイスだローラ、お前がそういうことをやってくれると、俺がいちいちほかのやつらに説明したりしなくてすむしな。
そういえば、このマンションにかえってくるまえに、俺には俺の生活があるから、一緒にいられるときだけ一緒にいよう、という言葉でリーを納得させている。だからこそ、リーは簡単に言葉にのってしまったのだろう。俺と一緒にいられる、という言葉に、簡単にのっかかってしまったのだろう。・・・うーん、お前は友達が本当に大好きなんだなぁ、俺としてはもういい年の男女なんだし、いつもいつもベッタリされるのは困るというのが本音なのだが、ま、それもいいか。俺がリーと一緒にいる時間が増えれば増えるだけ———【氷翼の魔術師】に対抗する手段が、増えていくということだからな。