コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.92 )
- 日時: 2011/02/16 15:42
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
なかなか考えるなぁと思いつつも、やはりさきほどの、二人そろって俺を拒絶したあれが気になる・・・。・・・まじでなんなんだろう、本当に気になるぜ・・・。
「ねぇユー」
「・・・んぁ?」
「あ、あのね?きょ、今日はもうおそいし、い、いっしょにねよ?」
ぎゅっと・・・いつのまにか俺の近くにきて、俺の袖のすそをにぎる。さらに追い討ちをかけるようにあまりにかわいらしすぎるが、やはり感情に乏しいその瞳を上目遣いにして、俺のことを見上げてくる。・・・ああやばい、俺は絶対上目遣いフェチかなんかだ。この表情を見るたびに心の奥からなにかがはじけとんでいってしまいそうな感覚におそわれる。
「・・・あーすまん、俺は今日眠くないんだわ」
だが、俺は理性に負けることなく、本当にそう思っていることをいう。実際問題、エルとの再会、さらに、【孤独の人形師】が俺の中学時代で始めてできた友達だったとかいう事実をしって、完全に眠れなくなってしまっているのだ。あと、自分が【魔法】を使える、現実世界では絶対にありえないと思っていた、憧れの存在・・・【魔法】を使えるようになってしまったのだ。おそらく、ここから数日間はその高揚感にやられて、俺は人眠りにつくことさえ許されないだろう。
するとリーは、少しだけ残念そうな顔をした後、思い切り俺の胸の下・・・リーの身長だとそこが丁度顔の位置になる・・・に頭をおしつ
けて、だきついてくる。それはまるで、年の離れた妹が、兄にすがり付いているかのようで、俺はなんとなくリーに、友達という感情ではなく、妹、という感情を芽生えさせてしまった。ま・・・実際問題、麗帆といううざったい妹にくらべたら、リーのほうが断然いいしな。
現実逃避ととらえてもらってもかまわないね。
うーん・・・これがさきほど俺を殺そうとしてきた【孤独の人形師】の末路か・・・いやぁなんというか、すごく助かった。俺がリーと知り合っててすごく助かった。じゃなかったら完全に俺は———あそこで殺されていたからな。【デュランダル】という【禁呪】にやられて、
な。
「あー・・・、じゃぁリー、少しだけお願いしてもいいか?」
「・・・なに?」
・・・ああ、ああ、これは年下の少女にいうのは恥ずかしい言葉だ、年下の少女にお願いするなんて、恥ずかしいことだ。だけど俺は、そんなのを気にしない。使えるものは全て使ってやる。それがヘタレ男の今できる、最善の方法だった。エルを守るための・・・一番の近道だった。
「俺の———【魔法】の練習を手伝ってくれないか?」
そしてリーは・・・なにかかんがえこむような顔になる。それは、死なないために強くなろうと俺がしているのか、それとも、自分と一緒にいられるように強くなろうと考えているのか———というのが簡単に読み取れるほどの顔の変化だった。実際はそのどちらでもないのだが、勘違いしてくれるならありがたいね。ま、べつにエルのためだとかいったって怒らないんだろうけど、なんか嫌な予感がするからそのことだけは口にしないでおこう。
「ん・・・わかった。ユーのためにボク、がんばるね」
「よっしゃ!んじゃさっそくさっきの公園にいくか!!」
「おー!!」
「・・・もりあがっているところ悪いんですが、今外出するのはやめてください」
「・・・は?」
俺たちがやる気をだしているところで、突然ローラがそういう、今の今までずっと本にむかってなにかを書いていたローラがそんなことをいう。それに俺はわけがわからないといった風な顔になるが、リーのほうはなにかに気がついたかのように辺りを見回し、うん、と頷く。
「・・・君、ボクと同じ『例外魔法使い』だね?今このマンション全体にはられている結界はどの属性にも該当しないものだ。それで?この結界にはなんの効果があるのかな?」
「いえ、少しの間、といっても五時間ぐらいですが、この結界の中にいるだけで、魔術などの非科学的力をよせつけなくなります。つまり、索敵されません」
「・・・そりゃつまり、さっきまで俺が外にでてたから、リーに、【孤独の人形師】にバレたと。そういうわけか?」
「いえ、少し違います。さきほどまでの結界、つまり鎖牙さまが外にでるまではこの部屋にしか結界がはられていませんでした。ですから、部屋から出た瞬間に魔術による索敵をうけてしまったのでしょう。違いますか?」
「・・・まぁ一応はそうだね。ボクがユーの気配を感じたのは本当に突然だったからね」
「・・・ということです。ですから、このマンションの外にでないかぎりは大丈夫です。ですから一階にある自動販売機で飲み物を買ったりすることはいいのですが、できるかぎり今は、外にでないでください。・・・エルシャロンさまが寝ている間は」