コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵4つ目】 ( No.95 )
日時: 2011/02/18 01:25
名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)

まぁいくら俺が日常の道からはずれたって、俺が学生であることは代わらず、そのことからもちろん、毎日学校に通わなければならないというわけだ。だから俺は、朝からしわだらけになってしまった制服をのばす作業をしていた。制服のあちこちに切り傷的なものや焦げ目てきなものがあったが、それはローラの【魔法】によって修復してもらっているので問題はないが、これだけはどうしようもなかったのだ。
時刻は、学校が始まる五十分前といったところか。今頃クラスメイトたちはおきだすころで、部活やっているものはもういっていたりするわけで———なにも変わらない日常にうんざりするわけではないのだが、こうも一度意識をしてしまうと、なにかがたりない気がしてならないのだ。まぁそれはただ俺がお前らとは違う道を進んでいるんだぜとか高みに上ったつもりでいるからかもしれないが、うーん・・・実際のところどうなんだろうな?

「裕介!!こいつぶん殴っていい!?」

「ユー!!このいけ好かないくそ魔術師のこと殴り殺していいかい!?」

制服のしわを伸ばす作業をおこないながら俺は、朝飯のパンを食べる。まぁ片手でできる作業同士なので、利き手を食事に、利き手じゃない方をしわ伸ばしに活用させてもらっている。しわのばしは基本てきに同じところを何度も何度も強くひっぱるだけなので、正直にいってつまらない。そういえばローラたちは朝早くから、あたりの偵察にいってきますとかいっていなくなってしまっている。だから今現在このマンションにいるのは俺だけで・・・そう、俺だけで!!

「あ、あんた!!裕介のことあだ名で呼んでるの!?」

「ふん!そこが君とボクの大きな違いだね。これはユーがボクのほうが好きってことなんじゃないのかな?」

「な、な、なにいってんの!?わ、私は裕介と契約してるんだからね!!」

「それがどうしたっていうんだい?正式な婚約でもないかぎりユーは別に君のものでもなんでもないじゃないか」

「・・・決めた!殴る!!」

「いいだろう、ボクも丁度君をぶん殴りたかったんだ」

・・・

「「歯を食いしばれええぇぇ!!」」

「テメェらさっきからなにやっとんじゃくそボケエエェ!!」

パンを手からはなし、制服から手をはなす。そして俺はそのまま立ち上がり、後ろでなにやらいろいろと言い合っていた二人の険悪ムード全開です♪の中に無理矢理体をねじこませる。そして当然・・・二人の動き出したては、俺の顔面によってふせがれた。
正直・・・女の子にしては、いや、腺の細すぎるこの二人から考えることは出来ない壮絶な威力のパンチでしたよ、はい。

「あ、ゆ、裕介・・・ごめ、ごめんね?」

「ゆ、ユー、ごめんなさい」

俺を殴ったことで正気に戻った二人が、いっせいに俺に謝る。それは上目遣いだった。俺のことをさきほどまでの凶悪な顔つきではなく、弱弱しい、瞳に涙のたまった、可愛らしい、なんとも可憐な、いや、この世の言葉では表現するのもむずかしいって・・・おい、俺はまじで上目遣いフェチになっちまってんじゃないのか?どんどん上目遣いを見るたびに心の奥からムズムズとなにかがわきあがってくるぜ・・・。

「・・・よし、とりあえずは落ち着いたな?」

俺は痛む両頬を無視しながら、二人の頭に手をおいて撫でてやる。二人はどっちが俺に大事にされているてきなことでいいあっていたらしいから、俺が二人のことを同じぐらい大切に思っているんだということを行動でしめしてやる。まぁそんな態度が原因でこの二人はなんやかんや言い争っていたっぽいのだが、そんなことをしるよしもない。二人は恥ずかしそうに目をそらしながらも、やはりすこしだけうれしそうにしている。それに俺は満足して、再び制服を直す作業にはいる。
あー・・・っと、いつのまに俺はこんな青春ドラマでも絶対ありえないような展開で美少女にかこまれるハーレムてきなものを作り上げてしまったんだろうか?まぁ全員が俺に異性としての目をむけているわけないからそんなことはないのだが、こうね、ちょっとだけ、自分の不幸な人生に・・・華がさいたことに、うれしく思うんだよね。誰もが憧れるような美少女たちとなにかを共有する・・・ああ、言葉にするとすごくいいんだけど、あれだ、やはりその共有しているものが物騒すぎてそこだけはあまり感動できないな、うん。
たとえ魔法だのなんだのがからんでいようが、一応は一介の高校生な俺である。そんなシチュエーションを体験してしまうとなんだかもう、これ以上なし合わせは一生来ないんじゃないかと思うほどでもある。

「あー・・・そうだ、リーは俺たちが学校にいってる間どうすんだ?」

ふと思ったことを俺は、後ろで気まずそうにたっていたリーにむかって問いかける。リーはそれを聞いて、ハッと気がついたようになり、エルのことを見る。それにつられて俺もエルのほうを見てみると、なぜか勝ち誇ったような笑みをうかべていた。
それにリーは、目を吊り上げてにらみつけるような表情になる。再びの喧嘩勃発になりそうな雰囲気になる前から俺はまぁまぁとリーのことをなだめる。それにリーは肩の力を落してはぁ、と一息ため息をつくと、一瞬真剣な顔になって答えをだした。

「・・・ボクも同行するよ。授業とやらにまでは流石にでないけどね、学校にいる間は屋上で待ってるよ。なんたって今の状況は非常にまずいからね、『あいつ』の襲撃がいつくるかもわからないし、それにこのくそ魔術師がユーのことを———」

最後のほうがよく聞こえなかったが、リーはどうやら、【氷翼の魔術師】の襲撃の時のために、学校についてきてくれるのだという。それに俺はそうか、といって、制服を持ち上げる。うん、いい具合に治ったな。これなら何の支障もない、というかむしろ、前よりもよくなっている気がするぜ。

「んじゃ、俺はそろそろ出るわ。家に帰っていない理由を昌子には言ってなかったからな。一応口で伝えてやらねぇと心配するだろうし、お前らは後からきてくれ」

制服の上を羽織ながら俺はそういう。前のボタンをしめ、なにもはいっていないスッカスカのカバンをもちあげ、俺は二人を見る。二人はどうやら、昌子という言葉のあたりから少しだけ顔を曇らせていた。

「昌子って・・・昨日いってた幼馴染?」

「・・・ユーはつくづく女を引っ掛けまわす性格らしいね、その根性がすごいよ」

「・・・おいリー、誤解はするなよ?今エルがいったように昌子はただの幼馴染だ。そういっ類の関係では一切ない。ていうかむしろ、俺の過去にも今にもそういった色恋沙汰のものは何一つとしてないぞ」

「「・・・にぶいなぁ」」

「・・・え?なにが?」

「なんでもないよー。・・・えっと、気をつけてね?・・・このくそチビのようにもしかしたら裕介だけ狙われるかもしれないしね」

「あー・・・うん、まぁ気いつけるわ」