コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵4つ目】 ( No.96 )
- 日時: 2011/02/18 01:28
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
ポン、とエルの頭に一度手をおいて、そのまま俺は歩いて玄関にむかっていく。その間にもリビングから、くそチビってだれのことかなぁ?とか完全に喧嘩口調になってしまっているリーの声が聞こえてきたりもしていたが、俺は無視を貫き通してそのままドアをあける。そのさいに一度、外の光による攻撃で俺の目は一瞬クラッときたが、昨日ほど天気がいいわけでもなく、それは何事もなくすぐにおさまってくれた。
エルの部屋のすぐ近くにあるエレベーターのボタンをおして、ついたそれにのる。俺がボタンを押した階にむかってそれは下っていき、やがてチン、という音がなると、ドアがひらく、俺はそこからでて、広い広場のようなマンションの入り口をぬけて、外にでる。
エルのマンションは、最近できたもので、しかも宮西高校とけっこう近かったりもするのだ。だから俺は、携帯をとりだし、昌子から入っているメールの中身を確認しながら、歩きだす。
まぁ、昨日今日で完全に俺の日常がぶっ壊れるはずもなく、時はただ動きはじめる。日常から外れようとしている俺を、日常はあとすこし、あとすこしだけ、といいながら連れ戻していく。昨日の魔法だのなんだので殺されかけた俺を、前を走り去っていく、部活に遅れてしまいそうな同じ学校の生徒の姿が、日常につれもどしてくれる。
ま、なんだかんだいっても、かわったのは俺を取り巻く環境だけだ。ほかの人はなにもかわらない。今までおおくの日常とかかわってきた俺を、一瞬にして非日常につれだすのはむずかしいといえる。その証拠に、俺と昌子の関係は幼馴染で、西野とはゲーム仲間で、同じ学校の生徒は同じ学校の生徒で、クラスメイトはクラスメイトだ。俺がまだほかの人にとって普通の平凡な高校生であるかぎり、俺の日常は消え去らない。とはいっても、その全員が、俺の目に見えないところにいってしまえば、日常もそれまでだ。そこからは俺は、魔法の訓練だのなんだのやったりし始めて非日常に一気に変わる。その間にもいろいろな敵がおそいかかったりしてわーやばい、これ死ぬとかいいながら戦ったりして、別に町の平和を守るヒーローでもないのにがんばっちゃったりして、完全に非日常全開モードに変わってしまう。
ああっとぉぉ・・・そういえば学校で思い出したんだけど、昨日俺、中西のこと蹴り飛ばして謝りもせずそのまますごしちゃったんだよなぁ。まぁからむのはめんどくさいしからまれるのもめんどくさいからそのまま無視の方向で突っ走りたいとは思うんだけど、不良の先輩たちがきちゃったら俺がいつびびって魔法をつかっちまうかわかんねぇからなぁ・・・どうするか?
そんなことを思い悩みながら五分、俺は学校の校門についてしまった。だるい体を動かしながら俺は道に沿って歩いていく。その間にも、グラウンドのほうから野球部やらサッカー部やらどっちがどっちだかわかんないような声が聞こえたりしてきたが、無視。うるさいだけだし、俺はどっちにも興味をもっていない。でも少し聞こえた。山田くぅんとか、山田先輩かっこいいですとか山田先輩大好きですとかそんな女子の黄色い悲鳴には耳を傾けてしまう。いやぁ、青春っていいねぇ、すっげぇ嫉妬心が湧いてくるんだけど、山田って誰だよおい、そしてなんでお前らは朝っぱらから部活もしないでそいつのこと応援しにきてんだよ、暇人かおい?
「・・・あら?あらあらあら?もしやもしや、この中途半端に長い髪の毛の持ち主は———さーが君ではないか!!」
「・・・俺をどこぞのサーガみたいにいってんじゃねぇよ、西野」
俺が、サッカー部おら野球部やらのどっちかにいる山田というやつに声援をおくっている女子たいして毒をはいていると、突然後ろから声がかけられる。それは聞き覚えのあるちょっとぽっちゃりとした感じの、聞いているだけで和むやらイラつくやらのどちらかにしてほしい声で、そいつの正体は当然のごとく西野だった。
「いやぁ、さーが君は今日も速いんですねぇ。あれか?お前も俺と同じく親におこられるから学校でゲームを———」
「・・・お前と一緒にすんなよ?」
「つれないなぁ鎖牙。今日はゴッドイーター俺もってきたんだけどなぁ」
「あー、ゴッドイーターか、そういえばお前、バーストを楽々クリアしたからむずいほうやってんのか」
「おう、最近はめっきりはまりこんじまっているぜ」
「そりゃよかったな」
ポケットに手をつっこみながら気軽に話しかけてくる友人にたいして俺は、少しだけ笑ってしまう。やっぱり俺はまだ、日常からは離れていないのだと実感することができるから、日常がまだくずれていないと、確信することができるから、俺は笑ってしまう。それに西野は不気味なものを見るかのように俺のことをみてきて、心底いやそうな声でいってくる。
「・・・あの鎖牙が、まるで自分は人生の脇役なんだといわんばかりに根暗な鎖牙が・・・まるで主人公のように晴れ渡るような笑みで笑ってやがる・・・うわぁ、さわやかすぎて気持ち悪・・・」
「・・・てめぇの毒舌は相変わらず健在だなぁ、今日もそれで雉田を困らせてやれよ。俺じゃなくてな」
「ん?言われなくてもそのつもりだが?」