コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵4つ目】 ( No.97 )
- 日時: 2011/02/18 02:16
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
そんなことを、当然といってのける西野にたいして俺は軽くわらい、頭をはたいてやる。西野はやりかえしてきて、俺は再び西野の頭を軽くはたく。西野も次のいってを決めようとしたが、なにを思ったか、両手で俺の頭をはたいてきた。
「ふっ・・・一回は二回の法則だぜ?」
そしてそういいながら、重そうな体をゆらしながら走り去っていく。図体の割には異常に早い逃げっぷりに俺は関心しながらも、おいかける。
正直にいえば、今の俺は本気で走るだけで現役アスリートなんか軽く追い抜けるほどだ。だけど俺は当然のようにそれをださない。いつも走っていたペースにあわせて走っていく。まぁ足はそれなりに速い方ではあったので、西野に切り離されることなく、むしろおいついてしまう。
「一回は二回の法則!?はっ、なら俺は二回は十回の法則だ!!」
「テメェせこいぞおい!!ていうかお前からやってきたんだろうがああぁぁ!!」
鬼気迫る表情で西野は校舎に入っていく。そのまま外履きを脱ぎ捨てて俺に投げつけてくる。俺はそれをちょっとずるをして本気をだし、手を顔の前で交差するようにかまえてそのまま振り下ろしつつ西野の外履きを楽々ととる。それをそのまま西野のほうにほうりすてて、軽く三発だけはたく。
「ぐああぁぁ・・・やられたぁぁぁ」
そういいながら西野は白目をわざとらしくむいて倒れこむようなそぶりをみせる。それに俺は苦笑いを浮かべて、外履きをぬいで上履きにはきかえる。ロッカーのなかはすっからかんになってしまったが、すぐそこに外履きがはいるので問題はない。一応ロッカーの鍵をしめた俺は、西野の頭をたたきながら
「お前じゃ俺には勝てないぜ」
という。それに西野は泣きそうな顔で
「・・・くうぅぅ、ゲームではお前なんかに負けないんだからな!!」
といってくる。俺はそれを無視するように教室までの道のりを歩いていく。後ろからダカダカと西野が追いかけている気配を感じるが、今は無視、と。
ガラッと勢いよく教室のドアをあける。そこには当然誰もいなくて、お、俺一番のりか?とか子供のように思ってしまう。だがそれは一瞬で、教室のなかに漂う、異様なボンド臭に・・・俺は顔をしかめるはめになった。
「・・・ておいおい、俺の椅子妙にもりあがってねぇ?」
とか一人でにつぶやくと、後ろから西野も教室にはいってきて、うわっ、なんだこのボンド臭!!とさけぶ。そして俺の椅子の惨状をみて、おいおいひでぇなこれは、という。
「・・・あー、見事にかたまってやがんなぁ」
自分の机まできて椅子のボンドをたしかめると、みどこにゴツゴツしていた。それをみてどうしようか悩んみながら、机に手をおくと、こちらも妙にゴツゴツしている、というか、デコボコしている。それ俺はなんだ?と顔をしかめて、机を見てみる。すると・・・机上が大変なことになっていた。
死ね・・・キモイ・・・学校にくるな・・・消えろ・・・カス・・・調子にのるな・・・雑魚・・・
ありとあらゆる罵詈雑言が俺の机の上に描かれていた。それは彫刻等かなにかで書かれたらしく、一生ものの傷であることはたしかだった。
「・・・おいおい、古風のいじめだなぁ」
俺はこれをみて、少しだけ泣きそうになってしまったりもしたのだが、犯人は・・・大体予想がついた。あいつ一人でやったとも考えられないが、いままでとくにといって調子こいてたわけでもないし、ほぼ空気としてこの学校ですごしてきた俺だ、一日二日でこんないじめがおこなわれるわけがない。だから理由があるとすれば、それは昨日の・・・中西だろう。
あー・・・喧嘩で負けたことが悔しかったのかなぁ?
そう思いながら俺は、西野、ちょっと手伝ってくれ、といって西野を呼ぶ。西野は俺のことを気まずげに見ていたが、なんの表情の変化も見せない俺に目を見開きながらも近くにくる。そんな友に俺は、こいつと友になれて、けっこうよかったのかもな、と思う。普通、こんな傍目から見たらすごいいじめをうけている生徒に、近づこうなんていうやつはいない。たとえそれが友達であったとしても、自分に飛び火するのが怖くて、近寄らないはずだ。なのにこいつはきてくれるのだ。・・・うーん、こいつ毒舌のわりにはいいやつなんだなぁ。
「んじゃちょいとこの机を多目的室においてきてくれ、そしてできたら真新しい、ピカピカの机と取り替えてきてくれ」
冗談を加えながらそういうと、西野はハッと口の端をつりあげて笑い、まかせとけ、といいながら俺のひどいありさまの机を外にはこびだし、多目的室にむかっていく。今の時間たいなら校舎にいる人は少ないから、人目を気にする必要もない。いやぁ、速めに気といてよかったなぁ。
さぁて、じゃぁこの椅子はどうするかなぁ?と俺は思う。そこでひとつ、ピンとアイデアがひらめいた。
「・・・誰もいないよな?」
辺りを見回して確認する。当然西野がここからでていってしまったのでもう今は誰もいない。ならばいい、学校には結界をはってあるとローラがいっていたし・・・【魔法】をつかってもなんの支障もないはずだ。
俺は右手を椅子にむかってむける。頭の中でボンドだけを燃やし尽くすと思いながら・・・その呪文を、詠唱する。
「Dhe forcen tone, drita skuqem dhe per te mbrojtur kryesor『我の力となり、その紅蓮は主を守る光となる』」
・・・呪文の意味とまるで違うところで使ってしまっているが、まぁそんなのは関係ない。魔法の大量使用は自分の中にある魔力を枯渇させてしまう可能性があるのであまりできないが、この程度の、木工用ボンドを燃やし尽くす程度のものなら、全然魔力を使わなくても大丈夫だ。
俺の右手に、黒い幾何学模様がうかびあがっていく。それはうずをまきながらさまざまな文字に変化していく。そのあちらこちらから炎がうかびあがり、俺の手をつつみこんでいく。そして俺は、その炎を、今まで以上に力を抑えたこの炎を、椅子のボンドだけにむかってはなつ。
するとどうだろう、あっさりとボンドはとけていく。実際なら木でできている椅子は簡単に燃えてしまうはずだが、俺がしつこくボンドだけを燃やせと炎に命令していたので、その現象はおこらない。ボンドはあっさりとその姿をけして、さらに、この部屋に充満していたボンドの臭いまで消えていく。それに俺はありがたいと思いながら手に宿る炎を消去し、椅子にふれる。椅子は無傷で、ボンドがあったかなんてまるでわからなくなっていた。・・・元の状態にもどったというわけだ。
「おーいさーが君、お前椅子はどうすんだって・・・あれ?ボンドは?」
丁度いいタイミングで西野が戻ってくる。するとどうだろう、西野は俺のいったとおり本当に真新しい机をもってきてくれた。いやぁ、こいつ使えるねぇ。
俺はボンドなんてあったっけ?といわんばかりに不思議そうな顔をする。それに大して西野は、ボンドだよボンドといいながら俺の椅子を指さすが、当然そこにボンドはない。なにいってんだお前と俺はいいながら、机を西野からうけとり、おく。