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Re: *叶恋華* +実話+ ( No.153 )
日時: 2011/02/10 22:05
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 14pOvIO6)
参照: 素直じゃないの だって(by.メランコリック

第三十五話『天然記念物』


次の日の朝——。


「はぁ……」


昨日はメール出来たし、壱と距離が縮まるかと思いきや……。
相変わらず。
珠紀壱君は、今日もカッコイイです。


「依麻おはよ」
「おはよ〜」


いつものように愛奈の席に集まる、私と優と由良。
そして今日もくだらない話から一日が始まる。
そんな時、


すると優が笑みを浮かべながら、私の顔を見た。


「メール来た?」


優が笑みを浮かべながら、私の顔を見た。
私は少し黙った後、軽く笑みを浮かべる。


「……うん」
「「「えーっ!!まじ!?」」」


ちょ、三人揃って声でかっ!!
慌てながら壱の方を見ると、愛奈の隣の席の原田くんの席で話している。
ていうか周りに男子いるし!
ばっちり目の前に疾風いるし!!


「え、まじで!? なんてきたの?」
「そ、それはあとで……」
「いやぁ、依麻よかったねぇ〜!!」


三人は笑顔を浮かべ、私の背中を何度も叩いた。
私は素早く頷いて、周りを確認。
あ……壱、いつの間にか自分の席に戻ってるし。
これ以上、壱にバレるような真似はしないでおくれ。


——しかし、その願いは数秒後見事に砕け散る。


「つか、愛奈声でかい! 本人近い! そこに壱居るし!」


優 さ ん ま さ か の 名 指 し
あぁぁぁ終わった、壱に聞こえるぅぅぅ!
それと同時に原田くん&疾風に聞かれるぅぁぁぁぁ!!


「……依麻、顔赤いゾ!」


なにがゾ! だぁぁぁぁ!
自分の顔が、どんどん熱を持って行くのがわかる。
私は慌てて顔を隠した。
ひぃぃ消えたい!
絶対バレた、あぁ終わった。
壱の顔見れない!


そう思ったとき、


「——……壱、今表情が変わったな?」


疾風がそう呟いた。
……え?
私はゆっくり顔を上げ、疾風の顔をチラ見した。
疾風は、ニヤニヤしている。


「……ぁ?」


壱は小さな声で呟いた後、黙ってしまった。
ちょっと、今の疾風の台詞どういう意味?
すっごい気になるけど、壱の方が向けない!!


「……あ、そういやさ」


絶望的な私とは裏腹に、由良たちは世間話をし始めた。
ええい、もうどうにでもなれ!
私も三人の方を向き、世間話の輪に入れてもらった。


その時たまたま視界に入った壱は、頬杖をついて窓の方を見ていた。


**


国語の時間。
福野の荒々しい授業——。
私は空の方を見て、ボーッとしていた。
ちょうど今は、教科書の内容だ。
福野が朗読しているので、私同様ボーッとしている生徒や、寝ている生徒も多い。


「——……はい、じゃあここで一旦切ります。珠紀壱、第一の試練とは?」
「え、」


壱もボーッと組で、教科書すら開いていなかったので慌てて体を起こして福野を見た。
教室には、沈黙が走る。


「壱、わかんないの? 橋と川使って答えて」
「橋と川……?」


『橋と川』。
そのキーワードを壱に伝えてヒントを与える福野だが、壱は固まったままであった。


「え……」


少し考えて、壱が出した答え。
それは、


「川デ、橋ヲ、渡ッタ」
「……は?」


福野は目を見開き、口を開けて茫然としている。
壱の珍解答&おかしな発音に、周りの皆は大爆笑。


「壱、川で橋渡ってどうするんだよ」
「……え?」


確かに、川で橋は渡れない。
橋で川を……あれ? なんかこんがらがる。
というか壱の反応、可愛い。


「……あのさぁ、ここは日本語覚えたての外人の集まりじゃないんだから!」


福野は壱にそうツッこんで、笑った。
壱は軽く笑みを浮かべていた。
やっぱり、壱の天然発動は面白い……。
改めてそう思った私であった。