コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.159 )
- 日時: 2011/02/11 00:51
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 14pOvIO6)
- 参照: 現在の更新が、まだ十一月の出来事だ← 更新ノロすぎるあっひょ←
第三十八話『視界の中のキミ』
目があってもすぐ私から逸らしちゃうけど。
——やっぱ、目で追っちゃうんだなぁ……。
君と目が合えたら、私は一日中幸せです。
今日は、学年集会があった。
なので制服登校なんですが——。
制服を忘れ、ジャージで登校してきた壱と糸田と原田くんと中條と不良軍団が、集会に出ないで教室で待機ということになった。
立たされて説教をされている壱。
私たちは、その光景を黙ってみていた。
……ていうか、なんか福野が異常に壱に接近してる気が……?
気の、せい?
でも前に福野が、由良に向かって「お前は男と仲良すぎだから」って言ってたのを聞いたし——。
「ちょっと壱! マジお前馬鹿じゃん!」
「いや、俺ちゃんとやって……」
壱は小さく笑みを浮かべながら、そう言った。
福野もなんだか壱に対して口調が優しいし——……。
……まさか……?
いや、そんな訳ないよね、うん。
そう信じたい。いや、そう信じよう——。
私は必死に、そう言い聞かせた。
*給食時間*
「依麻、このスープと私のスープ取り替えてくれない?」
「ん、いいよ〜」
給食準備をしているとき、スープを盛り付けている由良に頼まれた。
私は笑顔でそれを引き受け、すぐ近くの由良の机に手を伸ばしたが——……。
「!」
よく見たら、すぐ横に壱が居た。
うわ、近い!!
私はその場で固まるが、壱はそんな私なんて気にせず給食準備をしていた。
なんか壱のジャージの裾がつきそうな勢いだけど、上手くよけて……っと。
「ふぅ、すり替え成功!」
「ありがとう、依麻!」
なんとか壱のジャージの裾にスープがつくこともなく、なんとか任務を達成できた。
由良は笑顔を浮かべ、私の分のスープをくれた。
私がそれを受け取るのと同時に、横にいた壱は無言でお皿を持って去ってった。
その際に、軽く私の制服と壱のジャージが掠る。
「……っ!?」
ふわっと香る、壱の匂い。
それが鼻を刺激して、なんだかやけにくすぐったくて。
こんなに意識してるのって、私だけだよね……。
だって壱は私を眼中に入れてるかすらわからないし……、ね。
壱は天然四天王だしマイペースだし、鈍感そうだし。
そう思いながらスープの入ったカップを両手で持ち、自分の席についた。
すると、犬ちゃんが可愛い笑顔を浮かべて私の目の前に立った。
「……!?」
私は警戒し、思わず後退りしてしまう。
しかし犬ちゃんはそんな私にも笑顔を絶やさず。
人懐こい笑みを浮かべていた。
「——ね、ジャムいるー?」
「え? ……いや、いらない」
「え? まじ? もらっていい?」
「いいよ、あげる」
「やった〜!」
私がジャムを犬ちゃんに差し出すと、犬ちゃんは満面の笑みを浮かべた。
犬ちゃん、本当に犬みたいで可愛い……!
耳と尻尾が見えるよ、本当に!
しかし、
「は? 駄目だし」
「「え」」
一人の女子の声が降り注ぎ、私は犬ちゃんと声が重なる。
声がした方を見れば、志保ちゃんが犬ちゃんの横で無表情のまま立っていた。
そして、犬ちゃんの手からジャムを取り上げる。
「あげない」
「えぇ……」
しゅん、と一気に落ち込む犬ちゃん。
か、可愛いーっ!
耳が垂れてる、耳!
そんな可愛い犬ちゃんにやられたのか、志保ちゃんも笑顔を浮かべた。
「……なんて、嘘だし。犬ちゃん可愛い」
「え……? あ、やったー! やりー!」
志保ちゃんがそういうと、犬ちゃんは大喜びで走って行った。
尻尾振りまくりだよ、犬ちゃん!
とにかく全てが可愛い……!
そう癒されてると、
「……あ、壱悪い」
隣の安多君の声が聞こえてきた。
見れば、安多君の前で壱が止まっている。
どうやら安多君の机が邪魔で、壱が前にいけないみたいだった。
安多君は、素早く机を除けた。
「ありがと」
壱は笑みを浮かべてそう呟き、安多君の頭を撫でて去って行った。
うひゃあ、あんなことされたらキュン死に……!
てか壱、安多君の頭……てか坊主頭が触るの好きなのかね?
いつもすれ違い様に、さりげなく触ってくし。
「…………」
一瞬、ほんの一瞬だけ。
「私が坊主にしたら……」なんておかしな考えを持ったのは、言うまでもないだろう。