コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.174 )
- 日時: 2011/02/12 01:58
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 3iZuTr1t)
第四十二話『ワガママな想い』
そのまま時間が過ぎ、五時間目——。
今日の五時間目の学活は、班替えだった。
やっと席替えかぁ〜……長かった。
私はそう思いながら、黒板の方を見ていた。
「……」
班長会議で割り当てられた班が、次々と黒板に書かれていく。
四つの班が全部埋まり——……残りは二班。
私の名前はまだ、書かれていなかった。
壱の班の所が空いてるから、もしや——!?
私はそんな期待を抱き、思わず身を乗り出してドキドキしていた。
「——じゃあ、決定した班で集まってー」
「……はぁぁぁぁ」
福野の大きな声が響くとともに、私は大きな溜息をついた。
結局、壱の班にはなれず——……。
今時どうなのかっていうパンチパーマをした男子、堀巻健吾の班になってしまった。
しかも、班員は全員背がでかくてイカつい男子ばかり。
……ちょっとこれ、どうなの。
皆中二だと思えない、同い年だと思えないのですが……。
そう思い振り向くと、誰かに捕まれて引っ張られてる壱とばっちり目が合った。
私と壱は、ほぼ同時に逸らす。
……いや、壱のほうが少し先だったかも。
あぁぁ、もうそんなのどうだっていい!
私はヤケクソになり、新しい班の元へ向かった。
**
「…………」
イカつい男子が集まったこの班。
私はこの班の人々全員と話した事がなかったので、その場で縮こまっていた。
あぁ、そんな変な目で見ないで。
怖い、怖いよ帰りたいよ助けて。
「——水城さん、ヒロの隣ね」
「はいっ!? ……あ、はい」
ご親切にどうも。
ヒロこと秋野弘人……クラス一の長身で、無口。
その人と目が合うと、小さくお辞儀をしてくれた。
なので私も無言でお辞儀をし返した。
「…………」
会話が欲しいよ、会話が。
男子とも女子とも話せないし、誰からも話しかけられない……とほほ。
まぁいいよ、もういいよ。
開き直るよ、寂しくなんかないんだからね。
そんな私は一人外れた席で、隣の班にいる壱の方を見ていた。
壱も班に馴染めない様子で、伏せて退屈そう……。
壱と同じ班の犬ちゃんが、尻尾ふりながらちょっかいだしてるけど。
——近くで見る壱の背中。
手を伸ばせば届きそうだけど、届かない距離。
「……」
ねぇ、どうしたら私の気持ちに気付いてくれる?
どうしよう。
どうしたら、君に想いが伝わる?
こっち向いてよ……、ねぇ。
こっち向いて、笑って?
こっち向いて、話しかけてよ。
そんな我侭な願い。
私はその時間ずっと、壱の背中を見つめていた。