コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.181 )
- 日時: 2011/02/12 04:42
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 3iZuTr1t)
- 参照: 溺れるのが 怖かったの(by.愛迷エレジー
第四十五話『疑問≒期待』
時間が経てば経つほど疑問が浮かぶので、私は休み時間に由良と愛奈と優に情報を求めた。
すると由良と愛奈は何か知っているようで、真剣な表情で私の顔を見た。
「……依麻が休んでる時に、壱と依麻の話したんだよね」
「ぶっ」
愛奈のその言葉に、私は思わず吹き出した。
壱と私の話……ですと!?
「そ、それで……?」
「なんか照れてた。黙って俯いてたよ」
照れ……っ!?
ちょっと待て、そんな訳ない!
本当に四日間の間に何が!?
「なんかねー、『どうしよう』とか『付き合おうかな』とか言ってたよ。んで、周りから付き合っちゃえってめっちゃ言われてて、顔めっちゃ赤くして、顔隠して笑ってた」
「うんうん! めっちゃ赤かったよね」
これはきっと夢だ。うん。
私、まだ夢見てるんだよね。
だって壱がそんな訳——……。
言うはずない。
言うはず、ないんだ——。
でも、私は少なくともこの時、期待していた。
君は、本当にそう言ってたの?
私の事を、少しでも考えてくれたの——?
そう思うと、居ても立ってもいられなかった。
そう、今思えば——。
なんて私は、馬鹿だったんだろう。
真実かどうかもわからないのに、期待してしまうなんて。
*放課後*
すっかり忘れていたのだが、今日は学年レクの日であった。
学年レクを行う為、私たちは体育館へ向かう。
班対抗で行う為、全部で三班に分けられていた。
私は三班で、壱は二班。
班も違うし距離もあるけど、整列の時に近かった。
こんなにドキドキしてるの、私だけだろう。
意識して壱の方をまともに見れないのは、私だけでしょ——?
「——はい、じゃあこれから学年レクを始めます!」
PTAのお母さんが司会を始め、拍手が湧き上がった。
PTAのお母さんは軽く笑みを浮かべ、司会を進めた。
「えー……。今回司会をさせていただく、珠紀です! それで、ルールの説明を——」
……ん?
珠 紀 ?
ちょいちょいちょい、珠紀とはどっちだい?
壱の方? それとも、犬ちゃん……?
いや、でも壱とお母さん似てないよね?
でも犬ちゃんとも似てない……え?
「……優、あれどっちのお母さん?」
「私も思った。どっち?」
隣に居た優も疑問に思ったようで。
私と優は、そのお母さんを黙って見つめていた。
……どう見ても、壱にも犬ちゃんにも似てない……。
「——ねぇ、あのお母さんって誰のお母さん?」
私が必死にお母さんの顔を観察していると、優が後ろの子に質問していた。
すると後ろの子が、
「壱のお母さん」
と、呟いた。
……えええええええ!?
「壱のお母さん!? まじで?」
「まじまじ」
私も思わず、後ろの子に聞き返してしまった。
壱のお母さん……。
似 て な い
「……わぉ」
壱のお母さんは、長い髪をポニーテールに結っていて、服装もカラフルな感じだった。
顔も体系も、壱と全く似てない……。
ほ、本当に壱のお母さん?
「——では、早速始めたいと思います。第一回戦、クイズに参加する人は前に出てください!」
私の疑問とは裏腹に、レクは着々と進んでいった。
一回戦目は、ビーチなんとかクイズ。
後ろ向いて寝転がって、端っこにあるメガホンを取りに行ってクイズに答える……というゲームであった。
「壱、頑張れー!!」
皆から黄色い声援を浴びているのは、珠紀壱君です。
壱は一回戦の出場者であり、皆から応援されていた。
私も応援したいけど……別チームだしなぁ。
「では、問題! 宿泊学習で泊まった場所はどこでしょう?」
わかるかぁ!! ……と、一人でツッコミを入れてみた。
そうです。光葉の宿泊学習に行ってない私が、知るわけがない。
しかし、壱は違う。
壱は素早く起き上がり、華麗にメガホンに向かって走っていった。
早い、早いけど……。
ステージに激突。
「ちょ、壱〜!」
周りから、笑い声が聞こえてきた。
せっかく一番だったのに、激突しちゃったよ……壱。
しかも、ぺちって音したよ! ぺちって!!
メガホンとられちゃったし……、あーあ。
しかし、この後壱は失敗なく活躍を見せた。
ボール拾い投げでは、投げ方かっこいいし。
リレーでは、走るのが早いし——。
おおう、髪が乱れてもかっこいい!
「……依麻、よそ見してないで受け取ってよー!」
「お、おおうっ!? すみません!!」
一方、私の方は酷いくらいにいいとこなし。
このレク、球技系多すぎなんだよ!! と言い訳にならない言い訳をしてみたり——。
とにかく、全く役に立っていなかった。
「——じゃあ、写真撮影ね! 皆並んで〜」
学年レクの最後に、福野のカメラで記念撮影をすることになった。
皆バラバラで並び、それぞれポーズをとって撮影した。
なんだかんだ楽しかったし、いい思い出になった……のかな?
そう思いながら、私は小さく微笑んだ。
翌日に出来た四枚の写真のうち三枚、目を瞑っていた事を知らずに——……。