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Re: *叶恋華* +実話+ ( No.183 )
日時: 2011/02/12 06:47
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 3iZuTr1t)
参照: そんな優しくしないで どんな顔すればいいの?(by.irony

第四十六話『嘘つきな憂鬱』


次の日——。
いつものように壱の方をチラ見すると、軽く目が合った。
しかしすぐに私から逸らしてしまい、また自己嫌悪が心の中で芽生え始める。


昨日もメール送ってみたけど、メールはやっぱ返ってこないしなぁ……。
やっぱり恋愛って、難しいなぁ……。
両想いになれる子って、本当に凄いよね。
頑張って見習いたいな——。


「——依麻、どうしたの? なんか元気ないねぇ」
「……愛奈」


私の様子に気づいたのか、愛奈が話しかけてきた。
私は顔を上げ、軽く笑みを浮かべる。
そして、お決まりの台詞を呟いた。


「大丈夫だよ」
「本当に?」
「うん。本当だって」


私は、嘘つきだ。
頭の中はパンクしそうな位、悩んでいるのに——。


「そういや依麻、あれから壱とメールしてる?」
「え? ……うん。でもね、返事返ってこないよ」


一斉送信だから、いけないのか。
でも壱にだけ直接メールを送れる程、私は積極的なんかじゃ……ない。


「なんかね、壱に『依麻がメールしたら返す?』って聞いてみたんだ。そうしたらね、ちょい照れ気味に『返す』って言ってたよ」


——嘘つき。
返してくれないじゃない。
私の胸が、一気に締め付けられた。


「なーんか、さ。私も壱、よくわかんない。何考えてるだかね〜」


愛奈は、少し呆れ気味な顔で呟いた。
正直、私にも壱が何考えているのかなんてわからなかった。
……わかるはずが、なかった。


「そんでね、『別に彼女いらないよ』って」
「……」
「『俺よりもっと他にかっこいい人がいるよ』……ってさ」


『俺よりもっと他にかっこいい人がいるよ』——……?
それって、遠回しにさ。
私に諦めろって言ってるの?
やばい、なんか泣きそう……。


私、また失恋しちゃうの?
九回目に……なるの?


怖いよ。
そんなの、嫌だよ。
もうあんな辛い想い、したくない——。


そう強く思った瞬間、私の中で何かが弾けた。


——女子に嫌われても気にしない。
貴方にだけ。
貴方にだけ、嫌われなければいい。
そう思う私は、なんて最悪なんだろう。


でも、うじうじしてただ見てるだけなんて、私らしくない。
最悪な私は最悪な分だけ、足掻いていたい。
悩まないで——?
好きなものは好きなんだから、堂々としてなきゃ。


だって、もう壱は私の気持ち……知っているんでしょ?


「……私、告白しよっかなぁ……」
「え?」


思わず、呟いていた言葉だった。
愛奈は目を丸くして、私の顔を見る。


「告白、するの?」
「うん……。だってさ、壱は私の気持ち知ってるんでしょ?」
「まぁ……うん。知ってる」
「だから、早いうちにちゃんと言葉で伝えた方がいいかなー……なんて思ってさ」


私は愛奈の瞳を真っ直ぐ見つめ、そう言った。
すると愛奈もわかってくれたのか、力強く頷いてくれる。


「そうだよね。『好き』って言われて、嫌な人なんかいないもん。皆、少なからず嬉しいよね? 壱もきっと、嬉しいはずだよ。完璧じゃなくても、少しは絶対依麻の事、意識してるはずだよ!」


愛奈はそう笑顔で言ってくれた。
愛奈の言葉が、凄く胸に沁みて。
心が、何か強いもので溢れる感じがした。


告白するのは、九日にしよう。
その間で、色んな事を考えて。
勇気を、振り絞ろう。
頑張って進んでみようか。


お互いのこと知らないし、話したことないけど。
君のことが、もっともっと知りたい。
ずっとずっと、傍に居たい。


「——……私、頑張る」


もう私は、過去の依麻なんかじゃない。
大丈夫、頑張れる。
……ううん。


絶対、頑張ってみせるから——。