コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.185 )
- 日時: 2011/02/12 07:16
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: jKtRhKej)
- 参照: そんな優しくしないで どんな顔すればいいの?(by.irony
第四十七話『明日へのココロ』
「……に、日曜日だと、間違えて、寝坊しました」
月曜日の朝。
私は、福野の前でそう呟いた。
私の今の格好は、ジャージは乱れてるわ髪型はボサボサだわ、呼吸は乱れているわ……。
とにかく、最悪な状況でありました。
「はぁ!? 馬鹿じゃないの!?」
馬っ……!?
教師に単刀直入で言われるとですね、本当の事でも傷つきますよ福野さん。
あぁ、皆こっち見て笑ってるし。
一部の人には、冷たーい視線で見られるし……。
My Heartがボロボロですよ、もう。
「——依麻、大丈夫ー!? うは、寝癖っ」
「ちょ、髪なしたの依麻」
「依麻ぁ、しっかりー」
由良に優に愛奈の三人までそこまで笑うか……。
MY Heart、再建不可能。
ボロボロの粉々ですよ、もう。
「……髪を直せばいいんでしょ、この突風にあおられて出来たインスタント爆発頭を!」
「ぶっ! インスタント爆発頭て」
「依麻、ツボらせないでー!」
優と由良、大爆笑。
もうどうにでもなるがいいさ、好きなだけ笑えー!
——でも。
「……あぁもう……!」
恥ずかしくて、壱の方が見れないな。
私は女子トイレの鏡で髪を直しながら、そう思った。
**
「おかえりー、インスタント」
優が笑顔でそう言った。
いつから私、インスタントになったんですか。
「優、駄目っ……あはっ、も、笑い過ぎてお腹痛い……!」
笑い過ぎじゃないですか、由良さん。
私は心の中でツッコミをしながら、由良たちの方へ近づいた。
「依麻、壱にメールした?」
優がそう呟いて、私の足は止まった。
近くにいた壱達も、動きが止まる。
……辺りは、一気に静まり返ってしまった。
「優! 壱本人そこにいるし! つか、依麻怖い位の真顔になっちゃったじゃん!」
「あ、壱いたの気づかなかった。ごめん、依麻」
壱の名前、大声で言い過ぎですよ姉さんたち。
完璧バレた。いや、もうバレてるんだけどさ。
気まずいよ、この空気気まずいよ。
私は壱の反応なんて気にせず、とりあえず早く時間が過ぎる事を祈っていた。
*放課後*
ひたすら早く時間を過ぎる事を願い、やっと放課後がやってきました。
長かった。いつも以上に長く感じたよ……。
「愛奈、帰ろ」
「うん」
私はバックを肩にかけ、愛奈に向かってそう呟いた。
愛奈は笑みを浮かべ、私の肩に手を置いた。
「依麻、いよいよ明日告白だね?」
「……っ」
そうだった。
明日は、九日。
告白する日だ——……!
今日の失態で、全てを忘れていた。
「あ、明日か……! ドキドキする」
「うまくいくといいね?」
「うん……っ」
水城依麻、頑張る!
そう思いながら拳を握りしめると、テニス部の男子——……零と壱のクラスでも有名なイケメンコンビを発見した。
私はさりげなく、壱の横顔と後ろ姿をチラ見する。
……うん、なんかやる気出てきた!!
珠紀壱君は、私のパワーの源でもあります。
そう考えると……改めて、恋のパワーはすごい。
私はそう思いながら、廊下で明日の事について愛奈と話をしていた。
**
「——すっかり長居してしまった」
しばらくして時計を見ると、廊下で三十分以上話をしていたみたいだった。
「そろそろ帰らなきゃね」
「うん! ごめんね、愛奈」
「全然平気だよ」
愛奈はそう言って微笑んでくれた。
優しいのぉ……愛奈は。
そう思いながら私と愛奈は、少し急ぎ気味に廊下を歩いていた。
すると、
「——依麻、いぇーいだね」
「え? ……いぇーい?」
愛奈が突然そう呟いて笑みを浮かべた為、私は疑問系になりながらも話を合わせた。
すると愛奈は更に笑い出し、私に向かって小さく呟いた。
「……壱、いるよ」
「!?」
そう耳打ちされ、私は顔を上げた。
見れば、本当に近くに壱と零が居る。
「……っ」
「ラッキーだね?」
「……い、行こう愛奈!」
愛奈が怪しい笑みを浮かべる横で、私は壱の方を見ず、ちょっと早足になりながらも横を通りすぎた。
そして階段に差し掛かった辺りで、足の速度を通常にする。
「……依麻、一言いい?」
「ん?」
愛奈がさっきと変わらない笑みを浮かべたまま、私の顔を見つめた。
何が何だかわからない私は、首を傾げて愛奈を見る。
すると愛奈は、ぬっくりと口を開いてこう呟いた。
「壱、依麻のこと見てたよ」
「……え?」
「依麻が通りすぎたときに、チラッと」
なんですと——……?
いや、もしかしたら愛奈の見間違いかもしれない!!
でも、もし本当に見てくれてたら——……?
「やったじゃん、依麻!」
「……う、ぁ、うん……」
「明日、本当に頑張ってね!!」
どうしても、期待してしまう。
自分の瞳で、確かめていないのに——。
私、馬鹿だ。
恋をすると不思議な事に、更に馬鹿に磨きがかかるんだよね……。
変なとこで期待したり。
君の言動次第で明るくなったり、暗くなったり。
ちょっとした事で、嬉しくなったり。
君の姿を見る度に、私の頭と心は言うことを聞かなくなる。
「……頑張る。絶対頑張る!!」
いくら、言うことを聞かなくても。
私は、絶対言って見せる。
絶対、壱を振り向かせてみせる!!
私は気合を入れ、明日に向けて心の準備をした。